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産経新聞朝刊 2002年10月16日
社説検証 拉致事件 読売
 
 ■失踪女性のナゾを解明せよ
 他国の国民を、無理やり連れ去るなどという無法は、国際社会に断じて存在してはならない。国家主権に対する重大な侵害であるばかりか、きわめて反人道的な犯罪行為だ。
 政府は、近く開かれる日朝国交正常化交渉の席で、女性の消息の確認を求めるという。当然のことだ。(3年5月17日)
 ■原則を踏まえた交渉が大切だ
 日本人拉致問題は、人道上も、国家主権の侵害という点でも許容できない。北朝鮮の金正日総書記が最近、「日本との国交正常化を望む」とする一方、「まず『拉致』という話をやめよ」と発言したと伝えられるが、拉致問題を棚上げして交渉を進めることは出来ない。(12年7月27日)
 ■北朝鮮の時間稼ぎは許されない
 北朝鮮が最近、日米韓との対話攻勢を強める背景には、経済危機の深刻化の中で、国際社会から経済支援を取り付けようとの思惑がある、とされる。
 北朝鮮の最大の狙いは、米国との本格交渉再開にあり、日韓との交渉は米朝交渉再開に向けた環境整備、との見方も出ている。こうした北朝鮮の意図を慎重に見極めて対応しなければならない。(14年8月20日)
 ■局面打開への決断は実るか
 一国の首相が、国交のない国へ足を運ぶのである。国政の最高責任者として、極めて思い切った決断である。
 国交正常化への一歩と位置づけているからには、単なる顔合わせに終わっては意味がない。首相の訪問である以上、実が求められる。(14年8月31日)
 ■「北」は平壌宣言を誠実に守るか
 北朝鮮の金正日総書記は、小泉首相との首脳会談で、初めて拉致事件の存在を認めた。
 北朝鮮の国家的犯罪であり、北朝鮮がテロ国家そのものであったことを認めたに等しい。
 北朝鮮との交渉には、米国や韓国とも役割分担をしながら、進めていくことも不可欠である。日米韓三か国の連携強化を通じ北朝鮮を国際社会との協調関係へ転化させていくことが大事だ。(14年9月18日)
 
 
 
 
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