2001年7月17日 『世界週報』3号
北朝鮮の軍事優先政治とそのジレンマ(上)
小此木政夫
本年一月一日の「労働新聞」「朝鮮人民軍」そして「青年前衛」の共同社説は、一方で北朝鮮の国民に「古い観念から脱して、斬新に思考し、ますます高く飛躍する」ことを要求しているが、他方で「二一世紀の社会主義赤旗進軍を行っていく上での基本は、軍事優先革命路線を堅持していくことである」と断言している。ここで使用された「軍事優先(先軍)革命路線」という概念こそが、現在の北朝鮮の革命と建設の基本路線であるといってよい。
本稿の目的は、そのような軍事優先政治の生成、発展および構造のアウトラインを描写し、それによって現在の北朝鮮が直面する戦略的ジレンマを明らかにすることである。当面する重要問題、とりわけ金正日委員長のソウル訪問やブッシュ政権との安保交渉への北朝鮮の対応を考える上で、それは極めて重要な示唆を含んでいる。
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