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Q3. (提案3.)について伺います;
(提案3.)“沿岸域”を海陸一体の独立した生態系として認識し、総合的な環境保全のシステムを考慮した、開発と環境の両立を目指す総合的沿岸域管理について、必要な法制整備を検討すべきである。また、沿岸域の開発、利用、保全の当事者、受益者として、これまでその役割を充分に評価されていなかった地域住民の役割を積極的に評価し、沿岸域管理政策の立案、実施、評価、再実施のサイクル的プロセスに積極的な市民参加を実現すべきである。
3−1. 諸外国や日本沿岸域学会の2000年アピールのように、沿岸域の総合的管理について包括的な法整備(例:「総合的沿岸域管理法」)が必要とお考えになりますか?(該当に○印)
(i、ii、iiiの選択肢表現は圧縮) 全体 A B C D E F H
i)是非、総合的な法の整備が必要である。 110(64.0%) 37 19 4 11 5 26 8
ii)できれば総合的な法を整備した方が良い。 49(28.5%) 6 15 6 8 3 6 5
iii)現行法制で対処可能で必ずしも必要ない。 4(2.3%) 1 3          
iv)深刻な不具合がないから、全く必要でない。 2(1.2%)     1 1      
v)わからない。 7(4.1%)     4   3    
合計(N) 172 44 37 15 20 11 32 13
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<分析>
1)沿岸域の総合的管理における法整備の必要性については、i)「総合的な法整備が必要」が110(64.0%)と大きな支持を受けている。これとii)「できれば法整備した方が良い」をあわせると、159(92.4%)にも達する。とりわけ、<A:有識者>、<F:産業界>ではi)「総合的な法整備が必要」の支持が80%を超えている。
2)<C:中央官庁>の回答でも、法整備を前向きに考えるものがi)「総合的な法整備が必要」+ii)「できれば法整備した方が良い」=10で、回答者の2/3となる。
3)iv)「全く必要でない」はわずかに2(1.2%)、iii)「必ずしも必要でない」をあわせても6(3.5%)にしか過ぎない。
*設問3−1.についてのご意見、コメントをご自由にご記入ください。
グループ
A
・ 漁業・海運などが共生できる沿岸域作りが重要。
・ 新法的整備を行えば行うほど、わが国の官僚は現実の当該部門の分野を混乱させ、動機の取れない世界を作ると言うドスを持たないヤクザが生意気にもはびこることになる。従って、既存の法体系を改革して、官僚を教育し直すことが最も望ましい。
・ 法は、国の意識の表れである。従って、沿岸域・海洋の利用・保全のあり方を国として表明する沿岸域管理法は、国民的コンセンサスの具体として必要である。また、環境や防災等の問題などは、早急に解決に向かわせなければならない緊急課題であることから、法整備を要望したい。
・ 具体的な内容は各省の調整で困難であれば、「基本法」を制定し、理念の確認を行うことが先ず不可欠である。その後に、関連法制度を整備する。
・ 「提案3」の「”沿岸域”を・・・生態系として認識し」云々については異論あり。最近、環境保全に関連して「生態系」「生物多様性」の重要性が主張されるが、この二つの重要性について異論は無いが、沿岸域を含め海洋は我々人類に古来から計り知れない「生物資源」を生産し、「海の幸」として我々は、これを享受している。海洋の重要性は気候変動に対する調整作用、船舶の航行による、社会的、経済的、文化的交流ともう一つ「再生産可能な生物資源、特に食糧資源の供給」にある。特に沿岸域は大事。これを維持することは前に「生態系の保全」「生物多様性の維持」と共に、三本柱として認識される必要があり、「海洋環境の保全」とは「海洋生物資源の維持、有効利用」と同義語ぐらいに考えている。海洋法の「海洋汚染の定義」には正しく理解されている。
・ 政策的には陸地を含む沿岸という意味は分からない訳ではない。しかし(海洋学的には)海陸が相互作用をしてはいるが、「一体の独立した」という意味が分からない。海と陸は生態系としては別なものと考えたほうが分かり易い。市民参加は聞こえは良いが、管理政策にとってそのあり方、方法は良く考えるべきである。沿岸の環境について、保全管理、開発利用の総合的な法整備は現実的には大変難しいと思う。でも必要ではある。
