2) 「ポエトリー・リーディングのサロン」
東京では、詩のリーディングを行った。このプログラムは、デューク大学の医療スタッフがしていることをきいて、応用したものである。また、一つの職場で行ったものではなく、外で場所を借りて呼びかけたもので、福祉の仕事につく人はもちろん、学生や主婦など、本当にさまざまな人たちが集まった。
講師を務めた、童話作家の寮美千子さんは、このワークショップに際して、次のように語っている。
言葉は本来、声として存在するものです。書くことは便利だから、書くようになっただけで、近代社会では書いたものの方が信ぴょう性が高いようなイメージがあります。リーディングは、書くために精練された言葉を、もう一度「肉体化する」という試みです。それはまた、語る側だけではなく、聴く側に対しても、「耳を澄ます」という積極的な行為を引き出します。私たちはふだん、忙しさにとりまぎれて、人の声に耳をすますこと、人の心に耳をすますことがほとんどないのではないでしょうか。