◆核査察が日朝交渉の前提だ
日本政府に改めて要望することは、日朝交渉の前提条件として核査察の受け入れを条件とすべきだ。北朝鮮がその条件を受け入れたとしても既にみた通り、効果が上がるかどうか疑問であるが、その条件は不可欠である。北朝鮮がそれに応じなかったなら交渉は続けるべきではない。
次に、対南解放路線の放棄も交渉の条件とすべきである。これがあいまいのまま経済援助を開始すれば、北朝鮮のこの誤れる政策を日本が支援することになり、こと志と違って朝鮮半島の平和と安定を逆に脅かすこととなる。そんなことは間違ってもやってはならないことだ。
わが国の一部に、日本のカネや技術が北朝鮮に入ると、北朝鮮が変わる―などと主張している人がいるが、日本などと比較できないほど大きな影響力をもっているソ連、中国のペレストロイカも開放経済体制も、まったく受け付けない同国に、日本の影響力のみが何故及ぶのか。そんなことは幻想である。
いまわが国は、金日成政権と関係を改善しないと何か困ることでもあるのだろうか。何もない。繰り返していうが、北朝鮮に個人神格化などではない、南北共存を認め、核査察も認めるノーマルな政権ができたなら、その政権と関係を改善し、植民地支配の後始末をすべきだ。それ以外に日朝の友好は考えられない。
著者プロフィール
佐藤勝巳(さとう かつみ)
1929年、新潟県生まれ。
日朝協会新潟県連事務局長、日本朝鮮研究所事務局長を経て、現在、現代コリア研究所所長。
「救う会」会長。
※ この記事は、著者と発行元の許諾を得て転載したものです。著者と発行元に無断で複製、翻案、送信、頒布するなど、著者と発行元の著作権を侵害する一切の行為は禁止されています。