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◆食糧輸入のため外貨獲得が不可欠
 率直に言って、今後とも、北朝鮮の穀物生産が急上昇し、それだけで国内需要が満たされることはありそうにない。また、日韓両国からの現物提供は今年限りの例外的な措置である。日本の援助が可能だったのは、一昨年の冷害時に大量の外国米を輸入したからであり、一方、韓国はすでに国産米の在庫を使い切ってしまった。また、国際連合などの緊急人道援助が根本的な解決策になるわけではない。従って、北朝鮮指導部は自給自足に固執し、緊急援助に依存するよりも、別の方法によって危機の打開を図るべきだろう。
 要するに、食糧を自力で調達するだけの外貨を稼げばよいのである。それが自力更生というものである。インフラストラクチャーを整備し、基幹産業の設備を更新し、産業全体を再編するためには相当の期間が必要とされるが、低廉で良質な労働力を利用して、労働集約的な輸出産業を育成することは不可能ではない。とりあえずは、ベトナムの「ドイモイ」政策が良いモデルになる。しかも、北朝鮮の場合、指導者さえ決断すれば、冒険心に富む韓国の企業家たちがすでに対北投資を準備し、その機会を待ち構えている。輸出製品のための海外市場も、韓国企業が率先して開拓するだろう。
 ただし、そのためには、対外経済開放、とりわけ南北経済交流が不可欠である。また、制限された地域内であれ、ある程度の経済改革、すなわち部分的な市場経済の導入も必要になるだろう。さらに、大規模な南北経済交流を実現するためには、政府間の投資保障が不可欠であり、そのためには南北対話の再開と韓国政府の協力が欠かせない。日朝国交正常化に伴う請求権・経済協力資金が利用できれば、インフラストラクチャーの整備や基幹産業の設備更新も可能になるが、それは次の段階でのことである。
 
 
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