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2.一時保育
 エンゼルプランに基づく緊急保育対策等5か年事業として実施されていた一時保育は、多様な保育ニーズに対応するサービスとして期待された保育ですが、当園では制度的に満たすことができず、なかなか実施に踏み切れませんでした。
 
制度的に実施できなかった理由
[1]園舎が狭く、専用の部屋が用意できない。
[2]職員は満たせるが、日常の保育内容を維持することが難しいと判断した。
[3]利用者がリフレッシュするための保育をする余裕がなかった。
[4]緊急な保育利用に対しては園のサービスで実施していたが、人数に限りがあるため。
 以上の理由から制度的に受け入れができず、園の自主事業として緊急保育のみ実施して、地域の要望に応えて感謝されていました(昭和60年代より月1人〜2人程度)。
 
制度的実施
 平成11年度より、利用者の希望が増加してきました。他園で実施しているため、問い合わせが増えてきて、地域のニーズに応えるべく自主事業から補助事業に切り替えて実施し、緊急一時的な要望に対応するようになりました。
 
利用者の内容
[1]第2子の出産入院のため、第1子(2・3歳児)の保育
[2]家族の入院・介護のため、保育ができない(乳児が殆ど)
[3]冠婚葬祭、小学校運動会、遠足、PTA出席(0〜2歳児)
[4]幼稚園から帰園後、土曜日の保育
[5]パート就労
[6]就職活動
 必要に迫られた保育であり、園としては受け入れが大変ですが、対応して感謝されています。
 
利用料について
 当初は、市の設定に準じて共通料金で出発しました。平成13年度より、各園で自由に取り組むこととなりましたが、当園では当初よりそのまま実施しています。1日3歳未満児1,500円、3歳以上児1,000円。
 市内各園では、1日3歳未満児3,000円、3歳以上児2,000円、1時間500円等、バラツキが出てきているのが現状です。
○保育料を安くすると、大勢利用者が来て困るということがあります。
○利用者が金額を聞いて、安い所を希望する傾向があります。
 
受け入れについて
○一時保育の登録者にも、できるだけ慣らし保育を実施してもらうようにするとよいでしょう。
○緊急の場合は理由を聞いて、無理な保育でも最善の努力を尽くすようにしています。
○子どものことを考えて、なるべく時間を短縮してもらうよう協力を求めています。
○お互いの立場を理解し合って保育を進めます。
○連絡先だけは、必ず確認します。
○朝の受け入れは、ベテラン保育士が視診をしっかりします。
 
経過として
 当園は初めから緊急保育を重点に実施してきています。今後もその方針で進めたいと思っていますが、現在、定員に対して125%入所率の中で、一時保育を実施することは限界があります。当園では園舎も増設できませんし、保育園の定員が多いことは良いとは思っておりません。むしろ、弊害があると考えています。家庭的な雰囲気の中で、明るく、楽しく生活できる環境が乳幼児を健全に育てる原点とも考えております。
 
今後の展望
○一時保育は、制度的には必要な保育です。
○困っている利用者の立場を理解し、子どもを優しく見守り育てていくためには、保育者は喜んで対応しなければと思います。
○一方、保育士としては、心と共に技術的な資質を磨くことも必要なことと考えます。
○利用者も、自分の子育てを真剣に考え、判断しながら利用する心掛けを是非失わないようにしてほしいと思っています。
 
まとめ
 少子化対策は叫ばれている割には伸展せず、効果は見えてきていませんが、それぞれの分野でその原因を真剣に考えて、実行に移していくべきです。
 少ない子どもをよりよく育てることは大切なことと、私達も保育を通して役割を果たす努力をしていますが、それは一部分であり、総合的な取り組みによる対策を立て、的確な考えの基に予算化して進んで行くことが今求められていると思います。
 21世紀を豊かに生きるためには、子育てこそ重要な事業ではないでしょうか。








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