・ 海の環境保全は陸域の生産、生活活動から発生する諸要因により大きく左右されており、海陸一体の生態システムで捕らえないと解決できない。従って陸域で生活する地域住民が自分達の海であるという意識を持ってもらうためにも市民参加は必須である。これらのフォローアップは長い目で見ると国民への海の知識、関心を高める教育問題への取り組みに帰着する。
・ 改めて問われるまでもなく、i)が至極当然なことだと思います。
・ 総合的な法整備が望まれるが、対立する利害の調整が困難であろう。
・ 沿岸域内での、河川近接海域は河川、引いては山林の影響を直接受ける。故に、大きな河川の河口附近においては、その影響が不足と見なされる沿岸域は山林、河川との連動した環境影響対象が必要であり、このような視点を沿岸域の総合的管理に含めるべきである。
・ 現実化するには、内閣府に海洋に関する総合的セクションを設けるor総合政策立案のために臨時的に担当大臣を置くといった強力なpolicyが必要であろう。
・ 現在法が不存在でも何とか遣り繰りが付いていることを考えれば、総合的な法整備が無ければ絶対に上手く行かないと言うものではないかもしれない。問題の最大の難点は、法を整備するか否かではなく、どのようなシステムで沿岸域の総合管理を行うかと言うことである。相対立する価値観の調整が必要で、そのような価値の序列付けができれば、法制度を作ることは寧ろ容易な作業であろう。様々な国民相互間で、価値の対立を調整する上位の価値についての合意、ないしはそのような価値を調整する手続についての合意形成ができなければ、このような整備は難しい。
・ ”開発と環境の両立”という言い方には不信感が強い。現状ではどうしても開発側の経済論理で押し切られることが多い。より強く、明確な環境重視の形を取ることが不可欠。
B
・ 陸域・海域を総合した沿岸域管理を作るべきであり、そのための法整備が必要と考える。
・ 国民的な運動として進めるためには、是非、総合的な法の整備が必要。
・ 1、沿岸域で海水浴や釣り人、潜水夫などサメに襲われる事件が愛媛・愛知・鳥取でおき、宇宙旅行の時代に沿岸監視は遅れていると思う。
2、1997年のナホトカ号の流油事件において海洋関係の機関は流出方向など沿岸に辿り着くまで対処できなかったのは誠に残念である。人海戦術が最高の手段とは、日本の海洋汚染に対する科学とは何なのかを問われる事件であった。
・ 現行法制下においても沿岸域の保全等は可能であるにもかかわらず行われていないところに問題がある。
・ 沿岸域の様相は様々であり、これを一律に管理することは非常に難しい。沿岸域管理基本法と言うような形ではないだろうか。
・ 提案1について、沿岸域まで含めた法整備がなされるのであれば、沿岸域だけの法整備は必要無い。
・ 陸域を含む”沿岸域”について、開発や廃棄・排水等の社会的行為を管理し、「総合的な環境保全」を図ることは必要であり、環境基本法等の個別法として制定されることが望ましい。
C
・ 総合的、包括的と言うことは、一見にして良さそうであるが、何と何を総合的に包括的に整備する必要があるのかが、「アピール」では全く分からない。現行制度で不十分な「部分」を明示すべき。「市民参加」とは次元が異なるのではないか。
・ 「基本法」の理念の下、あらゆる関連法をレビューし、対応できない場合は、立法の要があろう。但し既存関連法からの安易な切り取りの引き起こす弊害に留意の要。
・ 沿岸域管理の概念自体が必ずしも明確でないが、一般論で言えば沿岸域管理の必要性について真摯な議論がなされ、その結果具体的なコンセンサスを得て、縦割りを排除し得る形での法整備がなされることは望ましいと考える。
・ 海洋基本法の中で基本理念を織り込み、後は個別法の世界に委ねるのが適当と考える。
・ 沿岸域管理の概念、必要性について、先ず真摯な議論がなされ、コンセンサスを得て、タテ割りを排除する形での法整備がなされるのが望ましい。
D
・ 先ずは責任ある省庁を決定し、そこが主体となって進めることが必要である。
・ 沿岸域で様々な問題が起きています。それも表面をなぞるような手法では解決ができない問題が多数です。それらの解決を目指す場合、先ずできる限り多くの人々にその状況を知らせる、「知ってもらう」ことが必要と考えます。法律は海洋についてあまり理解のない政治家が作ることになるのですが、その場合でも、やはり多くの人々のサポートが必要です。そうした雰囲気ができないと法律は作れないでしょう。
・ 包括的な法整備が望ましいのは当然だが、利害が絡み合いまとまらないだろう。
・ 沿岸域≠生態系ではなく、沿岸域=生態系を支える場所。(設問の定義がおかしい。)
