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第三節 国連海洋法条約下での調査施設の法的地位
 調査施設は、特に海上交通に影響を及ぼす可能性が高いので、ここに節を改めて扱う。海洋調査の大半は、船舶によって行なわれるが、時には、海中に浮かぶ構造物やブイ或いは固定された構造物によって行なわれる事もある。更に、最近では、無人の潜水艇によって調査する事も可能になってきている。これらの物は、しばしば、海洋資料獲得体制(Ocean Data Acquisition System)略称ODASと呼ばれるが、その法的地位の問題を取り上げたのは、国際海事機構の協力の下でのUNESCOの政府間海洋学委員会であった。1969年にはその法的問題について報告を出し、翌年には、条約準備草案を提出し、1972年に外交会議を開いて議論したが、第三次国連海洋法会議の結論を俟つ事にした。但し、通告、信号と標識の付設、構造調整其の他の安全規定に関する条約準備草案の三つの付則は、公表した。結局、この問題の多くは、国連海洋法条約で扱われる事になった。
 
 一般規定は第258条で、「海洋環境の如何なる区域においても、科学調査の為の如何なる設備又は備品(installations or equipment)の設置(deployment)及び行使も、当該区域に於ける海洋科学調査の実施に就いて、本条約の定める条件と同一の条件に従うものとする」と定めている。この事から、領海や群島水域内では、科学調査用の設備や備品の設置と行使には、沿岸国の同意を要し、その管轄権が当該施設や設備に及ぶ、と解される。排他的経済水域や大陸棚でも沿岸国の同意を要すると考えられ、排他的経済水域や大陸棚での応用調査の定義から、人工島、設備(installations)及び構築物(structures)の建設(construction)、操作又は利用を含むから、人工島の形態を採る調査設備や備品の設置(deployment)或いは設備や構築物の建設と行使は、沿岸国の有する裁量権に服する。この場合、これらの設備や構築物から行なわれる調査の種類は問われない。更に第60条と第80条とから、沿岸国はこれらの設備や構築物に対して管轄権を有する。「設備」や「構築物」たる為の要件が条約中に示されていないから、耐久性や大きさの点での指標が無い。
 
 調査用の設備又は備品(installations and equipment)が、人工島の形態や「設備」や「構築物」の形を採らなくとも、ブイや浮遊体(floating objects)等が、これに該当すると思われるが、応用調査に用いられるときには、それらの設備又は備品は、沿岸国の裁量権に服する。第249条第2項によれば、沿岸国は適切と考える条件をこれらの形の海洋資料獲得体制に対して課し得るから、この規定の広さに鑑みて、沿岸国がこれらに対して管轄権を有すると解される。
 
 反面、もしこれらの浮遊設備や備品が、純粋科学調査に用いられるならば、沿岸国は、その設置と行使に対して、通常の場合、同意を拒否できない。このような同意を一旦与えたら、これらの物に対する管轄権を沿岸国に与える規定は無い様である。但し、調査の中止か終了を命じる第253条の下での権利行使の権原を生じる何かをした場合には別である 。他方で、これらの浮遊設備や備品の設置国は、旗国が自国船舶に対して有する立法管轄権に類する準領土的根拠によって立法管轄権を有するかも知れないが、沿岸国の経済水域や大陸棚上では、強制管轄権(enforcement jurisdiction)は有しない。何故なら、この区域で、その様な管轄権を設置国に与える規定が、海洋法条約に無いからである。これらの物について強制管轄権を有する国が無い様なので、誰に管轄権を認めるか、第59条を援用しなければならない。これらの物に許可無く干渉する者が居ないとは限らないし、その場合には、何らかの措置を講じなければならないので、この管轄権問題は、机上の空論ではない。第59条が、排他的経済水域の中での権利と管轄権の配分問題を解決する方式を定めている。
 
 公海では、調査国は、調査用の設備又は備品を自由に展開でき、調査の対象も、水柱(watercolum)でも、上空域でも、海底でも、底土(subsoil)でも構わない。又これらの設備又は備品は、調査国の管轄権に服する。
 
