10. 結び
前章にて、本報告は実質的には完了することになりますが、最後にひとつの問題提起をします。それは、現在のこの貿易取引電子化の動向が、本流となって普及促進されるものになるか、否かの判断です。
実は、電子化(EDI化)普及の論議は、10年前からあったものなのです。いわゆる、第一次EDI議論とも呼ぶべきものでしょうか。貿易手続きの分野において、海貨業者/船社間のネットワークであるPOLINETの前身のSHIPNETS、或いは、荷主/船社間、及び、荷主/海貨業者間のネットワークであるS.C./S.F.NETの創設時期の頃です。それらのを含む貿易取引のEDI化が、残念ながら、必ずしも順調に普及促進されていない状況が現在あります。それで、今まで10年間論議され、あまり変わらなかった状況があるとして、では次にまた10年間変わらない状況が続くのか、あるいは変わるのか、ということです。
その際に、考慮すべきことは、10年前と今と比較して、昔になくて今ある状況が確かにあります。そのひとつは、インターネットの普及です。そして、二つ目は、TEDI、BOLEROを始めとして、ようやく実体のある仕組みが、10年前にはなかったものが、今は出現しつつある、ということです。やはり、状況は変化しつつあります。これから変わる胎動が、世界で始まりつつあるのではないでしょうか。日本で変わらなくても、世界はいやおうなく変化する、そして、その変化が日本を覆い尽くす前に、日本自らで変わらなくてはならない時期にきているのではないでしょうか。
以 上
(四方田 章光:本稿は、2001年10月開催のJASTPRO主催EDIセミナーの内容をもとに、追加、補足説明を加え、報告書としたものです。)
(参考ホームページ)