・ 地域住民の地域の範囲が不明確。(水産住民or臨海市町村)
F
・ 沿岸域については陸域の影響を大きく受ける。そのため、地域住民、企業については、幅広くその役割を担う必要があると考える。
・ 海洋基本法の制定の中で法整備を行う。
・ 提案の趣旨に全面的に賛成。
・ 沿岸域の利用・開発は沖合いに比べて高密度であるので、沿岸域を対象とした法制は必要であると考える。わが国は歴史的な経緯から漁業権が過剰と言っても良いほど保護されていることにより、その他の利用・開発に大変な支障を生じており、国民経済的には多大な損失が発生していると思われる。
・ 生態系の問題は陸域〜沿岸域〜沖合〜大洋との連続の中で捉えるべきであり、沿岸域を独立させることに止まるべきでない。
・ 実施の方法が難しいが、沿岸域管理について地域住民の意見を取り入れることが必要。
・ 沿岸域を「海陸一体の独立した生態系と認識」することには賛成である。しかし、沿岸域では、水、栄養塩、有害物質、流砂など、河川と地下水を通した循環系が非常に重要であり、総合的沿岸域管理には、沿岸に面していない陸上の流域全体を含める必要がある。
H
・ 開発・環境だけでは、総合的管理は不可能。平和の問題も取り入れる必要あり。平和・開発・環境のオーシャニック・トライレンマ解決をなくして管理はあり得ない。
・ 海洋が実態としてゴミ処理場、汚染処理場となっていることは、将来の大問題と思うのでわが国のスタンスを、先ずは確立しておくことが良い。
3−2. 沿岸域管理の対象範囲については、一般論としてどのような基準で定めるのが良いとお考えですか?
(該当するものに○印)
i)海側
  全体 A B C D E F H
[1]海岸線からの距離で定めるのが良い。 68 18 16 3 11 2 11 7
[2]水深で定めるのが良い。 23 6 9   2 1 4 1
[3]海岸線からの距離( m)の(近い:遠い)方にするのが良い。 1         1    
[4]海域ごとに自然・社会条件が異なるのであるから、沿岸域管理の対象範囲は、地方自治体自身の判断、裁量に任せて国はその決定過程で協議し、承認を与えればよい。 47 8 8 5 5 4 15 2
[5]もっと違う方式の基準が良い。 12 5 3 1     2 1
[6]わからない。 14 3 1 3 1 3 1 2
合計(N) 165 40 37 12 19 11 33 13
[1]海岸線からの距離で定めるのが良い。
→どれくらいの距離が適当とお考えになりますか? また、その理由は?
  全体 A B C D E F H
a: 1km 1           1  
b: 5km 2   1       1  
c: 10km 5 3 2          
d: 3海里 10 5 1   2   1 1
e: 5海里 1             1
f: 12海里領海 42 7 12 2 9   8 4
g: その他 7 4   1   1   1
合計(N) 68 19 16 3 11 1 11 7
*設問3−2. i)[1]でg.「その他」を選択された場合、どれくらいの距離が適当とお考えになりますかご記入ください。
グループ
A
・ 領海の限界まで。
・ 200海里
・ EEZと同義。
C
・ 200海里EEZ
E
・ 領海と合わせた方が分かりやすい。
H
・ 200海里
*設問3−2.i)[1]で対象範囲の基準について選択された理由についてご記入ください。
グループ
A
・ f選択。主権の範囲内で行政責任を明確にする。
・ g(領海の限界まで。)選択。領土に属する全域を含める必要あり。領海の一部は直線基線から12海里。
・ d選択。領海での自治体の行政権の及ぶ範囲は3海里が原則であり、それより大きい距離の海域は中央政府の行政事項である。通常の場合、一般原則の付加として。
・ d選択。これ(3海里)をベースとし、[4]を加味する。
・ f選択。国連海洋法条約、領海法で明確にわが国の国土として規定されているから。
・ f選択。領海の一元管理が必要。
・ g(EEZと同義。)選択。いくつかの文献でそのように定義されている。
・ d選択。旧領海−「地先沖合」という考え方を上手く取り入れないと、沿岸漁業社会との調整が難しくなる。
・ f選択。沿岸国の管轄域の明確な領海が良いと思う。
・ d選択。距離については良く分からない。しかし何れにせよ、利用密度が高い沿岸と沖合いとでは抱える問題が変わるので、どこかで区切って異なる扱いをするのが妥当と考える。
・ f選択。わが国の領海を管理するのは当然。
B
