3−3. 沿岸域の管理主体について、どのようにお考えになりますか?
(該当に○印、コメント記入。)
|
全体 |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
H |
i)法にもとづく指定海域(港湾区域、漁港区域、海岸保全区域等)はそれぞれの管理者が決まっているので、それ以外のいわゆる「一般海域」については、国有財産的観点から、国が直接管理するのが好ましい。 |
46(27.9%) |
12 |
12 |
2 |
6 |
2 |
7 |
5 |
ii)「一般海域」が国有財産であっても、近接する自治体が管理するのが好ましい。 |
21(12.7%) |
2 |
3 |
5 |
1 |
3 |
5 |
2 |
iii)3-2で対象として決定した沿岸域管理の対象範囲は、法にもとづく指定海域と一般海域とを区別することなく、一体的に自治体が管理するのが好ましい。 |
20(12.1%) |
5 |
7 |
1 |
2 |
1 |
3 |
1 |
iv)3-2で対象として決定した沿岸域管理の範囲のうち、一定の区分にしたがって国と自治体が分担して管理主体となるのが良い。 |
68(41.2%) |
21 |
10 |
3 |
11 |
2 |
17 |
4 |
v)わからない。 |
10(6.1%) |
2 |
2 |
1 |
|
3 |
1 |
1 |
合計(N) |
165 |
42 |
34 |
12 |
20 |
11 |
33 |
13 |
<分析>
1)沿岸域の管理主体については、iv)「一定の区分で国と自治体が分担」が68(41.2%)で一番多い。
2)次いでi)「指定海域以外の一般海域は国」が46(27.9%)と続くが、他方、ii)「一般海域は自治体」が21(12.7%)、iii)「指定海域も一般海域も一体的に自治体」が20(12.1%)で、両方あわせると自治体管理も41(24.8%)となる。
3)さらに、iv)「一定の区分で国と自治体が分担」の枝設問に関する回答では、総数67に対して約半数の31(46.3%)が[2]「3海里までは自治体、それ以遠は国」と答えている。次いで、[3]「自治体、国が協議してそれぞれが管理」が24(35.8%)であり、[1]「12海里領海までは自治体、それ以遠は国」は6(9.0%)に止まった。
4)
参考資料(各国における海洋政策への取り組み)にも示したように、アメリカ、オーストラリアなどでは領海12海里のうちの3海里を州の管轄としている。これらの事例を参考にするとともに、地域社会と沿岸域との密接な係わりや管理主体が実効的に管理できるかといった観点を考慮に入れて沿岸域の管理主体を定めるべきと考える。
iv)3−2で対象として決定した沿岸域管理の範囲のうち、一定の区分にしたがって国と自治体が分担して管理主体となるのが良い。→どのような区分が考えられますか?
|
全体 |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
H |
[1](沿岸域の範囲が領海を超えるとした場合)12海里領海までは自治体で、それ以遠の海域は国が管理主体となるのが良い。 |
6(9.0%) |
3 |
1 |
|
2 |
|
|
|
[2](沿岸域の範囲が3海里を超えるとした場合)管理の実効性からして、(アメリカの例のように)3海里までは自治体が管理主体となり、それ以遠は国が管理するのが良い。 |
31(46.3%) |
12 |
2 |
2 |
6 |
|
8 |
1 |
[3]3-2で決定した対象範囲のなかで、場所によって自然・社会条件が異なるのであるから、自治体の判断、裁量で自らが管理対象範囲を定め、それ以外の範囲を国が管理主体となるよう協議して、各海域それぞれで決定すればよい。 |
24(35.8%) |
