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3. 地域レベル
 
 安全で持続可能な海の統治に立ちはだかる問題の多くが地球規模で起きている。グローバル化が容赦なく進み、電子革命が衰える兆候を見せない中、犯罪行為がそれに追随するというのは当然というしかなく、海運のグローバル化、金融マーケットのバーチャル化、犯罪の越境等々はすべてこの状況の現われである。
 
 汚染の取り締まりから協同科学調査まで、国際社会が認識するに至ったのは、統治の主導権を取るのは多くの場合、地域レベルであるべきということである。UNEPの地域海洋プログラムは恐らく、この理念の先駆的役割を担ったものの1つであり、この取り組み方は、その後、多くの地域組織が採用して、海運の基準(港湾国管理)、持続可能な開発(バルセロナ条約システム)、麻薬禁止(米州機構)など、これによって海洋活動を調査、監視、管理しようとしている。
 
 しかしながら、地域的取り組みの現在の傾向は、すべて統治の最も基本的な面すなわち地域の実施体制が欠けているように思われる。地域の行動プログラムと議定書は多数あり、機構は創設され、これらは海洋共同体の構成員の多数を効果的に統合している(例えば、持続可能な開発のための地中海委員会)。しかしながら、これら統治文書のすべてが、地域内の全海洋部門を貫く査察、監視、管理(取締)手段統合の規定を怠っている。
 
 この欠落が、不法行為が検知も処罰もないままに横行する大きな機会を与える。というのは地域の最も弱体な構成員が標的にされて、集団を犠牲にしてしまうからである。この症状は多くの地域であふれている。というのも規格外船が、沿岸国に点検能力のないところで航路就航しており、人身が貨物として、当局に査察のインフラのないところで遠隔の海岸線へ密輸され、麻薬が、そのような行為を検知し禁止するのに必要な最低の手段も持っていない国の水域で積み替えられている。これらの例は流行のほんの些細な症例に過ぎない。
 
 地域不安定の原因は、他に、地域内の相対的に強い国が、一方的な、ときに領海を越えた、行動を取って、自分の国益と信じるものを守ろうとするところにもある73。この行動の危険性に気付き、ある地域では多国間の協定と覚書という形で枠組みを提供しようとしている。これにより多国による査察、監視、管理(取締)を確立し、海洋管轄権のゾーンと、国旗を掲げる船舶に対する国の主権を改めて主張する74
 
 このイニシャチブが強く求められており、これが、一方的なまたは越境の行為を減らすだけでなく、地域が、問題に対して共通の理解を深め、恐らく共同で解決に乗り出すのに役立つであろうことは明らかである。しかしながらこの地域イニシャチブはその応用面で限界がある。というのはこのイニシャチブには、各国が協力して共通の解決を見つけるべきと定めるばかりであることが多いのである。繰り返すが、実施の責任とそれに伴う費用の大部分は個別の各国に残される。
 
 恐らく、ある地域では、多国間の地域沿岸警備の利用は、効率的効果的法令遵守と強制執行活動を提供できる。この選択は、現在、学界と政界の両方で検証されつつあり、最近、相当の支持を得た75。地域沿岸警備用の検討モデルも現在、国際海事機関が開発中であり、議定書案が、説明と検討目的で以下に添付されている。
 
地域沿岸警備隊の創設と運営に関わる議定書案説明条項
 
 本議定書締結当事国は、
_________および_________条約締結当事国であり、
_________条約関連の議定書を考慮し、
 
 1982年12月10日モンテゴ湾で採択された国連海洋法条約ならびにその他海上における犯罪の制圧に関するすべての法的文書の関連規定に留意し、
 
 1961年の国連麻薬単一条約、1971年国連向精神性物質条約、1988年国連麻薬・向精神性物質対密輸条約を想起し、
 
 2000年11月の国連ミレニアム総会で採決された国連多国籍組織犯罪条約の関連規定に興味を持って注目し、
 
 国連海洋法条約の普遍的、一体的性格ならびに国際平和および安全保障、海洋およびその資源の持続可能な利用および開発にとっての同条約の基本的重要性を強調し、
 
 リオ宣言(1992年)の原則25が、「平和、開発、環境保護は相互依存の関係にあり、分けられない」こと、平和および人の安全は持続可能な開発に基礎を置かなければならないこと、持続可能な開発は平和と人の安全に基礎を置かなければならないこと、人の安全および持続可能な開発は、ともに、平等にもとづかなければならないこと、を支持していることに注目し、
 
