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3.7 試作ハニカム性能評価結果
 先に示した調製方法にて作製したハニカムの性能評価試験を行った。評価試験条件を以下に示す。
表3.7-1 吸着剤ハニカム試験の実験条件
  条件
全ガス流量 690cc/min
ハニカムサイズ 2.2cmφ×長さ4cm
ハニカム担体 コージェライト押し出し成型体
セラミックファイバー巻き成型体
SV値 3,000h-1
H2O濃度 5%
バランスガス N2
 吸着剤の体積を1m3に設定した場合、前述の航行モデルに基づけば負荷率100%でSV=5,000h-1となるが、吸着剤作動時すなわち出港時の平均負荷率を50%と仮定すると排ガス量はSV=3,000h-1に相当する。したがってここでの吸着剤ハニカム成型体のデータ取得条件をSV=3,000h-1に設定した。
 100℃から10℃/minで昇温吸着を行ったときの、ハニカム性能試験結果を以下に示す。前述のコージェライト担体を用いた場合の吸着量および脱離量は7.9cc(s.t.p.)となった。300℃までの総NOx供給量は13.8ccであるため、SV=3,000h-1程度で低温域で排出される全NOxの57%程度が吸着除去できたことになる。
 一方、セラミックファイバー(担体厚み0.1mm)を担体に用いた場合には吸着量が0.5ccと低くなった。そこで吸着性能を向上させることを目的として、セラミックファイバーの厚みを0.1mmから0.3mmに変更し、同様の手順でハニカム作製を行ったところ、改良後の吸着量は11.3 cc(供給量の約82%程度)へと増大した。
 したがって、実ガス試験においては、セラミックファイバーへ担持したものを用いることとした。(実際の試験ではさらにファイバーへの担持量を1.2倍にしたものを用いた。)
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図3.7-1 Mn2O3・2ZrO2ハニカムによるNO昇温吸着試験
NO(1000ppm)-O2(10%)-H2O(5%)-SO2(200ppm)
Mn2O3・2ZrO2ハニカム (SV=3,000h-1)、Total flow rate = 690cm3/min.
○:コージェライト試作品、吸着量7.9cc
▲:セラミックファイバー試作品1(厚み0.1mm)、吸着量5.0cc
◆:セラミックファイバー試作品2(厚み0.3mm)、吸着量11.3cc








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