4 |
6 |
|
3 |
2 |
7 |
2 |
[4]上記のいずれでもない区分の考え方で、それぞれの区分ごとの管理主体を決めればよい。 |
6(9.0%) |
2 |
1 |
1 |
|
|
1 |
1 |
合計(N) |
67 |
21 |
10 |
3 |
11 |
2 |
16 |
4 |
*設問3−3.iv)で[4]を選択した場合、区分の考え方をご記入ください。
グループ
A
・ [3]の方法に基づくが、対象範囲は自治体の裁量に任せることなく、国と自治体との協議で設定する。
・ どのような考え方もあり得ると思うが、現在はまだ自治体の判断、裁量が成熟した状態でない点が問題である。(基本的には[3]かとは思うが。)
・ 自治体で地域の実情に応じた管理ができるところは、なるべく自治体が責任を持つべきであろう。
・ 対象範囲
1. 海岸線から一定範囲。自治体の判断を尊重した自治体管理。
2. 三大湾、瀬戸内海、新たな管理機構の設置(国、自治体、研究機関の共同体)。
3. 1、2以外の範囲、国が管理。
B
・ 船舶航海士の免許区分では沿海は5海里。
・ 3−3コメント(沿岸域問題と一口に言っても問題によって地圧的範囲は異なる。従って基本には3−2i)海側[4]の選択が望ましいと考えるが、実際的には地方分権が確立していない現状にあっては、大きな問題の括り毎に距離または範囲を明示するのが良いのではないか。)参照。
・ 区分の仕方と地域の実状に応じてフレキシブルにする案があるのでは。
C
・ 地域の特性により分担。重要性、近隣自治体との競合がある地域→国。
F
・ 1、領海より沖側は国が管理すべきである。2、一般の沿岸域は国の基本方針に基づき地先の都道府県が管理の主体で良いが。3、国民経済上重要な海域(例えば東京湾等、沖の島等)は県益優先の管理ではなく、国益的見地から国が管理すべきである。
・ 今までは沿岸域を利用する立場から、指定海域をそれぞれの管理者が管理してきたが、今後はより広域的に指定海域を含めて環境についても管理する必要があり、従来の管理形態とは違う管理が必要である。
・ 沿岸域の海岸線付近については、自治体が主体で管理すべきであるが、自然条件(地理、水質等)と社会条件(大都市、工場の密集都市など)条件が様々であるため、地域毎に設定すべきと考えます。
H
・ [3]の管理対象範囲分担を判断できる客観的機関が必要。
*設問3−3.についてのご意見、コメントをご自由にご記入ください。
グループ
A
・ 理想からすれば、生態環境を基準にしたい。これが不可能なら水深200m。
・ 管理の対象となる事項によって、沿岸域の範囲は定めるべき。
・ 改正された海岸法はi)を主点として考えておりこの施行で成り行きを見る。自治体が管理主体となるには、余程メリットが無いと財政負担ばかり多く、現実的ではない。3−2については、水深100mで定め(一般原則の付加として)、海域ごとに自然・社会条件が異なるのであるから、沿岸域管理の対象範囲は、地方自治体自身の判断、裁量に任せて、国はその決定過程で協議し、承認を与えれば良い。(所謂エネルギー資源漁業資源など、特別事項になるときはこれを考慮する。)
・ 沿岸域の範囲(海域)としては、3海里までを地方自治体が原則的に管理し、それ以遠は国に委ねる。ただし、3海里以遠まで当該自治体の離島や漁場等がある場合、その範囲は自治体で管理する。
・ 沿岸域は、3−1コメント(沿岸域を含め海洋は我々人類に古来から計り知れない「生物資源」を生産し、「海の幸」として我々は、これを享受している。海洋の重要性は気候変動に対する調整作用、船舶の航行による、社会的、経済的、文化的交流ともう一つ「再生産可能な生物資源、特に食糧資源の供給」にある。特に沿岸域は大事。)で述べた「生物資源の生産」の上からも、極めて重要なところであり、最近は「森−川−海」を一つのシステムとして理解しようという方向がある。沿岸に関する陸域、海域を一体として、保全、利用していく方策が考えられることが基本であると考える。
