2. 貿易取引電子化の目的
以上の、環境整備の盛り上がりが高まる中で、貿易手続き電子化の実用化が具体的に見えてきつつある状況にあるわけですが、その詳細内容を見て行く前に、貿易手続き電子化の目的、メリットというものを、あらためてではありますが、確認しておきたい、と思います。
元来、貿易業務自体は、関係当事者が非常に多く(荷主、通関業者、船会社、銀行、保険会社といった民間企業の他に税関等の諸官庁も含まれます。)、書類種類が非常に多く、結果、情報項目が多い、ということで、言ってみれば、EDI化実現が容易でなかった、という状況があります。また、各社内でのシステム化が実現されているのだが、関係者間のデータ連携が実現されていないために、再入力の手間がかかってしまう状況があったわけです。
そして、従来の貿易手続き業務の典型として、
手作業による貿易手続き書類を作成し、チェックする。
社内の他部署の担当に書類を渡すのに、社内郵便や手渡しで社内回送する。
社外に発送するのに、郵便や手渡しで行う。
という、形が長く定着していました。
その結果として、近年のコンテナ輸送による大量、高速輸送の時代に至り、現地に貨物が着いたにもかかわらず、船積書類の到着が遅く、貨物が受け取れない、といういわゆる「B/Lクライシス」という事態が生じました。
また、人手をかけていることや、再入力といった、業務の非効率性が大きくクローズアップされるようになります。これは、世界的な景気低迷の時代の中で、ますます注視される事態として、経営管理上の問題からも、その対策が要求されることとなりました。もうひとつのキーワードとして、省資源化としてのレスペーパー化が時代の要請として、叫ばれていることも無視できません。
これらの課題を解決するために、まさに電子化が必要となるわけです。そして、その電子化により、
[1]業務の省力化、そして、迅速化がなされる。
[2]時間・コストの削減
[3]そして、結果として、国際的な競争力の向上
が実現される、ということになります。