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第1章 事業の概要
1.1 事業の目的
 これまでのシップ・アンド・オーシャン財団の調査結果によると、我が国における窒素酸化物(NOx)の全排出量は年間2,523,000トンと推定されるが、船舶からの排出割合はこのうちの約37.5%にも達すると考えられるため、船舶からの排ガス浄化システムの開発は急務である(平成10年度「船舶排ガスの地球環境への影響と防止技術の調査」報告書、シップ・アンド・オーシャン財団. [1])。このような背景のもと国際海事機関(IMO)における海洋環境保護委員会(MEPC)は、船舶からの排ガス規制を取り入れることに同意し、1997年のMEPCにおいて「船舶からの大気汚染防止のための規則」が採択された。
 燃焼機関からの排ガス浄化法としては触媒を用いた後処理が有効であり、これまでに種々の排ガス浄化に接触還元除去法が実用化されている。船舶の排ガス浄化においてもこれまでにアンモニアあるいは尿素による選択接触還元法(Selective Catalytic Reduction:SCR)が検討され、その有効性が示されているが、装置搭載によるコスト増加、還元剤の搭載場所や供給体制、負荷変動への対応など、種々の問題があり、国内では実用化には至っていない。また、海外ではフェリー等、一部の地域で脱硝装置を搭載した船舶が就航しているものの、発電所等の陸上で採用されている従来型の触媒では、排ガス温度が低い出港時には触媒が有効に働かない等の問題点がある。
 本調査研究では、従来型の脱硝触媒の問題点である出港時の問題を解決する方法として、「吸着剤−選択還元触媒」の複合化による新しい脱硝触媒システムの調査研究を行い、小型内航船用ディーゼルエンジンの脱硝システムの性能改善を図り、我が国造船技術および造船関連技術の向上に資することを目的とする。








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