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延長・一時保育を実施して
 居残り保育から延長保育へと移行し、開所時間も午前7時15分から午後7時15分までの12時間保育の開始です。これは保護者の意向を充分に聴き、アンケートなどにより確認しあった上でのことです。朝の開始を7時15分という設定に話し合いが集中しました。この15分は預ける親にとっても、受け入れる保育園側にとっても、貴重な15分であるということで検討をいたしまして、保護者も保育園側も午前7時15分から午後7時15分までが一番良いという結論でした。
 園長の私は、かねがね延長保育を受ける園児たちを、「居残りさーん」と呼ぶことに対して、あまり好感がもてませんでした。長い時間保育を受ける子どもたちを、まるでおまけの(例えば、キャラメルの箱の上についている、おまけの小さな箱のような)感覚でとらえることに反対でした。そのような視点から、延長保育に愛称をつけてみようと思いたちました。早速、子どもたちに相談しましたが、「ウルトラマン」や「リカちゃん」等々、マンガのキャラクターから一歩も出ることができません。そこで、保護者の方々から考えてもらうことにしました。公募箱を玄関に出しまして、自由に入れてもらいました。これが大成功!「トマトクラブ」という可愛い名前が決まりました。
 平成9年4月から、我が園が50年以上も呼びなれた「居残りさーん」をやめて「トマトさーん」に変身しました。このトマトクラブは子どもたちにとても人気がありまして、延長保育の必要のない子まで、トマトクラブに参加したがって困ったこともありましたが、最近では約40名(90名定員)の利用状況です。
 こんなエピソードもあります。県が行う、指導監査の日に、延長保育は4時以降のおまけの保育ではなく、トマトクラブの愛称と、計画をきちんとたてた上で、子どもたちが、自由に過ごせる場を設定していること等が話題になったのでした。その後、かなりの日数がたってから、他の用件で地域福祉センターの方と電話でお話をしましたときに、「トマトちゃん」元気一杯遊んでいますか?と電話の向こうに、優しい笑顔の見える会話ができました。子どもたちは、大勢の人たちに見守られ、援助を受けて育つことを実感いたしました。
 次に、トマトクラブの一日の流れを記してみます。午後4時、降園する友だちと、さよならのあいさつを交わして、トマトクラブの部屋(普通の保育室)へ直行。39名の子どもたちの活動が始まるのです。ここで、3歳未満児は未満児の保育室で保育が始まります。今年度は0歳を含めて10名がトマトちゃんですので、保育士2名が担当します。3歳以上児28名にも最初保育士2名が担当しますが、別表でもわかる通り、全員が7時15分までトマトをしているわけではありませんので、順次、子どもの数を見ながら担当から外れる仕組みになっています。最後のトマト担当は1名または2名です。職員体制は月曜から金曜までのローテーションと土曜だけのローテーションを組んでまわしております。当保育園は土曜日も午後7時15分までのトマトクラブがありますので、保護者から喜ばれています。月曜から金曜まで1か月トマトを利用する場合は、保育料1か月1,500円です。また、土曜日のトマトを利用する場合は1回400円です。これは土曜日午後の食事代(うどん、サンドイッチ等)です。これらは市の福祉事務所と協議して決めております。利用料の安さも保護者の間で人気があるようです。








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