 調査用の設備又は備品は、島としての地位を有せず、海洋境界画定に影響を及ぼさない(第259条)。但し、これらの設備又は備品から半径(in radius)500メートルまでの安全区域を設定する事ができる(第260条)。調査用の設備又は備品の展開は、国際海運の確立 された航路を阻害するものであってはならない(第261条)。又、これらは、登録国又は所属国際機関を示す識別標識を付けなければならない。又、海上航行と上空の飛行の安全を確保する為に、国際協定で定める適切な警告信号を備えなければならない(第262条)。
 
人工島、設備および構築物設置(establishment)と利用に関する管轄権
 沿岸国は、自国排他的経済水域の中で人工島、設備(installations)および構築物(structures)を設置し、利用する管轄権を与えられている(海洋法条約第56条第1項b号)。又、第60条第1項で人工島、経済目的で用いられる設備と構築物、或いは、沿岸国の排他的経済水域内での権利行使を妨げ得る(may interfere)設備と構築物の建設、操作及び利用を許可し 、規制し、或いは自ら建設する排他的権利を有している。これは、排他的経済水域内で有する主権的権利の直接的結果である。
 
 しかし、例えば人工島を排他的経済水域内に設置する排他的権利は、航海の自由を害する恐れがある。水中から突き出た人工島があれば、船が進路を変更せざるを得ず、コストの増大という経済的影響が出る。既に1950年に問題として取り上げられ、ある学者が「程度の差はあっても、全ての設備が、公海利用の可能性を制限しえる」と指摘していた。様々な制約を作り出すと予想されるが、例えば、隣接国の港への出入りを妨げる砂州を作り出すかも知れない。陸地に求められない余分な空間を海に求めて、水上都市や水上空港を建設する事も考えられる。陸地の近くに水が存在するという事自体の有利性という事もある。巨大タンカーには、深い水深が必要だし、原子力発電所には冷却水が要る(D.J. Attard, The Exclusive Economic Zone and International Law, 1987, pp.87)。
 
 1958年の大陸棚条約第3条は、沿岸国の主権的権利が、「その上部水域の公海としての法的地位又はその上部水域の上空の法的地位に影響を及ぼすものではない」と定めていた。同条約第5条第2項で、沿岸国に大陸棚の資源探査と開発の為に、設備その他の装置(devices)を建設し、操作する権利を与えられていたが、国際航行に不可欠な承認された(recognized)航路の使用を妨害する様な場所に設ける」事を禁止している(同条第6項)。
 
 海洋法条約の規定は、1958年の大陸棚条約の規定を受け継ぐ面もあるが、形式的にも実質的にも変更が加えられている(D.J. Attard,1987,p.88)。大陸棚条約は、資源の探査と開発のみを考慮に入れ、1982年の海洋法条約の様に、深水深の港や水上空港或いは原子力発電所は考えが及ばなかったと言われる(D.J. Attard,1987,p.88)。人工島も規定に挙げられてはいなかった。第60条第1項では既述の様に、人工島や設備や構築物等の建設や利用を許可し、規制し、或いは自ら建設する排他的権利を有している、とされる。(1958年の大陸棚条約第5条第2項では「設備その他の装置」、1982年の海洋法条約第60条第1項は 「設備および構築物」で文言が異なる。この点で、航海援助施設(navigational aids)や潜水艦探査センサー群(submarine sensor arrays)は含まれないとの説がある(74, AJIL, 1980, p.841 et seq. but 75, ibid.,926 et seq)。海洋法条約第258条は、「設備又は装備(installations and equipment)」と言っており、ここでも多少異なる。しかも、それらに対して、第56条第1項a号の主権的権利とまではいかないが、排他的管轄権を第60条第2項で認められている。この排他的管轄権は、通関、財政、保健、安全及び出入国管理上の法令に関する管轄権を含むとされている(第60条第2項)。
 
 注意すべきは、1958年の大陸棚条約第5条第2項が与えていたのは排他的権利ではないという点で、従って、大陸棚の資源と直接関係の無い設備や装置なら、沿岸国の同意を得て如何なる国も大陸棚に設置できたのである(第5条第2項)。
 