・ 本設問は、沿岸は自治体に一定の管理を任せるべきという前提に立って作られているようだが、1)全ての自治体が高い視野を持っているわけではない(土木事業優先、利益誘導型自治体も依然として多い。)2)国の管理がモザイク状に入り組んでいて、これに更に自治体のモザイクを加えるのは、問題をさらに複雑にしないか。
・ 3−2は沿岸と言っても学問的立場で異なる一般論としては扱えない。3−3は歴史的に妥当な線。
・ 陸域の人間生活・活動が海域の生態系に影響を及ぼす範囲を沿岸海域とし、この海域への影響が大きい人間活動・生活の営まれる範囲を沿岸陸域と考えるべき。(と講義で話しております。)従って、管理に関しても、生活・産業区域、河川流域等に鑑み管理主体を定める必要があると考える。(例)[1]フレーザー川(カナダ)、[2]サンフランシスコ湾(米)
・ 陸域の流域圏と同様、自然の系に着目して定めるのが良いと思う。具体的には東京湾、大阪湾など。
・ 国が一括して、或いは広い範囲を管理するとどうしても画一的になるので、そろそろ地元の個性を生かした管理があっても良いように思います。そうなれば自治体間での良い意味の競争原理を働かせて、より良い管理に繋がる可能性があるように思います。
・ 3−2で対象として決定した沿岸域管理の範囲のうち、一定の区分に従って国と自治体が分担して管理主体となるのが良く、その区分は(沿岸域の範囲が3海里を越えるとした場合)管理の実行性からして、(アメリカの例のように)3海里までは自治体が管理主体となり、それ以遠は国が管理するのが良い。
・ 地方分権と逆行するような意見であるが、国が行うことが望ましい。現在の地方自治体には、管理のための予算も専門家もないからである。今後、その部分が増強されれば自治体管理でも良いかもしれない。しかし、自治体での意思決定は地元の利害があまりに反映されやすいために、沿岸・海洋のような統合的視点から判断しなくてはならない問題に対しては、対応が困難であろう。
・ 対象範囲は1つの要素だけでは定められない。例えば、[1]海洋土木工事可能等の沿岸開発・利用可能な水深限界[2]陸域から流出される汚染物質等の影響限界(距岸距離)[3]沿岸漁場の漁業権設置水域(距岸距離)[4]マリンレジャーの主たる利用範囲等を日本沿岸全体で調査のうえ、適切な範囲を決めるべきである。範囲は全国一律が良いのか。自然・社会条件に応じた地域毎の範囲を定めた方が合理的かは検討する必要がある。
B
・ 海の各県の境を設けること自体がおかしく、国が管理すべきである。
・ 沿岸域問題と一口に言っても問題によって地区的範囲は異なる。従って基本には3−2i)海側[4]の選択が望ましいと考えるが、実際的には地方分権が確立していない現状にあっては、大きな問題の括り毎に距離または範囲を明示するのが良いのではないか。
・ 沿岸管理の計画策定および実行は、原則的には地方自治体が行うが、極端な政策を防止するため国の承認を要す。但し、国の過度の干渉は排除する。
・ 沿岸域については、県境を越えた管理が必要と考える。地域性が強く、地方の管理が適当と考えられる場所については、海岸保全区域等により、自治体の管理とする方策をとる。
・ 沿岸域の生態系は陸域と海域が密接に関わっている領域であり、また人間の主たる生活・社会活動範囲とも重なる。従って、一概に数字で括れるものではないと考える。当該地域の地理的条件、利用状況、生態系を考慮した調査をもとに有識者の意見に基づいて決定すべきではないか。(煩雑にはなるが)また、自治体の判断・裁量を尊重することは重要であるが、沿岸域の定義、管理方法などの基礎となる考え方は統一し、それに対し国がチェックできることが望ましい。場合によっては、複数の自治体に跨った沿岸域管理範囲を設定することも考えられる。
