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4−6 希釈トンネルを用いた多気筒エンジンの排気ガス性能
4−6−1 粒子状物質測定装置の概要
 ディーゼルエンジンの粒子状物質(以降PMと称す)を測定するためには専用の測定装置を用いる。今回は当研究所で所有している分流式希釈トンネルを使用して、D13モードにおける測定を行った。分流式希釈トンネル装置の概要を図4・61に、装置の外観を図4・62に示す。
 分流式は、全流式より小型なシステムで排出ガスを分流し、その管路に設けられた分流器を用いて排出ガス分流比を制御して計測を行う。分流器はツインベンチュリ方式である。希釈トンネルに排出ガスを導入するサンプルベンチュリは外付型である。捕集方法はマルチフィルタ法で、PMの秤量法は捕集したフィルタを精密天秤で秤量するバッチ法で行った。
 
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図4・61 分流式希釈トンネルシステムの装置概要
 
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図4・62 分流式希釈トンネルシステムの装置外観
 
4−6−2 試験条件
 試験条件を表4・16に、D13モードの運転条件を表4・17に、D13モードにおけるウエイトファクタ(重み係数)を図4・63に示す。
 
表4・16 試験条件
ターボチャージャA/R  12%
連絡口面積比  1.5%
連絡口数  6(60°等分)
噴射ノズル  φ0.4×4-60°
回転速度  1260 rpm
負荷  4/4
燃料噴射時期  10 degBTDC
 
 今回の評価法として用いたD13モードは、軽油を燃料とする自動車の評価法であり、排出ガス測定を行い各排出ガス成分の平均排出量を求める場合に適用される。その運転条件は表4・17、図4・63に示すとおりエンジンの回転速度と負荷の組み合わせが中低負荷を重視した13種類から構成され、各モードの測定値にそれぞれウエイトファクタを乗じて平均排出量を求める。
 よって、中低負荷重視のD13モードによる評価は、国際海事機関(IMO)における高負荷運転による評価法に対し、燃えにくいとされる廃食用油を燃料としたエンジンに適用するにはより厳しいものといえる。したがって、D13モードで目標値を達成すれば国際海事機関の規制値を十分クリアできると考える。
表4・17 D13モードの運転条件
運転モード 運転状態 運転時間(sec) 累積時間(sec) 重み係数(WF)
エンジン回転数(rpm) エンジン負荷率(%)
1 安定部 アイドリング 無負荷 60 60  
測定部 246 306 0.205
移行部     20 326  
2 安定部 最高出力時の回転数の40%の回転数 20 60 386
測定部 44 430 0.037
移行部     10 440  
3 安定部 最高出力時の回転数の40%の回転数 40 60 500
測定部 32 532 0.027
移行部     10 542  
4 安定部 アイドリング 無負荷 60 602
測定部 426 848 0.205
移行部     20 868  
5 安定部 最高出力時の回転数の60%の回転数 20 60 928
測定部 35 963 0.029
移行部     10 973  
6 安定部 最高出力時の回転数の60%の回転数 40 60 1033
測定部 77 1110 0.064
移行部     10 1120  
7 安定部 最高出力時の回転数の80%の回転数 40 60 1180
測定部   49 1229 0.041
移行部     10 1239  
8 安定部 最高出力時の回転数の80%の回転数 60 60 1299
測定部 39 1338 0.032
移行部     10 1348  
9 安定部 最高出力時の回転数の60%の回転数 60 60 1408
測定部 92 1500 0.077
移行部     10 1510  
10 安定部 最高出力時の回転数の60%の回転数 80 60 1570
測定部 66 1636 0.055
移行部     10 1646  
11 安定部 最高出力時の回転数の60%の回転数 95 60 1706
測定部 59 1765 0.049
移行部     10 1775  
12 安定部 最高出力時の回転数の80%の回転数 80 60 1835
測定部 45 1880 0.037
移行部     10 1890  
13 安定部 最高出力時の回転数の60%の回転数 5 60 1950
測定部 170 2120 0.142
 
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図4・63 D13モードのウエイトファクタ
 








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