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f)モデルの評価
 推定された二つのモデルの距離帯別分布(市区町村内々トリップは除く)の再現性を以下に示す。TUFモデル・SSAモデルともに、短トリップについては、実績値よりも過小になっており、長トリップになるにつれて過大に推計されている。また、両者を比較すると、SSAモデルの方が、上の過大・過小の傾向が強くなっており、再現性はTUFモデルの方が高いと言える。
 
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図 6−6−2   距離帯別再現性(通勤・通学)
 
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図 6−6−3   距離帯別再現性(自由・業務)
 
 また、再現値と実績値の距離帯分布の相関係数を以下に示す。相関係数について見ても、SSAモデルに比べ、TUFモデルの方が再現性が高くなっている。
 
表 6−6−11 分布再現性(相関係数)
  通勤 通学 自由 業務
TUF 0.9496 0.9790 0.9716 0.9784
SSA 0.9031 0.8070 0.8199 0.8016
 
 TUFモデルは選別が明示的に表されているため、長トリップの実際に選択肢として考慮しにくいODペアが、選択肢として挙げられないため、SSAモデルに比べ、長トリップへの分布が抑えられ、その結果として短トリップの再現性が高まっている。しかしながら、TUFモデルの特徴でもあるバイアス修正項にかけられるパラメータρのt値は高く、選別の閾値の分散も安定しており、TUFモデルの有用性は十分示される。一方で、SSAモデルは、選別の行為を明確に表現しないため、実際に選択肢として挙げられにくい長トリップのODペアについても、数トリップのODが配分され、長トリップのODペアでの過大推計が、TUFモデルに比べて強くなっている。
 
 SSAモデルは、全てのODペアについても選択の可能性を残すと言う意味では、実態に即していると思われる面もあるが、本調査において必要とされるのは都市圏の鉄道需要予測に用いるモデルであり、特に、都市圏のトリップ分布の大部分を占める短トリップの再現性を考慮すると、TUFモデルを用いることが妥当であると考えられる。
(5)本モデル適用の基本的な方針について
a)分布モデルの現況補正
 近畿圏全域の分布パターンは、以上で示される説明変数における一元的な定式化では、再現性が低くなることが予想される。そのため、現況再現に際に、目的地選択モデルによる効用値から求められる分布パターンと現況実績との誤差を、ODペア毎に求め、この誤差分を補正係数として予測の際に加味する。
※理論的には、補正係数はモデルによって説明できない諸々の要因を説明する変数と位置づけられ、将来においてもそれらの要因は現況と変化しないと仮定していることになる。
b)発生交通量との関係について
 目的地の選択確率が変化することにより、当該ゾーンの発生交通量も変化する。これについては、目的地選択モデルにおける目的地の選択確率を表現する効用値を、発生交通量予測の段階での適応により対応する。







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