(4)モデル推定結果
a)通勤目的
表 6−7−4 パラメータ推定結果(通勤目的)
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パラメータ値 |
t値 |
レベル1 |
鉄道経路選択 |
所要時分 |
-0.3923 |
-8.93 |
費用・運賃 |
-00100 |
-9.31 |
乗換抵抗 |
-0.0066 |
-7.31 |
終日間隔 |
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ピーク間隔 |
-0.6733 |
-11.59 |
始発駅ダミー |
0.7968 |
6.64 |
鉄道端末時間 |
-0.4788 |
-16.34 |
鉄道端末費用 |
-0.0104 |
-11.63 |
5m以上の段差 |
-0.5009 |
-3.81 |
ES・EVの設置 |
0.3291 |
10.70 |
レベル2 |
鉄道 |
鉄道ログサム |
0.1600 |
9.16 |
バス・自動車 |
所要時分 |
-0.3696 |
-7.75 |
費用・運賃 |
-0.0091 |
-6.19 |
バス |
バス停との時間 |
-0.5285 |
-6.09 |
自動車 |
都心関連OD |
-0.7310 |
-4.18 |
個人属性 |
性別 |
0.4240 |
3.75 |
年齢 |
-0.0218 |
-4.10 |
65歳以上ダミー |
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保有台数 |
0.6073 |
4.78 |
ダミー |
バスダミー |
6.9565 |
9.43 |
乗用車ダミー |
3.1642 |
6.53 |
λ |
スケールパラメータ |
0.6173 |
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時間価値 |
レベル1 |
2,362 |
円/時間 |
レベル2 |
2,446 |
円/時間 |
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■ パラメータの符号条件、t値(パラメータの有意性を示す数値、一般的にt>1.5で有意と判断される)とも妥当かつ十分説明力のあるモデルとなっている。
■ 時間価値(費用・時間のパラメータ比)は約2,400円/時間となっており、大阪市における労働時間と賃金の関係(月間平均給与総額412,808円に対する月平均労働時間159.1時間、いずれも平成12年度大阪市、5人以上事業所の調査全産業平均)から得られる時間価値が約2,594円/時間であることを勘案して、妥当な数値といえる。
■ λはスケールパラメータと呼ばれ、交通機関選択における公共交通(バス・鉄道)と自動車との選択構造の独立性を表す。λ=1であれば通常のロジットモデル、すなわち自動車・バス・鉄道の3機関が完全独立であることを示し、逆にλ=0であれば下位ツリー(バス/鉄道の選択)の変化が上位ツリー(自動車/公共交通)の選択にほとんど影響しないことを示す。この場合λ=0.6程度であるので、選択構造は独立ではなく、一定の従属関係にあると判断される。
b)通学目的
表 6−7−5 パラメータ推定結果(通学目的)
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パラメータ値 |
t値 |
レベル1 |
鉄道経路選択 |
所要時分 |
-1.8566 |
-3.83 |
費用・運賃 |
-0.1401 |
-4.77 |
乗換抵抗 |
-0.0223 |
-2.13 |
終日間隔 |
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ピーク間隔 |
-2.4338 |
-2.99 |
始発駅ダミー |
2.8009 |
2.45 |
鉄道端末時間 |
-2.8154 |
-4.01 |
鉄道端末費用 |
-0.2094 |
-3.26 |
5m以上の段差 |
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ES・EVの設置 |
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レベル2 |
鉄道 |
鉄道ログサム |
0.0078 |
7.10 |
バス・自動車 |
所要時分 |
-0.2137 |
-8.12 |
費用・運賃 |
-0.0156 |
-9.53 |
バス |
バス停との時間 |
-0.2775 |
-4.69 |
自動車 |
都心関連OD |
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個人属性 |
性別 |
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年齢 |
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65歳以上ダミー |
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保有台数 |
0.4809 |
6.77 |
ダミー |
バスダミー |
-0.6404 |
-2.27 |
乗用車ダミー |
0.4750 |
2.01 |
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時間価値 |
レベル1 |
795 |
円/時間 |
レベル2 |
822 |
円/時間 |
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■ 通学目的においては自動車の選択率が少なく、レベル2においてNLモデルが有意とならなかったため、通常のロジットモデルを仮定して推定を行った。パラメータ符号条件、t値はともに妥当なものとなっている。