・ 国が直接管理することは困難であるのでiv)に賛成するが、基本的には沿岸域は国が管理するのが望ましい。
・ 沿岸域のうち陸域にについては別の取り扱いが必要ではないか。
・ 3−2ii)地形と土地利用状況。
・ 3−2の基準について「海側」と「陸側」の双方とも、自然の社会条件が区々に異なるため、先ず国が目安を定め、その後地方自治体が自身の判断・裁量により、国との協議、承認を経て決めるのが良い。
・ 3−2について[1]の海岸線からの距離で定めた場合はf:12海里が適当だと思われ、[2]の水深で定めた場合は、C:200mが適切だと考える。3−3については、別個、広域的な連絡調整機能を持った協議会が必要。回答としては、ii)だが、区分としては、[1]の12海里海峡までは自治体で、それ以遠は国が管理主体となるのが良いと考える。
・ 3−2i)について3海里の範囲内で[4]の考え方を適用してはどうか。全てを自治体の判断・裁量に任せることは運営上難しいと考える。沿岸域の管理主体はその地域を生活の場とする自治体(県または、道州レベル)が適当であり、自治体が管理することのできる、そして管理することがより適当な範囲は何かという視点から沿岸域の範囲を考えてみたい。指定海域の管理者についても特に支障のないものは自治体の管理に移すことを検討すべきと考える。
・ 3−2ii)の回答について「流域圏のような自然の系」には、海洋環境保全に不可欠な河川の適切な管理を含める必要があると思う。更には、河川上流の森川の状態が海域に悪影響を及ぼす場合には、その森林についても改善措置がとれるような体制が必要と思う。このようにすれば、わが国の水全体についてその質の確保が図られることになる。
・ 一体管理が重要。沿岸域管理を限定的かつ効果的に行うため、取り敢えず10kmで実施。以降状況に応じ拡大することを考慮する。
・ 沿岸管理地域における地方自治体と隣接自治体等の財政能力、産業規模、文化、社会、その他重要な海洋に関わる寄与度の基準から地域限定。
C
・ 3−2の[4]において、一定の指針を国が示した上で自治体の判断・裁量に任せるべき。3−3について、沿岸域管理の対象範囲は、海域ごとに自然・社会条件が異なるとはいえ、自治体自身の判断・裁量に完全に任せることは無理があるので、国が一定の指針をしめした上で、その範囲内で自治体が判断するのが適当である。
・ 3−2の[1]と[2]のコンビネーションか?例として、内海および3海里(これを超えても水深100m以内)。3−3はあくまでも将来の話として考えた場合、[1]海洋管理→国[2]沿岸域管理→自治体というメルクマールを先ず設定し、これに沿って自治体に管理を委ねて良い「区域」を定めていくのが合理的か?
・ 自治体に大きな権限を与えることが望ましく、かつ海側も陸側もケースバイケースか管理目的に応じ、沿岸域を設立するとの立場に立てば、自治体は充分大きく道州制が望ましい。そうでなければ、県、国の共管ということになろうか。自治体を強調するのは省庁の縦割りを克服するものとしてのことであるが、自治体が縦割りを克服できなければ意味がないことになる。
・ 3−2ii)の設問回答について分からない。
・ 沿岸域管理として実際にどのようなことを実行していくかについて、具体的な内容が明らかでない現段階において、そのエリアや主体を提示することは困難である。
・ 沿岸域管理の具体的内容が明らかでない現段階で、エリア主体を具体的に提示するのは難しい。
D
・ ・海側については、海岸線からの距離と水深を共に考慮したら良いと思う。・陸側については、海洋の開発・利用・保全と物理的に(自然の系として)密接不可分の範囲とするのが良いと思う。(数Kmのイメージか?)
