日本財団 図書館


 
2−5 サントメ・プリンシペ民主共和国
(拡大画面: 309 KB)
z0001_09.jpg
 サントメ・プリンシペ民主共和国は、アフリカ中央部西岸(大西洋側)のギニア湾に浮かぶ島国である。アフリカ大陸からは約300km離れており、中心となるのは、サントメ島(855平方km)及びプリンシペ島(110平方km)の2島であり、国土面積(965平方km、東京都の約半分)の大部分を占めている。国土は狭いが、火山性の特異な地形で、島の中央には2,000m級の山も存在する。プリンシペ島はサントメ島の北北東約150kmに位置している。人口は約14万人(98年)であり、ほとんどがバンツー系のアフリカ人である。大部分が首都サントメのあるサントメ島に住んでいる。国土は赤道直下で、基本的に熱帯雨林気候であり、年間を通じ高温多湿である。土地は樹木に覆われており、海岸沿いに集落が多いが内陸部にもカカオ、コーヒーなどの耕地がある。宗教はキリスト教(カトリック)である。公用語はポルトガル語であるが、周辺国であるガボン、カメルーンなどが仏語圏であるので、フランス語を話す人が多い。英語はあまり通じない。
 1975年に旧宗主国であるポルトガルから独立して以来25年以上が経過したが、政治的には比較的安定してきている。1991年以来トロヴォアダ氏が大統領に選出されてきたが、2001年7月の大統領選挙では3選を禁じる憲法の規約から後継者のデ・メネゼス氏が出馬し、独立以後長期にわたり政権を維持していたダ・コスタ元大統領を破って当選を果たした。
 主要な産業は農業であり、カカオ、コーヒーなどを産出している。特にカカオは主力輸出品目であり、輸出の95%を占めている。
 近隣の国の中で関係の深いのは、ガボン共和国であるが、最近では石油資源開発の関係でナイジェリアとも交流が進んでいる。主な貿易相手国は、輸出がオランダ、ドイツ、ポルトガル、輸入がポルトガル、米国、南アフリカである。
 日本のODAでは30億円強の無償資金協力の実績があるが、内容は水産振興、食料援助であり、造船分野での実績はまだない。同国では1997年5月に台湾と国交を結んだことから、道路整備を中心に台湾の援助が活発であり、アジアの中では台湾のプレゼンスが非常に高くなっている。一人当たりのGNPは、270USドル(98年)と低く、貧困開発途上国に分類される。
 サントメ・プリンシペは島国であり、沿岸部分が大部分を占め、道路が不足しているため、船舶による海上輸送は国内の最も重要な輸送機関である。サントメ(サントメ島)及びサントアントニオ(プリンシペ島)の2つの主要港の活動は大きく成長している。1995年以降の政治経済の安定を受けて国内貨物輸送は増加しており、同様にガボンのポールジャンティユ(Port-Gentil)港、リーブルヴィル(Libreville)港との間で往来する国際間の貨物・旅客も当該期間において増加している。
 海上輸送は、国内輸送であるか、ガボンとの間の国際輸送であるかを問わず、基本的にガボンの民間船舶に大きく依存している。2000年に使用された5隻の貨物船のうち3隻はガボンの船舶であり、合計総トン数は約200トンであった。サントメ港とサントアントニオ港との間の距離は約15 0kmであり、ガボンの海運企業は3隻の貨物船を使用して週6〜7回往復し、1航海当たり20〜30人の旅客と30〜40トンの貨物を輸送している。この間の速度は約8ノットであり、片道の航海に12時間を要している。ガボンとの間の国際輸送についても片道約18時間を要しているのが現状である。
 2島間の航空輸送については、国営のエア・サントメプリンシペが19名の乗客を運ぶことができる小型航空機を使用して週2〜3往復の輸送を行っている。
なお、サントメ港には民間の船舶修繕施設があり、長さ40m、幅7mまでの船舶の保守整備が可能である。
 サントメ港はサントメ島の北東部にある非常に規模の小さな港であるが、港周辺にも放置船舶の事例が見られた。また、この他、サントメ島の北西部にある町Nevesの石油関連施設に向かう途中でも難破船と見られる放置船舶を確認できた。
 さらには、プリンシペ島のサント・アントニオ港の周辺にも若干の放置船舶が確認できた。
 
海洋放置船舶の観察スポット
(サントメ・プリンシペ民主共和国)
 
● サントメ港(サントメ島)周辺
● サント・アントニオ港(プリンシペ島)周辺
(小さな島国であるので、今回の調査で概ね国土全体の放置船観察スポットをカバーできたものと思われる。)








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION