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毎日新聞朝刊 2000年10月5日
北朝鮮にコメ50万トン 「人道」から「政治」支援へ−−自民党部会了承
 
 自民党は4日午後、党本部で外交部会を開き、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対して50万トンのコメ支援を行うとの政府方針を了承した。この結果、国連機関である世界食糧計画(WFP)の要請量約19・5万トンを日本単独で大幅に上回る異例のコメ支援が事実上確定し、政府は6日に正式発表する見通しとなった。50万トンのコメ支援に伴うWFPへの拠出金は175億円だが、政府米価格との差額補てん分を含めると約1200億円の財政支出を必要とする巨額の支援となり、対北朝鮮コメ支援は従来の「人道援助」から「政治支援」に転換する。(2、3面に関連記事)
 外交部会に出席した河野洋平外相は「日本人拉致(らち)問題、ミサイル開発問題の解決が最終目的という政府の立場に変わりはない」と弁明したうえで「そこに至る環境整備に役立てたいという趣旨を理解してほしい」と述べて、50万トンのコメ支援について了承を求めた。
 出席議員の一部からは「拉致問題などの交渉がうまくいく保証があるのか」との疑問が出されたが、「大臣の発言を重く受け止めたい」「国際機関の要請に応じてやることだ」などの賛成意見が相次ぎ、政府方針が了承された。
 外務省はWFPの要請量を上回る理由について、WFP事務局が9月28日に来年も今年と同規模の対北朝鮮食糧支援が必要との談話を発表したことを強調。今年7月までさかのぼった年内の必要量約29・2万トンと来年分約58・5万トンの合計約88万トンのうち日本が50万トンを拠出するとの位置付けで理解を求めた。また河野外相は「6月の南北首脳会談以降の朝鮮半島の変化を前向きに後押しする」と、政治支援であることを認めた。
 政府は今年3月にも10万トンのコメ支援を決定したが、その後北朝鮮側は非公式に「日本が約束した量は50万トンであり、残り40万トンを早急に支援してほしい」と要請していた。関係者によると、森喜朗首相が自民党総務会長時代の1997年11月に与党3党の団長として訪朝した際、北朝鮮側から100万トンのコメ支援を要請され、同行した議員の一人が「50万トン程度なら検討する」と回答したという。このため北朝鮮は、50万トンは日本の約束済みの支援と受け止めているという。
 
 
 
 
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