■ 時間評価値は約800円/時間となり、通勤目的に比べかなり低くなっているが、社会常識と照らし合わせて学生・生徒の時間価値は低いと考えられるので妥当といえる。
c)自由目的
表 6−7−6 パラメータ推定結果(自由目的)
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パラメータ値 |
t値 |
レベル1 |
鉄道経路選択 |
所要時分 |
-0.2816 |
-14.67 |
費用・運賃 |
-0.0127 |
-5.29 |
乗換抵抗 |
-0.0055 |
-12.50 |
終日間隔 |
-0.3391 |
-5.43 |
ピーク間隔 |
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始発駅ダミー |
0.7511 |
3.52 |
鉄道端末時間 |
-0.3881 |
-2.86 |
鉄道端末費用 |
-0.0183 |
-8.31 |
5m以上の段差 |
-1.1932 |
-12.06 |
ES・EVの設置 |
0.3299 |
3.19 |
レベル2 |
鉄道 |
鉄道ログサム |
0.3782 |
12.56 |
バス・自動車 |
所要時分 |
-0.1780 |
-10.86 |
費用・運賃 |
-0.0078 |
-6.27 |
バス |
バス停との時間 |
-0.2133 |
-7.38 |
自動車 |
都心関連OD |
-0.5829 |
-5.28 |
個人属性 |
性別 |
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年齢 |
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65歳以上ダミー |
-0.5252 |
-5.70 |
保有台数 |
0.3676 |
6.69 |
ダミー |
バスダミー |
-4.1281 |
-8.03 |
乗用車ダミー |
-1.0644 |
-5.55 |
λ |
スケールパラメータ |
0.3510 |
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時間価値 |
レベル1 |
1,328 |
円/時間 |
レベル2 |
1,368 |
円/時間 |
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■ 自由目的についてもパラメータの符号条件ならびにt値は妥当かつ有意なものとなっている。
■ 時間評価値は約1,300円/時間となっており、通勤目的の約半分程度となっている。
■ 自由目的については、年齢に代わる変数として、65歳以上ダミーを変数に導入した結果、有意な結果となった。
d)業務目的
表 6−7−7 パラメータ推定結果(業務目的)
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パラメータ値 |
t値 |
レベル1 |
鉄道経路選択 |
所要時分 |
-1.2663 |
-3.95 |
費用・運賃 |
-0.0258 |
-4.81 |
乗換抵抗 |
-0.0279 |
-3.34 |
終日間隔 |
-2.4219 |
-2.64 |
ピーク間隔 |
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始発駅ダミー |
4.7965 |
2.02 |
鉄道端末時間 |
-2.4657 |
-3.17 |
鉄道端末費用 |
-0.0377 |
-2.99 |
5m以上の段差 |
-2.9766 |
-4.10 |
ES・EVの設置 |
1.6070 |
4.22 |
レベル2 |
鉄道 |
鉄道ログサム |
0.4432 |
4.23 |
バス・自動車 |
所要時分 |
-0.0319 |
-2.41 |
費用・運賃 |
-0.0005 |
-2.45 |
バス |
バス停との時間 |
-0.0371 |
-3.98 |
自動車 |
都心関連OD |
-0.0165 |
-2.36 |
個人属性 |
性別 |
0.0975 |
1.96 |
年齢 |
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65歳以上ダミー |
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保有台数 |
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ダミー |
バスダミー |
-9.0294 |
-5.56 |
乗用車ダミー |
-0.0555 |
-2.49 |
λ |
スケールパラメータ |
0.0141 |
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時間価値 |
レベル1 |
2,945 |
円/時間 |
レベル2 |
3,780 |
円/時間 |
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■ 業務目的についてもパラメータ符号条件、t値とも妥当かつ有意なものとなっている。
■ 時間評価値は約3,000円程度となり、通勤時より高い結果となっている。業務目的が一般的に時間的制約の強い交通であることを勘案すると妥当といえる。
■ スケールパラメータはλ=0.01と極めて0に近い値となっている。業務目的についてはバス利用者のサンプルが極めて少なく、公共交通利用サンプルの大部分は鉄道となっていること、また業務目的では自動車と公共交通(≒鉄道)の選択が固定的なものとなっていることが影響しているものと考えられる。
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