産経新聞朝刊 2002年9月28日
14年版警察白書 北朝鮮の諜報活動「戦後約50件を摘発」
◆日朝首脳会談「拉致謝罪」部分を急遽追加
警察庁は二十七日、平成十四年版警察白書を公表した。「国際テロ情勢と警察の対応」の章で、北朝鮮の日本人拉致事件について金正日総書記が拉致の事実を認めたことに触れ、警察当局としては「外務省をはじめとする国内外の関係機関と連携し、所要の捜査の継続」を強調している。
白書は日朝首脳会談前にまとめられたが、首脳会談で金総書記が日本人拉致の事実を認め、謝罪した部分について追加した。
首脳会談で金総書記は、拉致は特殊機関の一部の妄動主義者と英雄主義者がやったこと、と説明したが、白書は拉致の目的について「必ずしも明らかではないが、北朝鮮工作員が日本人のごとく振る舞えるようにするための教育を行わせることや、北朝鮮工作員が日本に潜伏して拉致した者になりすまして活動できるようにすることなどとみられる」と分析した。
北朝鮮の日本国内での諜報(ちようほう)活動について「戦後約五十事件を摘発。対韓国工作の拠点としての活動、在日米軍に関する情報収集活動などが行われている」と指摘。
さらに、死亡と伝えられた元神戸市外大生の有本恵子さん=当時(二三)=拉致事件で、警視庁が結婚目的誘拐容疑で安部(本名・魚本)公博容疑者(五四)の逮捕状を取るなど日本人拉致に関与した「よど号」犯人グループについても言及。朝鮮労働党の指導の下で金日成主義に基づく日本革命を目指しているとして、「警察当局では北朝鮮の動向がわが国の治安に及ぼす影響に引き続き十分な注意を払っている」としている。
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