産経新聞朝刊 2002年10月16日
社説検証 拉致事件 朝日
■日朝交渉を停滞させるな
北朝鮮経済の立て直しには、西側の経済協力が欠かせない。これは中国を含む関係国の一致した認識である。北朝鮮はメンツにこだわっている時ではない。
一方、日本は戦前の加害者としての反省に立ち、経済再建を積極的に支援する姿勢を忘れてはなるまい。(4年11月8日)
■「テポドン」一年の教訓
日朝の国交正常化交渉には、日本人拉致疑惑をはじめ、障害がいくつもある。
しかし、植民地支配の清算をすませる意味でも、朝鮮半島の平和が日本の利益に直結するという意味でも、正常化交渉を急ぎ、緊張緩和に寄与することは、日本の国際的な責務といってもいい。(11年8月31日)
■ともにバスを動かそう
「バスに乗り遅れるな式に急ぐな」という論がある。確かに日朝間には、拉致、ミサイル開発、不審船など固有の問題がある。こうした問題の解決はゆるがせにできない。しかし、固有の問題にとらわれるあまり、北朝鮮の外交姿勢の転換や国際情勢の変化への適切な対応を怠れば、大局を誤る。
だれかの運転するバスに飛び乗るのではなく、他の当事国とともに、日本がバスを動かす。その自覚が必要だ。(12年7月28日)
■変化は行動してこそ
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が積極外交に再び舵(かじ)を切った。
北朝鮮が対話のテーブルに戻ることは、北東アジアの平和と安定に欠かせない。北朝鮮の変化をまずは歓迎したい。(14年8月2日)
■生かしたい首相の決断
日本の首相の平壌訪問は初めてだ。突然の発表には驚かされたが、自ら乗り込んで局面打開を図る首相の決断を評価したい。
北朝鮮側が強く求めている日本の植民地支配の「謝罪と補償」について、自らの考えを明確に伝えることも欠かせない。靖国神社参拝など自らの言動が、近隣諸国の反発や不信を生んでいるだけに、平和への強い意思を伝えることが大切である。(14年8月31日)
■悲しすぎる拉致の結末 変化促す正常化交渉を
拉致問題が極めて重大なことは言うまでもないが、それを理由に対北朝鮮制裁などで、正常化交渉の窓口を閉ざすべきではない。そうした問題を二度と起こさせないためにも交渉に入るという首相の決断を、植民地支配に対する謝罪表明とともに支持する。(14年9月18日)
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