 この点で、海洋法条約の権利は大陸棚条約での権利より広い。第60条第1項c号沿岸国の排他的経済水域内での権利行使を妨げ得る設備と構築物の建設や利用を規制したり、自ら建設する排他的権利は、非経済的設備と構築物に関するものと解され、その様な設備と構築物は、沿岸国の管轄権に服すると解される。尤も、この点には論争があった。本号は、排他的経済水域に付き纏う経済と非経済の区別を厳格に維持しようという勢力と相反する利用が争われた場合に沿岸国に有利に解決しようという勢力を妥協に導こうとするものであった。しかし、経済資源に関する設備と構築物に対する排他的管轄権が沿岸国に認められるのは当然であるが、「権利行使を妨げ得る」という文言は、非経済的設備と構築物に対する排他的管轄権を沿岸国に認める方向に強く作用すると思われる(D.J. Attard, 1987, p.89.又、軍事的施設と非軍事的施設とを問わない。74, AJIL, 1980,p.841)。
 
 排他的経済水域内に人工島や構築物を設置する科学的調査は沿岸国が禁止できるかもしれない(D.J. Attard, 1987, p.89)。
 大陸棚の探査や開発が、航行、漁業及び科学調査を妨害してはならないと命じた1958年の大陸棚条約第5条第1項は海洋法条約では削除された(D.J.Attard,1987,p.89)。
 
 1982年の海洋法条約に署名するに際して、ブラジル、ケイプ・ヴェルデとウルグアイは、排他的経済水域内の全ての設備が沿岸国の管轄権内にあると宣言し、例えばケイプ・ヴェルデは「他国の経済水域に設備或いは構築物を建設、操作或いは使用する権限を本条約が与えてはいない」と宣言した。これにイタリアが反論して、排他的経済水域内や大陸棚上に設備や構築物を自ら設置し或いは設置や操作を許可する権利は、海洋法条約第60条に挙げられた種類の設備や構築物に限定される事を強調した(5 LOS Bull. (1985), p.45. as cited by D.J. Attard, 1987, at p.89)。
 
 人工島、設備及び構築物は其れ自体の領海を持たない(第60条第8項及び第259条)。しかし、海洋法条約は安全区域の考えを維持した(第60条第4項及び第260条)。1958年の大陸棚条約同様、安全区域の幅は500mを越えてはならない。幅は、何れの点から計っても500mを越えてはならないと表現されている。当初は衝突だけを考えていて、石油に囲まれた状況で船舶の発するスパークや油の漏出は危険として考慮しなかった様である(D.J.Attard,1987,p.90)。また、具体的には、フランス法は安全区域に無許可で立ち入る事を禁止している為に、実質的には拡大している。上空の飛行を制限し、操作のコントロールを行なう目的の為及び公の秩序を維持する為に、フランスの法規を適用するとしている(1968 年のフランス法68-1181 as cited by D.J. Attard, 1987, at p.90, n.195)。
 
 全ての船が、この区域を尊重する事を要求されている。又、人工島、設備及び構築物の近くでは、一般的に認められた航海に関する国際標準を遵守しなければならない、とされている(第60条第5項及び第6項)。この国際基準(standard)には、例えば国際海上衝突予防規則が挙げられる(n.197)。人工島等や航海の双方の安全を確保する為に、「適切な措置」を沿岸国が執れる(第60条第4項)。しかし、Attardによれば、これらの措置の範囲は不明確である。外国船の安全区域立ち入りを禁止できるか否か、安全区域内での停泊を禁止できるか否か、航路の指定や船舶の種類や大きさで安全区域への立ち入りを禁止できるか否か、又外国船がそれらの措置に違反した場合に、その船を捕獲(seize)する権利があるか否か、もし此等が肯定的なら、沿岸国が行使できる権限を明らかにしておくべきであったと言われる(D.J. Attard, 1987, p.90)。
 
