産経新聞朝刊 2000年10月25日
拉致第三国案「個人見解」発言撤回 中山正暉氏に聞く
北朝鮮による日本人拉致(らち)疑惑をめぐり、森喜朗首相の二十四日の衆院本会議での修正答弁を受け、中山正暉元建設相は産経新聞の取材に応じた。主なやりとりは次の通り。(聞き手 今堀守通)
◆首相との打ち合わせ「あうんの呼吸」
−−平成九年の与党訪朝団における中山氏の発言は、どのような経緯から出たのか
「団長だった森首相(当時・自民党総務会長)が『拉致議連会長としてあなたからも発言を頼む』と言ったので、(平成九年の)警察白書を根底に述べた」
−−中山氏の発言は、訪朝団の提案ということでよいのか
「(訪朝団のメンバーは)実際、立派な提案だったとほめたし、私の言うことを信頼してくれた。それなのに、突然、(森首相らが中山氏)個人の発言として言い出したから腹が立って、首相官邸に抗議に行った」
−−提案の内容について事前に訪朝団内で打ち合わせをしていたのか
「お互い政治家だから、そこはあうんの呼吸だ」
−−森首相には直前まで知らせていなかったと
「いちいち私から(打ち合わせでもして)言うわけがないだろう。ただ、私は森首相がいう『第三国』というような言葉は一切出していない。北朝鮮にいるはずの日航機『よど号』乗っ取り犯は、田中義三被告がカンボジアで発見され、事件当時、十六歳だったメンバーは神戸で見つかった。だから、世界中どんなところでもいいから『行方不明者』が発見され、北朝鮮側も発見を知ったら教えてほしいという意味で言ったのだ」
−−中山氏の発言を森首相が理解していなかったということか
「独自の解釈をされたのかもしれないが、北京とかパリとかいう具体的な地名を出せば、その国にとってはテロにかかわっているようにみられるから、失礼な話だ」
−−森首相らが陳謝したことで、気持ちは治まったか
「森首相とは同期の友達であり、今日の衆院本会議で首相自らが訂正してくれたから。ただ、本会議でも『第三国』と発言していたので、あの言葉を使うのはよくないと安倍晋三官房副長官には伝えておいた」
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