・ 現行のように国の管理下に置き、限定した権限を自治体に付与すべき。
E
・ 管理者間の調整、財源問題について別途検討が必要と考えます。
F
・ 自治体の裁量を拡大しなければ現状と何ら変わらないことから、国有財産の考え方も併せて検討が必要。
・ 現状、沿岸域の管理が複雑であり、港湾建設などにおける影響が、他の管理区域などに影響する場合が多々あり、これらの問題解決においても統合的な管理が必要と考える。但し、設問においては、地方自治体が管理することを前提とした設問になっているが、公的資金の投入、統合的な施策を考えると、地方自治体ではなく、国の管理が望ましいと考える。
・ 1つの海を沿岸域等に分割して管理すると、現在の政府と同じ縦割り的な管理の悪癖がでないよう十分な検討が必要と思う。又、我々も沿岸域管理に関し、深く考える機会は、ほとんどと言って無かったのが実情である。
・ 海域管理には、海洋の特性に応じた方策が必要である。国と自治体の役割もそのような観点から整合を保つよう調整すべきである。
・ 沿岸域の管理主体については、i)の回答を原則とするが、地方公共団体やNPOの意見、陸域の流域特性や海域の開発利用特性による特例は認めることが望ましい。
・ 3−2の設問について特別な海域以外は海岸線からの距離で定めれば足りると思うが、特別な海域(東京湾等の内海)はその海域全てを指定すべきである。
・ 1)河川や地下水からの汚濁負荷、流砂などの循環系を念頭においた上で、海、河川、陸のどこまでを管理範囲とするか決める必要。河川の場合、塩水遡上領域も検討課題。2)沿岸域の中の陸域も、社会条件による。少なくとも周囲の主要道路と自然条件を入れて、沿岸域とすべきである。例えば、波が当たる崖が存在すればそれは漂砂源であるので沿岸域である。津波や高潮の遡上域は、畑地であっても防災上の沿岸域である。
・ 陸、海域は相互に影響し合うので、海域条件、陸域条件等土地の特性に対応して考える必要がある。
・ 沿岸域と一般海域でも潜在的な問題の主題が異なると考える。沿岸域は、国内、地域内を内在するが、一般海域は他国と隣接するため、他国関連地域との問題となる。よって、両者の管理主体は別にすべきである。
・ 区分は、一体管理が重要。沿岸域管理を限定的且つ効果的に行うため取り敢えず、10Kmで実施。以降状況に応じ拡大することを考慮する。
H
・ 沿岸域管理の対象範囲も、住民、自治体の意見を聞きながら国が定める方式が良い。海は一体のものとして国が責任を持つべきである。
・ 国と自治体の分担管理は権限・責任の分担が不明確になるため避けるべき。
・ 具休的に提言できないが、国は安全保障的見地等必要不可欠の分野を担当し、自治体に包括的に委かせれば良いのではないか。但し、その場合広域自治体にまとめるべきと考える。
3-4. 三大湾(例:東京湾、伊勢湾、大阪湾)および瀬戸内海については、一般論での扱いは不自然につき、異なる扱いが必要とお考えになりますか?
(該当のものに○印)
|
全体 |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
H |
i)一元的管理が是非、必要である。 |
98(58.7%) |
31 |
22 |
6 |
10 |
3 |
20 |
6 |
ii)できれば必要である。 |
36(21.6%) |
6 |
7 |
3 |
9 |
2 |
6 |
3 |
iii)他の海域と同様に扱うので対処できる。 |
20(12.0%) |
3 |
6 |
2 |
1 |
1 |
5 |
2 |
iv)わからない。 |
13(7.8%) |
3 |
1 |
1 |
|
5 |
1 |
2 |
合計(N) |
167 |
43 |
36 |
12 |
20 |
11 |
32 |
13 |
<分析>
1)「三大湾および瀬戸内海については、一般論とは異なる扱いが必要か」という質問に対しては、i)「一元的管理が是非必要」が98(58.7%)と6割近くを占め、ii)「できれば必要」の36(21.6%)を加えると、134(80.2%)で、8割に達する。この回答傾向は、iv)「わからない」が半数を占める<E:地方自治体>を除いては、どのグループでも押しなべて同様である。
2)どのような扱いが好ましいかという質問(設問3−5.)に対しては、ii)「単一の管理主体を新設」が75(48.1%)と半数近くを占めた。次いで、iv)「現行の管理機関の上位に調整機関を新設」が37(23.7%)。グループ別の傾向では、iv)「調整機関新設」が<C:中央官庁>で7(58.3%)、<D:研究者>で9(47.4%)とトップになっているのが注目される。
3−5. どのような扱いが好ましいとお考えになりますか?
