日本財団 図書館


第2分科会 感染症の予防の取り組み
司会者 高田テルミ (貝塚市・貝塚南保育園長)
提案者 坂本 尚代 (岸和田市立旭保育所看護婦)
助言者 大林 一彦 (大阪小児科医会副会長)
 
提案要旨
感染症の予防の取り組み
坂本 尚代 (岸和田市立旭保育所看護婦)
 
 保育所の役割は、保育だけでなく「子どもの健康を守る」ということも重要な事です。とりわけ、感染症の予防は、集団生活を送る保育所ではとても大切です。
 園児の定数枠の弾力化が進むなか、入所児の増加や長時間保育の子どもも多くなり、生活を密着する機会も多くなっているのが現状です。特に、乳児は抵抗力が弱く、疾病に患かると重症化することがよくあります。その為、日頃から感染症の予防に努めておくことが必要です。
 まず一点は予防接種があげられます。市の発行する健康だよりを園内に貼りだしたり、懇談会に出席して保護者にその重要性を話します。また年一回、感染症罹患状況と予防接種状況を調査し統計をとっています。そのことにより、保護者も未接種のものがあれば意識することになり、看護婦も保護者にかかりつけ医と相談のうえ接種してもらうように話すきっかけになります。接種をすれば報告してもらい、健康台帳に記入します。
 もう一点は、環境、清潔への配慮です。
1. 手洗いの励行
1. おもちゃや砂場を清潔に保つ
1. おむつ交換の場所を決める、便を扱う時は使い捨て手袋を使用する
1. 部屋の温度、湿度、換気に注意する
 などがあげられます。
 それでも感染症が発生すればどうするか、ということになります。普段から子どもの様子を十分把握し、異常があれば保護者に連絡します。病院に受診してもらい、感染症であると診断された場合は、登園についてかかりつけ医と相談し、登園許可書を持ってきてもらいます。特に、乳児クラスで麻疹などがでた場合は、予防接種をしていない児に早急にかかりつけ医と相談するように勧めるなど、感染予防に十分配慮します。また、嘱託医と連携をとり、地域で流行している感染症について知ること、それをおたよりで保護者に知らせることも大切だと思います。
 そんな中で、私たち看護婦が一番難しいと感じることは、保護者への対応です。感染症の疑いがあると思っても、多くの保護者が厳しい労働条件の下で働いている中、仕事の途中で迎えに来てもらうことは、本当に伝えにくいものです。特に発熱も無く全身状態もよい伝染性膿痂疹(とびひ)や流行性結膜炎などの場合、早期に受診してほしくてもなかなか保護者に伝えられない事もあります。
 「子どもの健康を守りたい」という思いは、家庭も保育所も同じです。その同じ思いのもとで、お互いが協力しあい、嘱託医やかかりつけ医と相談しながら、子ども達が健康で快適な保育所生活を送れるように努力したいと思います。








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION