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(2)実排ガスの吸着−脱離に及ぼす影響
 図4.5-5に示すように今回作製した試験装置を用いて実排ガスによる試験を行った結果、吸着量に比べて脱離量が著しく小さいことがわかる。装置の大型化による温度分布などの影響や、測定上のエラーの可能性を検討するために、昨年度まで使用していた小型のコンパクトフローにハニカムを切り出しセッティングして計測を行った。結果を以下の図4.5-6に示す。実ガスを用いる場合には、脱離量が著しく低下していることがわかる。
 また、図4.5-7に示すように、昇温速度を1/2の5℃/min程度の実排ガス試験装置とほぼ同等の昇温スピードにて試験を行ったところ、さらに脱離量は減少した。また、いずれの場合にも、昇温後定常に達した後には初期のNOx供給量よりも排出されるNOx量が減少していることがわかる。
 反応ラインを切りかえ、排ガス中のNOx濃度を再度確認した後に、吸着剤の温度を300℃まで低下させるとそれに伴い、排出NOx濃度は低下した。約400℃(中心温度411℃)にて一定に保つと、NOx濃度は807ppm程度の値で定常値を示した。そこで、反応ガスをN2に切りかえ、550℃まで昇温を行ったが、その間NOxの脱離は全く見られなかった。
 したがって、これらのことから、吸着したNOxは実排ガス中の未燃の炭化水素と選択還元反応によりN2(あるいは低温度域では一部N2O)として除去されているものと考えられる。これらの実験結果から、実排ガス試験装置において脱離ピークが小さいことは、装置あるいは測定上のエラーではないことが、小型の実験装置により確認できた。
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図4.5-5
 実排ガスによる吸着−脱離試験結果(1) SV=3,000h-1
ハニカムセッティング:断熱剤を巻いて充填
ガスサンプリング場所:吸着剤出口
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図4.5-6
 実排ガスによる吸着−脱離試験
反応装置:コンパクトフロー使用
NOx初期値:1,240ppm
昇温速度:10℃/min、ガス流量300cc/min
SV=2,400h-1
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図4.5-7
 実排ガスによる吸着−脱離試験
反応装置:コンパクトフロー使用
NOx初期値:1,228ppm
昇温速度:10℃/min、ガス流量300cc/min
SV=2,400h-1
 









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