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第2章 平成11年度の研究開発内容
2−1 研究開発の内容
[1] 廃食用油、植物油の燃焼に適した遮熱エンジンの燃焼システムの開発
 従来、廃食用油や植物油は、ディ−ゼルエンジン用の燃料として用いようとする場合、軽油に比較して粘度が高いために燃料噴霧としての微粒化、燃焼室内への分散性、気化性が悪く、空気との混合が十分行えないので、メタノ−ルと反応させて粘度の低いメチルエステルとし、燃料とする技術が開発されてきた。
 本研究開発では遮熱により燃焼室の内壁面温度を高温にし、通常の冷却エンジンでは不可能な廃食用油、植物油の微粒化や気化混合を促進し、ディ−ゼルエンジンでの圧縮着火を実現する。点火補助装置を持たず、高い信頼性で扱いやすい低公害エンジンを開発する。その為、燃焼の制御性が悪いと思われる廃食用油に的を絞り、確実に廃食用油を燃料として燃焼させる遮熱エンジンを試作する。
 
[2] 廃食用油、植物油を用いて低エミッション燃焼を実現する燃焼室の開発
 高温の雰囲気下でディ−ゼル燃焼を行わせると窒素酸化物が増加する。従来の遮熱エンジンの開発では窒素酸化物の生成を如何に抑制するかが最大の技術課題であり、この問題を解決した例は未だ報告されていない。いすゞセラミックス研究所は独自の副燃焼室を開発し、窒素酸化物の生成を一般の冷却エンジン以下に抑えると共に、副燃焼室式エンジンの欠点であった燃費の悪化を直噴式燃焼方式並とすることに成功している。この技術を基にして廃食用油、植物油を燃料として用いるために副燃焼室形状と主燃焼室形状の最適化、副燃焼室と主燃焼室を繋ぐ連絡孔形状の最適化、主燃焼室および副燃焼室の空気流動の最適化、排気ガス再循環システムの最適制御などを開発し目標値を達成する。
2−2 実施計画
研究開発実施日程表
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2−3 平成11年度の技術開発の目標と内容
[1] 高粘度の廃食用油、植物油の噴射に必要な噴射系仕様の調査
  軽油に比べ粘度が非常に高い廃食用油、植物油を燃料として高圧で噴射する為に必要な噴射系の仕様を調査する。 
[2] 廃食用油、植物油の素性違いによる圧縮着火条件の明確化
  エンジン筒内の圧縮上死点における高温高圧の条件を圧力容器内に再現し、素性の異なる廃食用油を容器内に噴射し、高速度カメラを用いて噴射→噴霧拡散→燃焼に至るプロセスを撮影し、解析する事により試験用エンジンの圧縮比、燃焼室遮熱度、ブ−スト圧力等の主要諸言を決定する。
[3] 試験用単気筒エンジンの大物部品設計
  [1]、[2]の結果を基に、試験用単気筒エンジンの大物部品を設計、試作する。
 








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