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第3章 フィリピン造船業の現状
3-1 許可造船所
 
 1999年12月時点で、造船業、船舶修理業、沖修理、舟艇建造、解撤業に従事する企業としてフィリピン海事産業庁(MARINA)の許可を受けている事業者は合計341社と、98年末時点より23%の増加となっている。地理的にもフィリピン全土に分散されており、143社(42%)がルソン島、131社(38%)がビサヤ諸島、67社(20%)がミンダナオ島に位置している。
 許可造船所のうち111社(34%)が新造及び船舶修理用の設備を保有しており、前年より17%の増加を記録している。それら設備を有する許可造船所は、設備能力に応じて、大規模、中規模、小規模造船所等に分類されている。111社のうち、11社が大規模造船所、16社が中規模造船所、73社が小規模造船所、11社が設備を有する修理事業者である。
 許可造船所のうち最大の141社(41%)は沖修理事業者または設備を持たない事業者として分類されている。また、舟艇建造事業者は98年の31社より急増して88社となっている。これら舟艇建造事業者の大半はビサヤ及びミンダナオ島に位置している。表2-12にフィリピンにおける許可造船所数を示す。
表2-12 フィリピンにおける許可造船所数(1999年)
区 分 ルソン ビサヤ ミンダナオ 合計
新造・修繕事業者        
 大規模造船所 4 5 2 11
 中規模造船所 7 7 2 16
 小規模造船所 43 13 17 73
修理事業者 6 3 2 11
沖修理事業者 70 62 9 141
舟艇建造事業者 12 41 35 88
解撤事業者 1 - - 1
合 計 143 131 67 341
出所:MARINA(Maritime Industry Authority)
註: 大規模造船所とは、7,500DWT超の乾ドック、船台、リフトドック等の設備を有し、少なくとも1千万ペソの払込資本金を有する造船所を意味し、中規模造船所とは、1,500〜7,500DWTの設備と500万ペソの払込資本金を有する造船所、小規模造船所とは1,500DWT以下の設備と100万ペソの払込資本金を有する造船所を意味する。また、いずれも資格のある造船技師及び航海技師を最低1名社員に抱えていなければならない。
3-2 保有設備概要
 
 1999年時点でのドックの設備数は257基で、設備能力の総計は1,529,041DWT、その内訳は、238基(92%)がレールウエイ、7基(3%)が乾ドック、10基(4%)が浮きドック、2基(1%)がリフトドックとなっている。前年と比較すると設備数で25%、設備能力で5.5%の増加を示している。表2-13に許可造船所の設備概要を示す。
表2-13 許可造船所の設備概要(1999年)
設備の種類 ルソン ビサヤ ミンダナオ 合計
基数 能力(DWT) 基数 能力(DWT) 基数 能力(DWT) 基数 能力(DWT)
Marine Railway                
Slipway 61 72,500 33 108,400 23 24,350 117 205,250
Shipbuilding way 21 25,900 3 6,500 8 2,050 32 34,450
Repair berth 43 791,470 9 8,500 - - 52 799,970
Launching pad 21 17,564 12 10,500 4 7,350 37 35,414
Graving Dock 5 355,345 2 37,000 - - 7 392,345
Floating Dock 5 17,800 3 14,812 2 4,000 10 36,612
Liftdock 1 20,000 - - 1 5,000 2 25,000
合計 157 1,300,579 62 185,712 38 42,750 257 1,529,041
出所:MARINA : Philippine Shipbuilding & Ship Repair Industry Situation Report 1999
 7,500DWT以上の設備能力を持つ11社の大規模造船所は、111社の造船所が有する設備能力全体の86%を有している。これら11社の大規模造船所のうち、5社は外国の造船事業社との合弁会社である。シンガポールに本拠を置くケッペル・グループはザンバラス州のSubic Shipyard & Engineering Inc、バタンガス州のKepphil Shipyard Inc、セブ州のKeppel Cebu Shipyard Incを傘下に納めており、これら3社でフィリピンの造船業界の上位3社を占めている。この他、外資との合弁会社にはセブ州のTsuneishi Shipyard(Cebu)Inc、FBM Aboitiz Shipbuildersがある。11社の大規模造船所のうち、8社(設備能力で84%)は、フィリピン新造・修繕事業者協会(The Philippine Shipbuilders & Repairers Association : PHILSAR)に加盟している。表2-14にフィリピンにおける大規模造船所の概要を示す。
表2-14  フィリピンにおける大規模造船所(1999年)
社 名 所在地 保有設備 設備能力(DWT) 比率(%)
Subic Shipyard & Engineering Inc * Zambalas Building/repair berth 1,012,500 68.94
Graving dock
Kepphil Shipyard Inc * Batangas Building/repair berth 107,000 7.28
Floating dock
Lift dock
Tsuneishi Shipyard (Cebu) Inc * Cebu Slipway 65,500 4.46
Floating dock
Keppel Cebu Shipyard Inc * Cebu Slipway 47,000 3.20
Shipbuilding way
Graving dock
Mariveles Shipyard Corp Bataan Slipway 16,500 1.12
Graving dock
Sandoval Shipyard Inc * Cebu Slipway 16,500 1.12
Graving dock
AG&P Co (Marine) Inc * Batangas Slipway 14,000 0.95
Shipbuilding way
Building/repair berth
Phil. Iron Const. & Marine Works Inc * Cagayan de Oro Slipway 13,500 0.92
Liftdock
FBM Aboitiz Shipbuilders * Cebu Shipbuilding way 10,000 0.68
Mindanao Shipbuilding Corp Davao Slipway 10,000 0.68
FF Cruz & Co Iloilo Slipway 8,812  
Launching pad
Floating dock
合計     1,321,312 89.35
出所:MARINA : Philippine Shipbuilding & Ship Repair Industry Situation Report 1999
註:*印はフィリピン新造・修繕事業者協会(PHILSAR)の会員企業








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