3−5 運輸政策審議会答申第10号に残された課題
(1)答申のねらいと計画策定における基本的な考え方
運輸政策審議会答申第10号時(平成元年)においては、東京への一極集中、人口増加、大規模プロジェクトの進展等の社会経済状況にあり、さらなる人口増による旅客流動の増加が予想される中で、大規模プロジェクト等への対応、混雑緩和、乗り継ぎ不便の解消、路線間の連絡性向上等のため、新線建設等の鉄道サービスの高度化を政策目標として掲げていた。
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(2)答申第10号に残された課題と今後の方向
答申第10号に掲げられた政策目標の達成状況としては、関西国際空港、大阪国際空港へのアクセス機能強化、関西文化学術研究都市や都心地区開発事業等への対応、平均混雑率150%以下の達成等、一定の成果を挙げてきているが、開発地における鉄道空白地域の存在、一部路線における混雑の存在、路線間の連絡不備等、鉄道サービスの高度化を図る上において未達成の課題が多く残されている。
達成状況及び残された課題への対応方向を整理すると次のとおりである。
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(3)評価
近畿圏の鉄道整備は、平成17年を整備目標とする運輸政策審議会答申第10号に基づき行われ、現在までに答申された約220km(A、Bランク)の新線において約50%が開業、約20%が事業化された。これにより「大規模プロジェクト等対応や混雑緩和」についての政策目標はほぼ達成された。しかしながら、一部路線では、いまだに150%以上の混雑が続いており、また、都市の郊外化等による混雑の長時間化が進展しているなど、輸送サービスの高度化という政策目標については、課題が残されている。
一方、混雑が緩和する中で、人口の高齢化が進んでいることなどを背景として、鉄道路線間や鉄道とバス間の乗り継ぎ利便性向上への要請が強まりつつあり、今後は情報機器等を活用した鉄道間やモード間のネットワーク・シームレス化が大きな課題と考えられる。また、答申第10号で掲げられた「計画実現方策」における建設費低減と高齢者や女性の社会進出を見とおした需要喚起策の両面を強力に推しすすめることが、利用しやすく事業性の高い鉄道を中心とする新たな交通ネットワーク形成の実現へと繋がるものと考える。
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