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5.終わりに
 以上、貿易金融EDIプロジェクトの動向につき概観し、貿易取引電子化の課題につき述べてきましたが、実際にはこれらの課題がクリアされ、全ての環境が整わなければ実用化できないという訳でもありません。グローバルに展開している大企業を中心として、本社と海外現地法人の間の取引については紙ベースの環境下においても銀行を介さずに船荷証券を直送するような取扱いも既に行われており、このような関係者の数も少なく固定化され、定例的に行われる取引については、既に独自のネットワークシステムを構築していなければ意外と容易に電子化のメリットを上げられる可能性があります。また、当面のオペレーションの効率化効果には期待せず、業務処理のスピードアップ等による企業内部の在庫回転率の向上やキャッシュマネジメントの効率化に着目するという考え方もあるでしょう。いずれにせよ、こういった自社のニーズを如何に適合させ、成功に結び付けることができる事例が多く出てくることが、今後の普及の鍵となると考えられます。こういった動きと併せて各種の制度的な課題等についても見直しが行われることを通じて電子化に対応した環境が一刻も早く整っていくことを期待します。
 
 なお、荷主の状況に係る記述については、これまで筆者が取引先の荷主企業の関係者等との意見交換等を元にしたものであり、企業によっては必ずしも当てはまらないことも有り得ますので、その点についてはご留意下さい。
(十都次郎・山本浩)
<参考文献等>
○Boleroホームページ: www.bolero.net/
○TEDI Clubホームページ: www.tediclub.com/
○Identrusホームページ: www.identrus.com/
○SWIFTホームページ: www.swift.com/
○首相官邸ホームページ: www.kantei.go.jp/jp/it/index.html
○クロスボーダー取引における金融EDIに関する研究会(第二部)報告書(財団法人金融情報システムセンター1999年3月)
○貿易・金融の電子取引−基礎と展開− (八尾晃[東京経済情報出版] 2001年1月12日)








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