 海域における不法行為が増加を続け、その結果、環境および地域の持続可能な開発が深刻な脅威にさらされていることを認識し、
 
 社会経済面および環境面の有害な影響から地域の海洋と人々を守ることを願い、
 
 沿岸国間の発展水準のちがいを承知し、発展途上国の経済的社会的緊急性を考慮し、
 
 来るべき10年間の主眼を過去10年の膨大な司法的遺産の整理統合、実施、執行に置くことを認め、
 
 以下のとおり合意した。
 
セクション1‐一般規定
 
第1章 用語の使用法
 
 本議定書においては
 
(a) 「条約」とは_________をいう。
 
(b) 「議定書」とは_________をいう。
 
(c) 「当事国」とは本議定書の締結国をいう。
 
(d) 「行動計画」とは_________をいう。
 
(e) 「組織」とは_________をいう。
 
(f) 「資産」とは、人員、プラットフォーム、その他の機器、およびMED議定書または議定書セクションIIにより地中海地域沿岸警備隊に与えられるその他権限を効果的に実施するための財政的任務をいう。
 
(m) 「議定書区域」とは、本議定書が適用となる区域で、議定書第2章に定義するものをいう。
 
(o) 「査察」とは、興味のある分野の興味の対象の状況、活動、できごとを一定期間にわたって検知し、通告することをいう。
 
(p) 「監視」とは、興味の対象の特定の条件、活動、できごとを系統的に観察することをいう。
 
(q) 「取締り」とは、法の支配を実効あらしめる公務の執行をいう。
 
第2章 地理的適用範囲
 
1. 本議定書が適用となる区域は以下のとおりとする。
 
(a) 地域固有の海水域で_________により区切られている部分、ならびに大陸棚および海底およびその下層を含む。
 
(b) 領海の幅を計測する起点となり、流水権に関しては、淡水限界まで延伸するところの基線の陸側の海底およびその下層を含む水域。
 
2. 当事国は議定書区域に、自国の湿地または沿岸区域を組み入れることが出来る。
 
3. 本議定書のいかなる規定も、本議定書をもとに採択した法律も、いかなる当事国の権利および義務を毀損するものではない。
 
第3章 全般的な業務
 
1. 当事国は、地域沿岸警備隊(RCG: Regional Coast Guard)を設立することにより、あらゆる適切な手段を講じて、議定書区域内の不法行為および環境悪化を予防し、除去し、これらと戦う。
 
2. 当事国はRCGに対して、議定書区域内において、本議定書セクションIIに定義するその権限を効果的に実施するために必要な査察、監視、取締り機能を遂行する権限を与える。
 
3. 当事国は、議定書第10章の定めるところによりRCGの運営面、人員面、財政面の資産を供出する。
 
4. 当事国は、自己の法令を国際規則ならびに薦めを受けた慣行および手順に、できる限りすみやかに調和させるように努める。
 
セクションII‐地域沿岸警備隊の権限
 
第4章 主要な権限
 
1. RCGの活動は、なかんずく、権限付属書に概略するRCGの権限を効果的に実施するために必要な査察、監視、取締り機能を含む。
 
2. 議定書区域の地区に適用される地域内全多国間条約および協定の実施は、RCGがこれを執行する。締結当事国は、外交協議により、議定書区域全域でこの法律を施行することで合意できる。
 
3. 国連海洋法会議、UNCED条約、協定、プログラムの海洋関連部分、国連麻薬単一条約(1961年)、国連向精神性物質条約(1971年)、国連麻薬・向精神性物質対密輸条約(1988年)、国連多国籍組織犯罪条約
 
4. 当事国が採択して締結当事国会議が承認する関連国際法およびIMO規則はすべて、議定書区域内でRCGがこれを執行する。
 
5. さらにRCGは
(a) 締結当事国会議が必要と認めるコンティジェンシー・プラン{= 不足事態対応計画}を締結当事国の権能ある国家機関と共同で展開し、実施する。この達成のため、常設のコンティジェンシー・プラン特別委員会を設置することができる。
 
(b) [該当する地域海洋プログラム]の規定に概略された海洋保護区域の規定に特別の注意を払う。
 
(c) 地域における情報、なかんずく、海上での人命の安全、海難事故、不法行為に関する情報の収集と普及にあたる中心的役割を担う。
 
(d) 地域の能力形成、なかんずく、全般的海洋査察、監視と取締り、コンティジェンシー・プラン立案、海難事故への対応、人道的支援、不法行為禁止の分野における能力形成の実施機関としての役割を担う。これはすべて地域で一般に受け入れられた規準、慣行、手順にそって行う。
 
6. 議定書第11章により、RCGの権限は、締結当事国会議の4分の3の多数の賛成によりこれを変更、拡大、修正することができる。この修正は議定書の権限付属書の改正をもって行う。
 
セクションIII‐組織の構造
 
第5章 締結当事国会議
 
1. 締結当事国は定例会議を年1回、臨時会議をその他いつでも、作業委員会または締結当事国が他の少なくとも締結当事国2か国の支持を受けて要請した時に、必要と認めれば、その時に開催する。当事国は、その会議の代表に海軍および沿岸警備隊またはそのいずれかの書記官を加えるべきである。
 