・ b選択。海域利用が競合する可能性が高い範囲。一般に理解しやすい”km”。
・ f選択。国連海洋法条約に準拠する。
・ f選択。魚の産卵場の範囲で、食料資源として重要。
・ f選択。最大領海の範囲までを対象とすることが必要と思う。
・ f選択。環境問題を考慮すると広くならざるを得ない。
・ f選択。権益の及ぶ海域までが適当である。
・ f選択。必要に応じ、接続水域、EEZについての管理を検討して良い。
・ f選択。国土の総合的な開発、保全についての国の行政責任を考えれば、その管理の対象は領海全域とすべきである。
・ c選択。沿岸域管理に重要な役割を持つ地方団体の管理能力を考慮した。
・ c選択。策定しやすい数字であり、日本沿海ではほとんど大陸棚上になる。
D
・ f選択。”国土”としての有効活用を図るための法整備と考えるため。
・ f選択。併せて地球の特性による点への配慮が必要。
・ f選択。実効的管理が可能な最大範囲。
・ f選択。漁業の認可の関係。
・ f選択。領海は日本の法的権限が強いため。
・ f選択。概ね大陸棚。(水深200m)
F
・ b選択。沿岸水の影響の直接及ばない最大距離と水深(100m)。
・ a選択。港湾、漁港、海岸管理者の管理しない(できない)距離。
・ f選択。海洋法条約の規定があるので。但し原則。
H
・ g(200海里)選択。排他的経済水域(水深200m)まで管理すべきである。
[2]水深で定めるのが良い。
→その場合、どれくらいの水深までが適当とお考えになりますか?
  全体 A B C D E F H
a: 50m 9 1 2     1 4 1
b: 100m 5   5          
c: 200m 9 5 2   2      
d: その他(  m) 0              
合計(N) 23 6 9 0 2 1 4 1
ii)陸側
  全体 A B C D E F H
[1]海岸線からの距離で定めるのが良い。 20 6 2 1 1 1 3 6
[2]流域圏のような自然の系に着目して定めるのが良い。 118 28 30 9 14 7 24 6
合計(N) 138 34 32 10 15 8 27 12
[1]海岸線からの距離で定めるのが良い。
→どれくらいの距離までが適当とお考えになりますか?
  全体 A B C D E F H
a: 50m 3           2 1
b: 100m 4 2 1   1      
c: 200m 7 1 1     1 1 3
d: その他(  m) 3 1   1       1
合計(N) 17 4 2 1 1 1 3 5
<分析>
1)沿岸域管理の対象範囲を定める基準については、海側は、[1]「海岸線からの距離で定めるのが良い」が一番多く68(41.2%)で、次いで[4]「海域ごとに国と協議して自治体が判断」47(28.5%)であった。なお、<C:中央官庁>、<E:地方自治体>、<F:産業界>では後者の選択がトップとなっている。
2)海岸線からの距離についての枝設問では、f:「12海里領海」が42(61.8%)と抜きん出て多く、次いでd:「3海里」10(14.7%)であった。この回答者の多くがまず沿岸域=領海という関係で捉えて回答していることが伺われる。なお、設問3−3.管理主体に関する質問の回答とつき合わせて考察すると、そのうちかなりの回答者が沿岸域を国と自治体で分担して管理することを想定していることが伺われる。
3)一方[4]「海域ごとに国と協議して自治体が判断」47(28.5%)や[2]「水深で定めるのが良い」23(13.9%)を選択した人は、むしろ生態系に着目して開発と環境の両立を目指す総合的管理の対象範囲として沿岸域を捉えていると思われる。
4)陸側については、[2]「流域圏に着目して」が118(85.5%)と圧倒的多数であったが、「海岸線に接する市町村の山側の行政境界まで」など選択肢をさらに細分して提示する必要があったと思われる。
5)沿岸域管理の対象範囲は、沿岸域管理の目的や誰が管理主体となるかについての各人の考え方によって、大きく左右されるので、これらの点をより明確に提示して設問を設定すべきだったと思われる。
*設問3−2.ii)[1]でd.「その他」を選択された場合、どれくらいまでの距離が適当とお考えになりますかご記入ください。
グループ
A
・ 一般原則。その地区の性質による。
C
・ 1000m
H
・ 1000m
・ 管理の主体や対象によるので一律には言えない。








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