(6)ゾーン別の人口指標作成手順
a)常住人口・従業人口・従学人口
ゾーン別の常住人口・従業人口・従学人口は、開発計画人口を先決的に該当ゾーンに配置し、残りを現況ゾーン別人口比により案分して予測する。
b)就業人口・就学人口
ゾーン別の就業・就学人口は、市区町村内各ゾーンの就業率(常住人口に対する就業人口の割合)、就学率を一定と考え、ゾーン別常住人口で案分して予測する。
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※ゾーン別人口指標の作成手順は、市区町村別の人口指標の作成手順と同様。対象エリアが2府4県と一致しないため、一度、市区町村別の人口を求めたのち、対象エリアの中のみゾーン別人口へ分割している。
(7)開発計画の取り扱いについて
各自治体により提示された開発計画に示されている計画人口は、需要予測を行う上で、ゾーン別人口の決定の際に重要な指標となる。本調査では、市区町村別、ならびにゾーン別人口予測における開発計画人口の取り扱い方について、以下のように設定する。
市区町村別人口ならびにゾーン別人口は、各府県・指定市別人口をコントロールトータルとして、開発計画人口を先決的に配置し、残りを現況人口比で案分する。 |
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つまり、開発計画の大小は府県別の総人口に影響を及ぼすものではなく、開発立地の影響は府県・指定市内での影響にとどめている。
開発計画については、近畿圏各自治体へのヒアリング結果を受けるものとする。ただし、既存開発計画の進捗状況から分析したビルドアップ曲線を適用して、予測年次における開発計画人口を算出する。
a)予測年度における開発計画人口の設定について
府県・指定市別人口、市区町村別人口、及びゾーン別人口の設定において用いる開発計画人口は、近畿県内各自治体へのヒアリング結果であり、本需要予測の対象年度である2020年時点の計画人口は、開発計画の計画年度との関係で一意的に定めるのが一般的である。
しかしながら、開発計画の進捗は社会経済情勢によって左右され、昨今の社会経済情勢下では、遅延する傾向が顕著に現れている。
従って、本需要予測の対象年度における開発計画人口は、既存の開発計画の進捗度を加味して独自に設定することを考える。具体的には、既存事例からビルドアップ曲線を構築し、これに事業開始年度と需要予測年度を投入してビルドアップ率を求め、さらに計画人口を乗じて需要予測年度の開発計画人口を算定することとした。
b)ビルドアップ曲線式
ビルドアップ曲線式は、成長曲線として良く知られているゴンペルツ曲線式、及びロジスティック曲線式を用いて行い、現況実績との適合度の良い曲線式を採用する。曲線式の定義は次のとおりである。
式1 ゴンペルツ曲線式
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式2 ロジスティック曲線式
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c)開発計画の分類
開発計画の種類によりビルドアップ曲線が異なると考えられるので、分析に用いる既開発計画のデータ入手容易性を考慮しつつ、次のように開発計画を分類した。
・住宅団地開発
・市街地再開発
・業務、工業団地開発
・研究都市開発
d)分析データ
ビルドアップ曲線式の分析に用いたデータは次のとおりである。
・住宅団地開発:神戸・三田国際公園都市、北神地域周辺に点在する住宅団地、及び大阪南港地区(計20団地・地区)
・市街地再開発:大阪阿倍野再開発
・業務、工業団地開発:大阪南港コスモスクエア
・研究都市開発:関西文化学術研究都市精華・西木津地区
e)分析結果
ビルドアップ曲線式の分析結果は、図 6−3−12及び図 6−3−13に示すとおりであり、適合度を現況実績との相関係数で見ると、総じてゴンペルツ曲線式の方が適合度が良いという結果を得た。
また、住宅団地開発のビルドアップ曲線を見ると開発計画人口が大きい団地ほど、ビルドアップに時間を要する傾向が顕著に現れている。このため、ビルドアップ曲線の適用に当たっては、規模別に曲線式を分けることを考え、計画人口が1万人未満、1万人〜2万人未満、2万人以上で曲線式を変えるものとする。
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