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船の科学館 もの知りシート

 事業名 海事科学知識の普及啓蒙活動
 団体名 日本海事科学振興財団 注目度注目度5


No.34/36
蒸気軍艦“ 咸臨丸(かんりんまる)”
 嘉永6年(1853)6月のペリー艦隊の来航をきっかけに、幕府は大船建造禁止令を解いて洋式軍艦の建造を始め、海外に新造艦を発注するとともに欧米の中古艦を買い入れて海軍力の増強をはかる政策に転じました。
 こうして、幕府が最初にオランダに発注した木造コルベット2隻の第1艦が“咸臨丸”(原名ヤパン)です。“咸臨丸”は、スクリュープロペラ推進の蒸気エンジンを装備するとともに、バーク型の帆装も備えており、汽走と帆走を併用できるようになっていました。
 オランダで完成した“咸臨丸”は安政4年(1857)にロッテルダムを出港、艦長のファン・カッテンディーケ海軍大尉以下の教師団によって長崎に回航され、海軍伝習所の練習艦となりました。
 万延元年(1860)には、日米通商条約批准(ひじゅん)のための外交使節の随行艦として、軍艦奉行(ぶぎょう)木村摂津守(せっつのかみ)、艦長勝海舟(かつかいしゅう)の他、長崎海軍伝習所でトレーニングを積んだ多くの士官や水夫を乗せてアメリカヘと向かいました。
 この航海では、往航で冬季の北太平洋を走ったため、難しい操船をよぎなくされましたが、同乗していたアメリカの測量船“フェニモアクーパー”船長ジョン・ブルックとその乗組員の協力も得て、無事太平洋横断に成功し、サンフランシスコに到着しました。
 “咸臨丸”は、その後輸送船として使われましたが、明治4年(1871)北海道沖で座礁沈没し、14年の短い生涯を閉じました。
 
(拡大画面:85KB)
“咸臨丸”の太平洋航程図(『幕末軍艦咸臨丸』より)
 
蒸気軍艦“咸臨丸”(復元模型)縮尺1/50
この模型は、“咸臨丸”が建造されたオランダに残されていた同艦の図面をもとに、プリンス・ヘンドリック海事博物館の協力を得てオランダで制作した復元模型です。
〔要目〕
排水トン数 625トン
全長 49.7メートル
8.5メートル
船質 木造
主機 蒸気往復動機関(100馬力)
帆装 3本マスト・バーク型
各舷 6門
造船所 スミット造船所(オランダ)
 
“威臨丸”復元模型の見どころ
 
シュラウドのターンバックル
3本のマストを支えるシュラウド(静索(せいさく))の船体への取り付け部は、帆船時代よりデッドアイと呼ばれる三目(みつめ)の滑車が使われてきましたが、“咸臨丸”では最新式のターンバックルが用いられていたことが資料により判明しています。
 
伸縮式の煙突
蒸気機関を搭載していたとはいえまだ信頼性は低く、バーク型の帆装設備をもっていて汽走と帆装を併用していました。煙突は長くしたほうが効率が良いのですが、帆走時に帆の操作のじゃまになるので伸縮式となっていました。
 
引揚げ式のスクリュープロペラ
“咸臨丸”は汽走時に最新式のスクリュープロペラ(当時は暗車(あんしゃ)と呼ばれました)を回して航走しました。しかし、帆走時はこのスクリュープロペラが水中で大きな抵抗となってスピードが落ちるため、上に引揚げられる構造になっていました。







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