(該当のものに○印)
|
全体 |
A |
B |
C |
D |
E |
F |
H |
i)湾内や内海のなかを、自然的社会的条件を勘案して海域区分し、それぞれの区分海域ごとに管理するのが良い。 |
13(8.3%) |
6 |
3 |
|
2 |
|
1 |
1 |
ii)三大湾と瀬戸内海は、それぞれ単一の管理主体(例:Bay Authority、Bay Council、瀬戸内海総合管理機構のような機関)を全く新しく設置して、あらゆる調査、開発、利用、保全活動を一元的管理の下に置くようにするのが良い。 |
75(48.1%) |
25 |
16 |
2 |
6 |
3 |
18 |
5 |
iii)三大湾については、高度利用の典型たる港湾の区域以外の海域を、そのような一元的管理機関の下におくのが良い。(参考:湾の面積に占める港湾区域の割合は、東京湾=58%、伊勢湾=18%、大阪湾=22%) |
13(8.3%) |
2 |
2 |
2 |
2 |
1 |
3 |
1 |
iv)現行の管理機関を基本として、これを横断する総合的な利用調整の機能と権限を有した上位の調整機関を新設してそこで必要な調整を図っていけば良い。 |
37(23.7%) |
4 |
6 |
7 |
9 |
1 |
9 |
1 |
v)現行の管理の仕組みで深刻な不具合は生じていないし、問題発生時にはケースバイケースで関係機関同士、協議、調整して処理しているので、現行の管理機構を改めなくても海洋管理に支障はない。 |
5(3.2%) |
|
3 |
|
|
|
|
2 |
vi)その他の考え方がある。 |
1(0.6%) |
1 |
|
|
|
|
|
|
vii)わからない。 |
12(7.7%) |
2 |
2 |
1 |
|
5 |
|
2 |
合計(N) |
156 |
40 |
32 |
12 |
19 |
10 |
31 |
12 |
*設問3-5.についてのご意見、コメントをご自由にご記入ください。
グループ
A
・ 具体的に可能だろうか?ちょっと考えただけでも、水産庁、国土交通省、環境省の調整は難しい。もちろん、可能であれば一元化管理が望ましく、方向性としては向かっていくべきである。
・ ii) or iv)ただし、どららにしても「屋上屋を架する」という結果に陥らないようにする必要がある。
・ 大都市が隣接した閉鎖性水域については、特別に一元管理するシステムを作ることが不可欠だと思います。調査データもばらばらです。かつ流域管理との一体化も進めるべきだと思います。
・ 具体的な湾名というよりも、複数の市町村が、湾や海域を介して共存しているようなところ(共通の認識がある)であれば、一元的管理を宣言することも出来るようにしたら良いのではないか。
・ 三大湾、瀬戸内海はわが国の最重要海域であり、広域的かつ巨視的な視点でコントロールしないと適正な保全と有効な利用、開発のバランスを保つことは困難である。国と自治休、研究機関等が一致協力して強力な管理機構を設置し権限を持たせ一元的な海洋管理を実施することが望ましい。
・ 3−3で書いた事例([1]フレーザー川(カナダ)、サンフランシスコ湾(米))を参考にされたい。
・ 3−3の回答(陸域の流域圏と同様、自然の系に着目して定めるのが良いと思う。具体的には東京湾、大阪湾等)と関連するが、三大湾や瀬戸内海以外も、比較的大きなスケールで海域区分して一元管理することが望ましい。次の3−6については、自然的、社会的条件の整理が必ずしも十分ではないので回答は控えさせて頂く。
・ 3大湾を特別扱いにし、規制を緩めた結果、汚染等により海域環境が悪化した。瀬戸内海も悪化が進んでいる。湾と外洋との出入り以外に河川から外洋への直接流出も含め一元化規制のもと、より厳しく規制する体制が必要と考える。
・ 三大湾/瀬戸内海のみならず、他の海域、特に閉鎖的海域において底質の悪化が憂慮され始めてから、既に久しく、長期間を掛け、人も金も掛け、これを解決する技術を開発し、実施する必要性は極めて高いと考えられるから、これを実行する行政システムが重要である。
・ 新たな管理主体を設けるというのも大変そう。結局、それぞれの自治体の相互連絡と調整のメカニズムをもっと効率的に働かせることのできる組織は何かと言うことになるように思われる。