 しかし、この点に関して例えば英国は、領海の内外を問わず大陸棚上に設置した設備の周囲に安全区域を設定して設備を保護し、裁判権の行使を予定している。1982年の「石油及びガス(企業)法」第21条の下で出されるエネルギー庁(the Department of Energy)の命令が、安全区域を指定し、公示する。この公示は、水路通報(Notices to Mariners)でも行なわれるが、移動性掘削機の場合には、「NAVAREA ONEシリーズ」で無線航海警告の形式でも出される。無許可の船が安全区域に入ると、船主、船長及び作為か過失により無許可で船を安全区域に入れた他の者が、禁錮刑か罰金刑或いはその両方に処せられる(S. Mankabady, The Law of Collision of the Sea, 1987, pp.77-8)。現在では適用法が1987年の「石油法」に変更され、同法第23条の下で、2年以内の禁錮刑か罰金正式起訴による有罪判決なら、無制限の罰金を課される(但し、本人の支払い能力の範囲内に限定される。vol.29, Halsbury's Statutes of England, Foirth ed. 1995 Reissue, pp.693 and 700)。設備が組み立て中或いは解体中の場合には、設備の部品についても此の命令が適用される。但し海底パイプラインには適用されない。
 
 1965年の大陸棚(管轄権)命令「1965年のS.I.1881」によれば、海底又は底土の開発に関して指定された区域(designated area)内で起こった作為又は不作為は、枢密院令の指定する区域部分(part)に関する現行法により規律される。従って、これらの指定された区域内で、大陸棚開発と関連して、衝突が起これば、法の抵触に関しては、領海内で起こったと見做される。開発と関連が無ければ、衝突に関して、公海と見做される(S.Mankabady, The Law of Collision of the Sea, 1987, pp.77-8)。
 
 海洋法条約は、此の様な設備が航海にもたらす危険と妨害を認識し、「国際航海に不可欠の承認された(recognized)航路帯に対して妨げとなるような場所に設置してはならない」と定めている(第60条第7項)。但し、「当該区域を通過する事が不可欠でなければ、特定の区域を航行する権利は保障されない。科学調査の為の設備や装備(equipment)の設置も確立した国際航路の妨げとなってはならない」と定めている(第261条)(D.J. Attard, 1987, p.91)。
 
 航海の安全の為の規定は、他にもあって、これらの人工島等を設置する為には、適切な通報(due notice)を行なわなければならず、それらの存在を警告する(warning)恒久的手段を維持しなければならず、使われなくなったり放棄された設備等は、航海の安全の為に除去しなければならない(第60条第3項)。これらの人工島等の範囲(the extent)についても適切な通報(due notice)を行なわなければならない(第60条第6項)。
 
 第60条の体制が狙いとしたのは、人工島等を設置する沿岸国の排他的権利と航海を行なう世界全体の利益との調和であるが、争いの余地は大きい。曖昧な概念、例えば、「合理的(reasonable)安全区域」とか「適用のある(applicable)国際基準」とか「国際的航海に不可欠の(essential)承認された航路帯」が問題を生じないか危惧される(D.J. Attard, 1987, p.91)。
除去義務
 前述の様に、使われなくなったり放棄された設備等は、航海の安全の為に除去しなければならない(第60条第3項)。既に大陸棚条約第5条第5項は「放棄され又は使われなくなった設備、全面的に(entirely)撤去しなければならない。」と定めていた。これに対する抵抗は根強く、英国等は1981年になってもこの義務に制限を付そうと試みていた(D.J. Attard,1987,p.91.)。翌年4月変更され、除去が航海の安全を確保する為に行なうべき事として、その際に権限のある国際機関が、その除去に関して定める一般的に認められた国際基準を考慮する事と漁業、環境保護並びに他の国の権利等に対しても妥当な考慮を払うべき事と1982年の海洋法条約は定めた。設備又は構築物が完全に除去されない場合には、その水深、位置及び規模について「適当に公表する(appropriate publicity shall be given)(第60条第3項)。」
 
 除去義務は人工島には及ばない(第60条第3項)。
 
 これらの設備等が航海の自由を制限する事は、疑いがなく、仮に第60条第7項の人工島等やそれらの安全区域設定制限が、沿岸国の国内法に組み込まれたとしても、実際には、行政による決定によるから、航海の権利が人工島などの位置を左右するかは必ずしも、明らかではない。メキシコ湾の経験では、航路は掘削現場を通り、開発が航路を外して行なわれてはいない。資源埋蔵量等と航路変更の費用を比較衡量して決められると言う事になるであろう。北海についてオランダ政府は、制限区域を設けて、開発作業を航路に従わせた。これらの、方法の差異は、交通の輻輳状況を反映していると思われる(D.J.Attard,1987,p.92-3)。海上衝突予防規則の規則第10は、海上交通が輻輳する水域での分離通航帯 の設定した場合に、通過する船は航路に従い、通過しない船は分離通航帯を避け、止むを得ずここを横切る船には、最短距離の直交する進路を執る様、義務付けている(A.N.Cockcroft and J.N.F. Lameijar, A Guide to the Collision Avoidance Rules, 1996, pp.68-9)。
 
