日本財団 図書館


第3分科会 私の園の虐待防止対策
司会者 栗本 広美 (東大阪市・白鳩保育園理事長)
提案者 小山よしえ (東大阪市・フタバ学園長)
助言者 才村  純 (日本子ども家庭総合研究所ソーシャルワーク研究担当部長)
 
提案要旨
私の園の虐待防止対策
小山よしえ (東大阪市・フタバ学園長)
 
1. 事例報告
 
[1] 父  : 43歳 工員→タクシー運転手
  兄  : 6年生→中学2年生
 A 子 : 3歳児6月より入園→卒園→養護施設入所
* 父親は離婚後、地方より兄とA子を連れ本市に転居する。方言が気になるのか無口である。仕事も定着しなかった。工員をしていた頃は毎日帰宅していたが、酒を飲む事が多く、タクシー運転手に転職後は仮眠室での生活になり、帰宅しなくなった。
* 兄がA子の登降園、生活面の世話をしていたが、友人との遊びがおもしろくなり世話をしなくなった。
* A子は素直ないい子で園を殆ど欠席する事はない。5歳児になり降園後外へ遊びに出る事が多くなり、夜公園を一人ふらふらする事やまた、休日も一人で他児の家へ行き、食事をさせてもらう事も多くなっていた。夕食は兄から100円をもらい、パンですませる事も多い。
○ 就学後の生活に不安を感じ、福祉事務所と相談。父の職場を何度も訪問し、養護施設への入所を決定した。
[2] 父  : 31歳 長距離運転手(生活不規則)
  母  : 25歳 生命保険勧誘・パート店員・看護婦・飲食店ウエイトレス
  姉  : 4歳児4月入園
 B 君 : 2歳児6月入園
  弟  : 1歳児4月入園
* 父親は1週間の内1〜2日在宅する。
 母親はいつも気難しい顔をしている。飲食店のウエイトレスをした頃(B君5歳児)より生活に安定の気配が見られ明るくなり、化粧をするようになった。
 B君に対しても特ににらみつけたり、無視する事がなくなった。また、B君の傷も見られなくなった。
* B君は入園当初より登園時、母親とわかれる時も泣く事はなく元気に遊ぶ。保育士には、ひざに座ってベタベタ甘えてくる。身のまわりの事は殆ど自分でできる。4月生まれであるが身体は小さく、頭部はデコボコで傷をする事が多い。顔・手・足・身体に爪のひっかき傷がよくある。姉・弟はいつもきれいな顔をしていて傷はない。衣服・くつ他、弟のおさがりを使用。(B君4歳、弟3歳で殆ど同じ体重。見かけは弟の方が大きい)
○ 子どもの成長と生活の安定により、母親にゆとりが出来イライラする事も少なくなった。
[3] 父  : 33歳 自営業
  母  : 30歳 パート・内職(仕事は続かない)
 C 君 : 5歳(兄)2歳児より入園
 D 子 : 3歳(妹)0歳児より入園
* 父親はおとなしい性格で、子どものことは大切にしている。
* 母親はノイローゼ(社会的孤立・友人がいない、作れない・生活ストレス)
 母親自身の生育暦に問題がある。気分のよい日は自分からよく話しかけてくる。
 「結婚はしたくなかった」「子どもが出来て自分の時間がなくなった」何もかも諦めた。でも諦めきれないジレンマでヒステリックになり、また無気力になる。育児も思うように出来ない。「スチュワーデスになりたかった」「エレクトーンの先生になりたかった」「○○大学の通信教育を受けたい」など自分の夢を語る。
 保育園内でも、自分の思うように子どもがしないと発狂する。(大声を出す)
 規則正しい生活・人間としての基本的な生活が出来ない。(衣・食・住)
* C君・D子は母親が朝きちんと起き、朝食を取らせることが出来ないため、登園時間が決まらない。10時・11時・給食時間頃の登園になることもある。欠席が多く保育士が自宅まで迎えに行くと、2人は玄関先で遊んでいる。
 園の生活リズムにのれない・何事にも無気力である。降園後や休日に他児の家へ遊びに行き、冷蔵庫を開けたり遅い時間になっても帰りたがらないなど、他児保護者からの苦情を聞く。(母親の無関心に対する抗議)
○ D子が卒園後、両親離婚。兄弟は施設に入所
 
2. 私の園の虐待防止対策

 基本的な事ではあるが次の2項目はとても大切にしています。
[1] 保育者間の連絡を密にする。
★ 職員会議に時間をかける
・ 月1回
・ 19:00〜21:00
・ 全職員
・ 内容
 ・ 各クラスの様子
 ・ 早朝、延長保育
 ・ 子育て支援
 ・ 給食、調理
 ・ 一時保育
 その他リーダー会議・行事会議等をもち、年間通し全職員の食事会や研修旅行・職員旅行など職員間の親睦を深めています。
 その他毎日の出来事で、全員に知らせたい事は職員連絡ノートにて報告・連絡・相談を行います。
[2] 保護者との信頼関係の構築に努力する
★ 3つの目標を大切にしています。
・ 楽しい保育園…いっぱい遊ぼう・もりもり食べよう・何でも学ぼう
・ 信頼できる保育園…いつも笑顔で元気いっぱいの保育士が大切なお子様のお世話をします。お母さん安心してお仕事頑張って下さい。
・ 安らぎのもてる保育園…事務的にならず暖かく話しやすい雰囲気の中で保護者にとっても子ども達にとっても「ホッ」と出来る家庭的な保育園を目指します。
★ 園独自の個人連絡ノートにより、朝食・夕食等を記入して頂く。また、保育園での出来事に理解を持って頂き、保育者・保護者・子どものコミュニケーションのキャッチボールが楽しめるようにしています。
★ 子ども達の様子は写真を通し保育を理解し、子育てを一緒に楽しめるよう心がけています。
 
3. 今後の課題
 
・ 学校との連携を考える
・ 子育て支援活動を広める
・ 虐待をさせない環境作り
・ 職員の研修会参加








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION