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3) 「箱庭園芸(ガーデンシアター)と私の物語」

 西宮市において、「ガーデンシアター」のワークショップを実施した。ガーデンシアターとは、園芸療法とは違った創造的な活動である。
 参加者は物語を創作し、それを箱庭に表現する。この箱庭は、実際の植物を植え、参加者は持ち帰って育てるので、どのように植物が成長し変化するかを考えて植えることとなる。そして、様々な人形(figure)を置いて、物語を創作して、ワークショップの最後には、一人ひとりが、箱庭を劇場に見立てて物語を語る。他の参加者は全員、その物語に耳を傾ける。
 講師の銅金裕司さんは、庭づくりは、心の内面世界の一つの発露であると言う。このような創作は、アートが苦手だと思っている人からも、創造性をひきだすきっかけとなる可能性があるということが明らかになった。
 
 これらの一連のワークショップには、次のような感想が参加者から寄せられた。
 
・あの場に参加してみて、人の話を聞く場、というのが世の中に多くない事を実感した。みんなが耳を傾けてくれる環境であり話す一方ではなく反応が返ってくる。複数の相手に顔を見せて話すことの安心感はすばらしい。
・ケアにかかわる活動は目的や手段を議論しながら進めていて、議論をしなければやっていけない、とおっしゃっていた事が印象的でした。これと相対する場として効率性を追い求め、とくにそれをやる事の意義について議論することもないまま、ルーティンワークに浸っている世界というのもあると思います。どちらかというとそういう効率性の追求をする場が多い中で、足元を見つめることの重要性を確認したのは新鮮でした。
 (ワークショップ参加者アンケートより)








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