 石油掘削リグの乱立の結果として航路を設定するのは、航海自由の弱体化ではなく、この自由が絶対的でないことの証左に過ぎないと解する人も居る。あるいは第60条第7項が 優越するのかも知れない。確かに、ヴェネズエラの1978年の排他的経済水域法は、海洋法条約の線に沿うものである。同法の第8条第7項は、「承認された航路の妨げとなり得る場所に」人工島等を設置する事を禁止している。けれども、大半の国内法は、この問題に言及してはいない。フィリピン、タイ、マレイシア、インドネシア、インド、ニュージーランド及びソ連などがそうであると言われる。此等は、一般的に行政命令(rules administr-atively)細目を定める事にしている(D.J. Attard, 1987, p.93.)。
 
 しかし、IMOは、海洋法条約第60条第3項の言う「権限のある(competent)国際機関」として、大陸棚と排他的経済水域における沖合設備の除去に関する指標と基準に関する決議を1989年10月19日に採択した。これは、設備や構造物を使わなくなったり放棄する場合の除去を決定する際に考慮すべき基準を、勧告の形で加盟国に示したものである。これによれば、地上重量(weighing in air)が4,000トン未満の設備で、水深75メートル未満のもの或いは1998年1月1日後に水深100メートルの海底に設置した設備は完全に除去しなければならない(should)。水深75メートルを越える所に設置された設備或いは地上重量が4,000トンを越える設備は、部分的除去を選択できるが、水中に残された部分迄の海面からの水深の余地(clearance)が少なくとも、55メートルなければならない。これは、航海の安全を確保する為である。後者に該当する設備が北海北部には、約50有ると言われる(J. Woodliffe, Decommissioning of Offshore Oil and Gas Installations in European Waters, vol.14, The International Journal of Marine and CoastalLaw, 1999, pp.104-5)。
因に主要な海域における主要構築物数を表に示せば次の様になる。
 
地 域 主要構築物数 余地55m超のプラットフォ−ム数 余地26m超のプラットフォ−ム数 平均経年数
合衆国
メキシコ湾
2,304 545 1,138 13
北海/北東欧州 492 153 406 14
中南米
ブラジルとメキシコを除く
176 54 121 18
極東 44 18 23 5
(A. Pulsipher and W. Daniel IV, Onshore-only Platform Disposition Needs Exceptions, Oil and Gas Journal, Jan.15, 2001, p.66より作成)
 航海或いは漁業、特にトロール漁業の網への悪影響に関して、北海のプラットフォーム数約500に対して沈没船の数は、約7,000と推定されている事から軽視する意見もある(A. Pulsipher and W.Daniel IV, 2001, p.65)が、今後数を増していく場合には、大きな問題になり得よう。
 
 オスロ−パリ環境相機関OSPARは、北東大西洋の海洋汚染問題を扱い、ベルギー、デンマーク、フランス、フィンランド、ドイツ、アイスランド、アイルランド、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、連合王国及びEUが参加しているが、その条約が1998年3月23日に発効した(J. Woodliffe, 1999, pp.111 and 113.)。1998年7月23日にポルトガルのSintraで開かれた第一回オスロ−パリ環境相会議では、1万トン未満の全ての構造物は完全に除去しなければならず、1万トン未満を越える構造物は、個々の事情に応じて、完全な除去か、構造物の脚部を水中に残せるか、決定することにした。更に、現存する10個の重力沈下(gravity-based)構造物は、そのままにしておく事に決めた。産業界は、具体的決定が政治的妥協で行なわれないかを恐れていると伝えられる(J.Wood life,1999,p.121)。








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