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(2)現況再現
 (1)で述べた需要予測モデルの予測精度を検証するため、現況年度(2000年度)のデータを投入して現況再現を行う。
 現況再現性は、予測対象地域の駅間通過断面について、現況実績と現況再現性の駅間通過交通量の適合性ならびに路線・区間別の輸送人キロの適合性を検討するものであり、再現率が±10%を越えないように、または極力その誤差が小さくなることを目標にモデルを構築した。
 なお、現況再現結果と比較した現況実績値は、平成13年度調査で行った事業者ヒアリング結果を用いている。
 現況再現結果を以下に示す。
 
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図 6−9−10   現況再現結果
 
表 6−9−3 各調査における需要予測各段階の条件整理と感度分析、評価(1)
《前提条件》 答申第10号
(平成元年)
都市鉄道調査
(平成11年. 12年度)
本調査
(平成13年. 14年度)
参考:答申第18号(東京)
(平成11年度)
■常駐人口 〔近畿圏フレーム〕 ◇人口問題研究所全国フレームを基に、近畿の全国シェアが現況(過去5年平均)で推移するものと仮定 ◇人口問届研究所における封鎖型人口の近畿圏2府4県合計を近畿圏フレームとしてコントロール ◇国土交通省長期計画フレームを採用
◇年齢別人口は、同フレームならびに社人研予測をもとに推計
◇首都圏基本計画の夜間人口をコントロールトータルとして適用
〔府県フレーム〕 ◇府県別に自然増加率と社会増加率を用いて算出し、最後に近畿圏フレームでコントロール ◇府県別の開発計画人口を近畿圏フレームより先取りして、残りを現況比で案分 ◇国土交通省長期計画フレームを採用 ◇自然増減は人口研封鎖型人口の都県比、社会増減はH5→H10年の住民基本台帳の社会増減率を考慮して推計
〔政令市フレーム〕     ◇政令市常住人口の対府県営住人口比率のトレンドから算定  
〔開発計画人口〕 ◇開発プロジェクト別に事業の進捗率、入居率を設定 ◇開発プロジェクト種類別にビルドアップ曲線を適用※「ビルドアップ曲線」は過去の開発プロジェクトにおける人口等の立地をモデル化したものである。 同左 ◇夜間人口1万人以上、従業人口5千人以上のプロジェクトについて、最も開発の遅い事例を元に推計したビルトアップ曲線を適用
◇従業系は開発速度を80%に鈍化させ推計
〔市区町村・ゾーン〕 ◇市区町村、ゾーンに位置する開発計画人口を優先的に配分
◇府県、政令市のコントロール人口から開発計画人口を差し引いた残人口を現況比で配分
同左 同左
※都心回帰(京都、大阪、神戸)
※都心回帰(都区部人口)→H5年〜H10年までの社会増減の比率を適用
■就業人口(労働力人口) ◇全国就業率を四全総、経済企画庁予測値より算出し、近畿圏の就業率は、近畿圏と全国の就業率との相関式(分布図)から算出※就業率=就業人口÷常住人口 ◇将来の近畿圏就業率は1995年の値を設定 ◇府県別男女別5歳階級別就業率は過去10年間平均値を適用
〔市区町村・ゾーン配分〕
◇男女別・年齢階層別の将来就業率をトレンドから設定
◇地域、都県、ブロック別男女別・年齢階層別夜間人口に就業率を乗じて推計
■従業人口 ◇四全総予測値を元に3産業分類別に予測
◇府県別産業人口増減率をトレンドから設定
◇「ビルドアップ曲線」から算定した開発計画人口を優先的に配分し、府県別従業人口を現況比で按分 同左
〔市区町村・ゾーン配分〕
◇H7→H27年の従業人口の増加分を、S50→H7年までの各ブロック従業人口の伸びの比率により算定したブロック別の将来従業人口の増加分の比で各ブロックに按分
■就学・従学人口     ◇就学人口は、就学串を学齢人口(15〜24歳)に乗じて算定(就学率=就学人口÷学齢人口)◇従学人口は、従学率を学齢人口(15〜244)に乗じて算定(従学率=従学人口÷学齢人口)
〔市区町村・ゾーン配分〕
◇就学人口は、将来の年齢階層別夜間人口(5〜24歳)に、将来の年齢階層別就学率(H7年と同等)を乗じて推計
◇従学人口は、就学人口と従学人口の比率(H7年と同等)を年齢階層別就学人口に乗じて推計
■道路計面   ◇2010年計画ネット ◇2020年計画ネット(  
■空港・新幹線利用者   ◇関西空港は会社推計値を上乗せ、新幹線アクセス量は現況値を基に上乗せ 同左
※伊丹・神戸空港将来需要との整合
◇七次空整値を現況ODパターンで配分し、空港アクセスモデルにより鉄道分担量を推計
◇新幹線等優等列車需要はGDPとの相関から算定し、幹線鉄道駅アクセスモデルにより推計
■バス路線網     ◇現況路線網を設定  
 ■自動車保有台数、免許保有率     ◇自助=保有台数→道路整備5ヶ年計画
◇免許保有率→年齢階層別(既存資料9照)
 
