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4 港湾設備の概要
4.1 バンコク(クロントイ港)
公共埠頭
 バンコク港は、バンコククロントイ地区内クロントイ小地区プラカノン運河の河口にある。これは基準点からチャオプラヤー川沿いに約27km又はバンコク砂洲から約46km離れた場所に位置する。埠頭の長さは約3,188mである。バンコク港は河川港であり、チャオプラヤー川に合わせて湾曲しているため、長さ172m又は喫水8.5m(27フィート)を越す船舶は入港できない。
 
 図4.1-1の通り、バンコクの主要バースには同時に約18隻の船舶が停泊できる。バース前の喫水は平均約11mである。多くの貨物船が港を利用できるように、バンコク港のチャオプラヤー川下流に36のドルフィンが建設され、ここに更に7隻停泊することができる。更に、チャオプラヤー川の始点から13〜15km地点のバンフアスアに、長さ172mまでの船舶が8隻停泊できる停泊位置がある。また、サトゥプラディットには更に5隻が停泊できる5つの停泊用ブイがある。主要な一般利用者向け設備の詳細については表4.1-1に要約する。 
表4.1-1: バンコク港公共埠頭施設の詳細
バース/ドルフィン/
ブイ
長さ
(フィート)
バースの数 船舶サイズ長さ/
喫水 (フィート)
容 量
東埠頭 5,012 8 565/27 7
300/15 1
西埠頭 5,445 10 565/27 10
クロンテイドルフィン 4,592 36 565/27 7
バンフアスアドルフィン 5,248 25 565/27 8
サトゥプラディットの停泊用ブイ 5,182 5 450/25 4
300/23 1
民間埠頭
 チャオプラヤー川沿には約80の民間埠頭がある。これらの停泊施設の喫水はさまざまで2mから10mである。西岸の第1埠頭は、ポムプラチュラチョムクラオ(チャオプラヤー川の距離計測基準地)から10kmの地点にあり、Thai Ruam Tun社が所有している。他の埠頭はチャオプラヤー川及び隣接した水路の両岸に分布している。バンコク港の公共埠頭を除いて、西岸には41、東岸には37の埠頭がある。西岸の最終埠頭はダオカノン水路の河口付近41km地点に位置しており、東岸の最終埠頭はラマ第9橋付近37km地点に位置している。
 
Ro-Ro船停泊設備の可能性
 Sahaviriya社はバンコク港西埠頭の第1倉庫、第2倉庫に位置する新沿岸Ro-Ro船バースの運営への意欲を表明した。Ro-Ro船バースには以下の倉庫及び10〜20ライの運営場所が必要となる。
 
・5ライの貨物保管場所
・110トレーラーの荷積み用トラック操車場
・110トレーラーの荷揚げ用トラック操車場
・危険貨物用の特別保管区域
 
 Sahaviriya社の提案はフォークリフト、クレーン、トレーラーといった取扱機器をバンコク港から賃借し、バースを海外業者と同率で賃借するというものである。しかし、この提案は概念段階に留まっており、新しいRo-Ro船用バースを西埠頭に開発するという合意には未だ至っていないが、港湾公社は、西埠頭の近代化には非常に熱心である。
図4.1-1: バンコク港の地図
(拡大画面: 402 KB)
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4.2 レムチャバン大水深港(Laem Chabang Deep Sea Port)
4.2.1 既存設備
 
 レムチャバン大水深港はチョンブリ県シイラチャ地区スカラ小地区及びバンラムン地区バンラムン小地区との隣接点に位置する。レムチャバンの新港開発はJICAの技術援助によって支援され、港及び近隣工業団地、インフラストラクチャープロジェクトの援助に対する資金はOECFにより提供された。以前はチョンブリ県サタヒップ地区オオジュクスメッド小地区に位置するサタヒップ港が東部沿岸地域の商業港であった。サタヒップ港の利用によりバンコク港の荷積み及び荷揚げが減少する可能性があり、一時はAmerican President Lines社がコンテナの荷積みに利用していた。しかし、サタヒップ港の商業港としての開発は、同港がタイ海軍区域の境界線内に位置していたため国家安全保障との利害衝突があった。従って、政府は東部沿岸地域の新港用地調査を命じ、レムチャバン地域を最も適当な新港用地と見なした。政府はその地域の6,341ライの土地を港建設のために公用徴収し、1988年1月21日に落成式が行われた。レムチャバンの設備の詳細を表4.2.1-1及び図4.2.1-1に示す。
表4.2.1-1: レムチャバン港のバース
バース バースの数 長さ
(メートル)
船舶制限長さ/
喫水 (メートル)
国内船舶用バース 1 550 6.9
沿岸船舶用バース 1 365 6.3
多目的バース 1 400 12
一般貨物船用バース 1 400 12
砂糖用バース 1 350 12
自動車運搬船用バース 1 450 12
コンテナー用バース(B1-B4) 4 300 12
コンテナー用バース(B5) 1 400 14
コンテナー用バース(C3) 1 500 14
出典: Laem Chabang Port
図4.2.1-1: レムチャバン港の地図
(拡大画面: 247 KB)
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4.2.2  Ro-Ro船用用地の可能性
 
 レムチャバン港のBASIN2は現在開発中である。開発は第1フェーズと同様の配置で、コンテナ船用の2つの向かい合う埠頭から成る。これらの埠頭それぞれの東端に屋外倉庫がある。
 
 Sahaviriya社はバンサファン港からレムチャバン港へRo-Ro船を利用した鉄鋼輸送を提案し、同プロジェクト用に約20ライの保管場所を要求した。同社は、図4.2.2-1でCoと表された北埠頭の端の屋外倉庫を適当な用地とした。同用地は貨物を効率的にまとめるための区域を含んでいる。また、同区域は直前に停泊面がないため、リフトによる貨物の積降には不便である。しかしながら、Ro-Ro船が利用しやすい様、湾曲部は用地の南西角にある。同社は現在旅客船バースとして指定されている地域を、沿岸Ro-Ro船業務用に確保しておくようレムチャバン港に依頼した。提案は、レムチャバン港がバースの費用を波止場使用料及び貨物手数料を通じてバースの事業主から回収するというものである。しかし現段階では、同提案に関しては未だ合意に至っていない。








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