・ できれば一元的管理が必要と見られるが、自治体の行政権が及ぶ範囲を剥奪することは不可能と見るべきである。従って管理者、国等の協議により、上位とは言えないまでも政策的な調整機関の賢明な組織造りと運営に依存せざるを得ないのではないか。
B
・ iv)「現行の管理機関」とは「3−3で選択した(ii)選択」管理主体」のことをいう。
・ 漁業資源の管理機構を参考にできる。
・ 湾内や内海の場合、自然的社会的条件を勘案して海域区分し、それぞれの区分海域ごとに管理するのが良い。
・ 米国のチェサピーク湾のように地方自治体、国等からなる調整機関を設けて、一元的に管理するのが望ましい。
・ 三大湾および瀬戸内については、利用、保全の形態を特別に考えて良いと思う。(何故ならば遥かに高度な利用がなされており、利害関係も多く、調整は地方自治体だけでは不可能と考えるから。)
C
・ 3−4iii)については、他の海域も一元的管理の思想に立つとして、他の海域と同様に扱うので対処できる。2−1iii)のホ)が役割を負えば良い。
・ 各種権利関係が輻輳し、高度の開発利用がなされている。三大湾については、できれば統一的主体による管理運営が望ましいと考える。
・ 3−3コメント(沿岸域管理の具体的内容が明らかでない現段階で、エリア主体を具体的に提示するのは難しい。)に同じ。
・ 管理の具体的内容が明らかでない段階で、回答するのは困難である。
D
・ iii)およびiv)の間を考えが揺れ動いている。
・ 瀬戸内海については一元的管理では広すぎる。
・ 総合的な一元管理が必要。現在の利用者別○○機関として環境等をも含めた利用調整機関の設置を内閣府等現在の実行行政主体の別枠として設置。
F
・ 設問3−7コメント(1.国家が主導して、地元と協議の上で100年の計の基に沿岸域を、水域(水質、海象、気象、地形など含む)、気候、生態の類似性、社会的条件、文化の類似性を考慮したゾーニングを行った上で、環境保存エリア(沿岸域の開発を行わない水域)、環境修復エリア(かつての豊かな自然を取り戻す水域)、開発整備エリア(港湾域を中心とした、経済活動に必要な水域)に3分し、計画的に環境修復を行う。管理はカリフォルニア沿岸委員会(CCC)に類する委員会を創設して管理する。費用は今後発生する開発事業費用、税金(環境税を含む)、漁業保証費用などを核とした環境修復ファンドによる。2.ミチゲーションといっても、今後の開発物件が少ないので、わが国の沿岸環境再生には、「修復」が前提となる。3.1に述べたゾーニングに時間を必要とするので、3−7i)ホ)に記述されているような「一定の猶予期間」を必要とする。)で述べたように、計画・構想には長期間の調査に基づく自然および社会面のデータが必要である。構想を練っている間にも環境悪化は進行するので、対象をデータの豊富な3湾+瀬戸内海に絞り、優先的に管理体制を整備することに賛成である。
・ 三大湾および瀬戸内海については、今後の発展を目標とし、海域環境管理、貿易、海上輸送システム、海域保全、開発等集中的に管理することにより、よりスピーディーに、トータル的に有効なものに達すると考えます。
・ 対象海域は様々な利用が進み、また環境負荷も大きい。それぞれの海域全体を総合的に管理することが理想的である。
・ 港湾区域における利用者への諸サービスは自由競争の原理に基づいて提供されるべきであり、国策としての海域管理とは一線を画す方向が望ましい。
・ 閉鎖的な代表的海域であり、悪影響を及ぶ要因は、河川、工場、航行船舶、漁業など広く沿岸域全体に存在する。この為、局所的な対応は困難であり、検討や調査、保全の為の施策検討など統合的に実施する必要があると考える。
・ ii)を原則とするが、既存の法会に基づく特定海域の管理主体との協議制度を設けて、権限・責任の調整を行うことが必要である。
・ 3−4についてi)とiii)の調和的共存が良い。
・ 広域に関わる問題は、関係自治体の集合体としての合理的な管理主体を適宜構成していけば対応できる。
・ 特例を設けることで、単に海水があるだけの死の海になってしまうことを防ぐような対策が必要。
・ 関係する国の地方機関・都道府県で構成する連絡会議を十分に機能させるようなことはできないでしょうか。(新しい管理主体が行政上可能であれば、望ましいと思いますが。)
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・ 三大湾・瀬戸内海に限らないように思う。必要に応じてと言うことでないか。