 
表 6−9−3 各調査における需要予測各段階の条件整理と感度分析、評価(2)
   答申第10号
(平成元年)
都市鉄道調査
(平成11. 12年度)
本調査
(平成13年. 14年度)
参考:答申第18号(東京)
(平成11年度)
《対象交通量》  ◇通勤、通学(15歳以上)
◇その他目的交通量は、現況の定期率を乗じて算出
◇全日的 ◇全目的 ◇全目的
《生成交通量》
《発生・集中交通量》
〔考え方〕 ◇就業、従業、就学、従学人口に自宅外就学(学)率並びに内々率・出勤(登校)率を乗じて算出 ◇通勤・通学者数は就業・従業(学)人口に自宅以外就業(学)率並びに内々率を乗じて算出 ◇地域全体の生成交通量を算出(原単位法)
◇発生交通量はゾーン別原単位と分布交通量から定まる効用値により推計
◇通勤・通学→就業・従業(学)人口に自宅外就業(学)率並びに内々率を乗じて推計
◇その他→現況における市町村別・年齢3区分別発・集原単位により推計
〔入力データ〕 ◇1985年国勢調査 ◇通勤・通学:1995年国勢調査
◇その他:1990年パーソントリップ
◇2000年パーソントリップ ◇通勤・通学→1995年国勢調査
◇その他→1993年パーソントリップ
《分布交通量》 〔考え方〕 ◇大規模開発関連→重力モデル
◇その他→現在パターン法
◇大規模開発関連→重力モデル
◇その他→現在パターン法
◇目的地選択モデル ◇大規模開発関連→重力モデル若しくは類似パターン法
◇その他→現在パターン法
〔入力データ〕 ◇1985年国勢調査 ◇1990年パーソントリップ
◇1995年国勢調査
◇2000年パーソントリップ
◇2000年国勢調査
 
 《交通機関別交通量》 〔考え方〕 ◇徒歩・二輪→距離変数の関数式から推計
◇自動車・鉄道・バス→3手段選択マルチロジットモデルによる推計
◇徒歩・二輪→距離変数の関数式から推計
◇自動車・鉄道・バス→3手段選択マルチロジットモデルによる推計
◇徒歩・二輪→距離変数の関数式から推計
◇自動車・マストラ(→鉄道・バス)の入れ子構造のネスティッドロジットモデルによる推計
◇徒歩・二輪→距離変数の関数式から推計
◇自動車・鉄道・バス→3手段選択マルチロジットモデルによる推計
〔入力データ〕 ◇1980年パーソントリップ      
〔説明変数〕 ◇性・年齢・自動車保有台数・
◇時間・費用・バス停端末時間・鉄道乗換回数
◇ピーク時運行本数・鉄道駅端末時間・都心関連ダミー
◇性・年齢・自動車:保有台数・時間・費用・バス停端末時間・鉄道乗換回数・ピーク時運行本数・終日運行本数・鉄道駅端末時間・都心関連ダミー ◇性・年齢・自動車保有台数・654以上ダミー・時間・費用・バス停端末時間および、鉄道については、経路選択モデルにおける合成効用値 ◇時間・費用・自動車保有台数・都心ダミー
 《鉄道経路別交通量》 〔考え方〕 ◇OD間の選択可能駅の組合せによる経路のうち効用値の高い上位10経路について経路選択ロジットモデルによる配分 ◇OD間の選択可能駅の組合せによる経路のうち効用値の高い上位10経路について経路選択ロジットモデルによる配分 同左 ◇発ゾーン毎に選択候補群を最大13路線経路選択してプロビットモデルによる配分(経路選択問題のIIA特性の緩和)
〔入力データ〕 ◇1980年パーソントリップ ◇1990年パーソントリップ ◇2000年パーソントリップ ◇1995年大都市交通センサス
〔説明変数〕 ◇所要時間・運賃・鉄道乗換回数・ピーク時運行本数・端末所要時間・端末費用 ◇所要時間・運賃・鉄道乗換回数・ピーク時運行本数・終日運行本数・優等列車停車ダミー・端末所要時間・端末費用 ◇所要時間・運賃・乗換抵抗指標・ピーク時運行間隔・終日運行間隔・始発駅ダミー・端末所要時間・端末費用・移動円滑化指標(5m以上の段差・ESEVの設置) ◇乗車時間・端末時間・乗換時間(待ち時間含む)・総費用・混雑指標・分散パラメータ
【感度分析】     ◇人口の都心回帰
◇就業率の変化(高齢者及び女性の社会進出)
◇テレワーク・情報化の進展
◇鉄道端末としてのバスサービスレベルの条件変化による影響
◇自家用自動車保有の変化(経済環境と交通需要)
◇鉄道運行本数(昼間時間帯)の減少による影響
◇フレックスタイム制普及→ピーク集中率の変化
◇テレワーク進展→自宅外就業率の変化
◇自助車速度低下の影響→交通機関分担率の変化
 
表 6−9−3 各調査における需要予測各段階の条件整理と感度分析、評価(3)
   答申第10号
(平成元年)
都市鉄道調査
(平成11. 12年度)
本調査
(平成13年. 14年度)
参考:答申第18号(東京)
(平成11年度)
【既存ストック活用シミュレーション】     ◇駅乗り継ぎ改善施策→ダイヤ調整、乗り継ぎ連絡通路等設置、乗り継ぎ運賃制度拡充、EV、ES設置
◇鉄道路線の利便性向上→急行運転化、優等列車停車、貨物線旅客化、速度向上◇鉄道路線間の乗り継ぎ改善施策→既設路線延伸、路線の再編、相互直通運転化
 
【政策評価】 〔ネットワーク〕 □利用者数□輸送密度□混雑率(計画路線全路線整備時)□交通手段分担率   ◇シームレス化(総乗換回数の変化)
◇速達性向上(総乗車時間の変化)
◇地域総鉄道利用者数及び府県、政令市単位の鉄道利用者数
◇既設線の混雑緩和(混雑率の変化)
◇シームレス化(総乗換回数の変化)
◇速達性の向上(総乗車時間の変化)
◇都市構造・機能再編(端末時間の変化)
◇幹線アクセス向上(アクセス関連利用者の総乗車:時間・乗換回数の変化)
〔個別路線〕   ◇利用者数・駅間通過人員・輸送密度・混雑率・他線への影響・交通手段転換
◇財務分析(収支採算性)
◇費用対効果分析
◇輸送密度
◇利用者便益
◇利用者数、輸送密度、混雑率
◇財務分析(30年黒字転換年の無償資金率・損益比)
◇費用対効果分析◇事業主体の見通し等
〔既存ストック活用〕     ◇鉄道利用者数
◇利用者便益
 







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