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産経新聞朝刊 2002年10月16日
社説検証 拉致事件 毎日
 
 ■「恩恵」失跡のなぞの解明を
 政府には、女性の消息の把握はもちろん北朝鮮入国の事実関係について解明への努力をする義務がある。北朝鮮側に対しても、納得できる説明を求めたい。(3年5月17日)
 ■拉致疑惑解決は外せない
 拉致疑惑に関して首をかしげるような発言が一人の政治家の口から飛び出した。
 日朝友好議員連盟の新会長に就任した中山正暉氏が8日の記者会見で「国交を正常化させ(日朝両国が)関係を深くしていったら、おのずからそういう問題は明らかになっていくのではないか。拉致を前提に置くと何も進展しなくなってしまう。その辺の呼吸は微妙だ」と語ったのだ。
 中山氏の発言は、議連としての正式な方針ではなく、会長個人の見解を披露したもののようだが、とても賛成できる内容ではない。(12年8月10日)
 ■到底納得できない措置だ
 拉致事件の実行犯(辛光洙)は自由の身となり、「英雄」として祖国へ帰った。しかし、被害者の行方や生死は、今もって分からない。こういう不条理が許されてよいはずがない。(12年9月4日)
 ■誠意ある回答、具体的に示せ
 北朝鮮は日米との外相会談や南北閣僚級協議に応じるなど、この1カ月来の姿勢は、対話路線への転換のようにも見える。
 北朝鮮の姿勢は、なお意図が明確でない。経済危機の深刻化から援助を取り付けるためだとか、韓国で高まる太陽政策への批判を和らげる狙いだとか、憶測はさまざまだ。かつては米国と交渉し、日韓を揺さぶる戦術をとった。日米韓がしっかり連携し、対話路線への転換が本物かどうか、慎重に見極めることも重要である。(14年8月17日)
 ■一点突破に成算はあるのか
 日朝の首脳会談は史上初めて。諸懸案を首脳の話し合いで一挙に打開する狙いだが、功を焦るあまり、無原則な交渉であってはならない。
 首相は会談に当たって、日朝関係を阻む問題すべてに解決のめどをつけ、国交正常化交渉をできるだけ早く軌道に戻すべきだ。北朝鮮は、拉致された人々が今どうなっているのか、調査を終え具体的に回答すべき段階だ。(14年8月31日)
 ■許し難い残酷な国家テロだ 拉致究明なき正常化はない
 会談で「おわびしたい」と述べたが、平壌宣言では「日朝の不正常な関係にある中で生じた遺憾な問題」という表現で、片付けてしまった。謝罪の言葉は、今後の公式文書に明記すべきだ。(14年9月18日)
 
 
 
 
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