2. RCGの政策および活動を決定するのは締結当事国会議の機能である。
 
3. さらに締結当事国会議は、なかんずく、
 
(a) 作業委員会が作成する戦略計画および年間任務報告書を審議し、報告がRCGのその時点で与えられている命令を満たしているかを評価する。
 
(b) 議定書第10章により定める期間に行う拠出金の適性水準および態様を当事国間で交渉する。
 
(c) 非当事国である主体からの拠出金の申出を受領して評価し、作業委員会にこの申出を送ってその評価と、結果として年間任務報告への折り込みを求める。
 
(d) 議定書第8章2項および第8章3項により諮問委員会が提出する諮問決議を審議する。
 
(e) 本議定書の実施状況を常時審査し、採用している手段の有効性、およびその他、特に付属書にある手段が推薦に値するものかを審議する。
 
(f) 規準を確立し、国際ルール、基準、推薦を受けた慣行、手順を、締結当事国が納得する形式にするよう公式化する。
 
(g) 政策の実施および議定書第3章に概略された目的、特に国内法を地域および一般に受け入れられた国際法のなかにとけ込ませるという目的の達成に便宜を与える。
 
(h) 議定書第11章により議定書およびその付属書を改正する。
 
(i) プログラム予算を承認する。
 
(j) 本議定書の適用にふさわしいその他の機能を議定書第9条により特別委員会に課す。
 
4. 休会期間中、事務局は、政策および活動の実行に責任を持つ。
 
第6章 作業委員会
 
1. 当事国は8名の構成員からなる作業委員会を任命するが、その構成員の選考は個人の能力および広範な海上保安業務経験を基礎とし、公平な地理的分布の原則を遵守して行う。
 
2. 作業委員会の議長は地域沿岸警備隊参謀長となる。
 
3. 作業委員会の権限は
 
(a) 議定書セクションIIIの規定に従ってRCGの全活動を調整し、実行すること。
 
(b) 該当するRCGの任務を概略する年間任務報告書を年次ごとに作成して事務局に提出する。
 
(c) 議定書区域のための現時点における使命の優先度を概略し、理由付けした戦略計画を四半期ごとに作成して事務局に提出する。
 
(d) RCGへの非当事国主体からの拠出金申出について検討する。
 
(e) 本議定書の適用にふさわしいその他の機能を議定書第9章により特別委員会に課す。
 
4. 作業委員会の定例会議は毎月、臨時会議は3人の構成員の同時要求により召集される。
 
5. 作業委員会は_________に設置される地域活動センター(RAC: Regional Activities Center)の補佐を受ける。
 
第7章 地域活動センター
 
1. RCG活動センターは締結当事国会議の討議により選ばれた締結当事国の代表者により構成される。事務局員の選考にあたっては、締結当事国会議は公平な地理的分布の原則を遵守する。
 
2. 活動センターの主たる機能は、議定書第5章4項および第6章5項により、締結当事国会議および作業委員会を補佐することである。
 
3. RCG活動センター活動のベースとなる条件は締結当事国会議が採択して議定書に添付した手順のルールに定めるとおりとする。
 
第8章 諮問委員会
 
1. 諮問委員会はつぎにより構成される。
 
(a) 地域持続可能開発委員会76
(b) RCGの権限行使に直接の利害関係を持ち、議定書第10章4項によりRCGの資産に貢献する非国家主体
 
2. 諮問委員会は、RCGの政策および活動に関するあらゆる事項について、単純多数決により、諮問決議を採択できる。
 
3. 諮問決議は第5章3項 (d) により、締結当事国会議がこれを審議する。
 
4. 諮問委員会の会期はMCSDの定例会期の直後とする。
 
第9章 特別委員会
 
1. 特別委員会は、締結当事国会議または作業委員会が、特別の注意を要する問題を審議するためにこれを創設することができる。
 
2. 委員会はつぎの2つの態様をとることができる。
 
(a) 特別常設委員会。この委員会は、締結当事国会議または作業委員会またはその両方が提案でき、締結当事国会議の3分の2の多数の賛成で承認される必要がある。この委員会の権限は議定書に付属書として添付される。
(b) 定例特別委員会。この特別編成委員会は、締結当事国会議または作業委員会またはその両方が提案でき、提案した機関の単純多数決によりこれを承認することができる。この委員会の権限は、回状の形式で全当事国および諮問委員会の構成員にこれを配布する。
 
3. 特別委員会は、同委員会の設置を提案した機関に直属する。
 
第10章 RCG任務への貢献
 
1. 作業委員会が議定書第6章 (3) 項 (b) に従って起草し、締結当事国会議が議定書第5章 (3) 項 (a) に従って承認する年間任務報告書は来るべき年度のRCGの予想任務を列挙する。
 
2. 締結当事国は、年間任務報告書に概略する任務を満たすための資産の提供あるいは拠出を求められる。
 
3. 当事国が提供する年間最低拠出額は、年毎に、締結当事国会議会期中に、作業委員会と協議しつつ、交渉のこととする。
 
4. 非国家主体は資産を提供することにより、臨時的なものであっても、RCG任務に貢献できる。ただし作戦の指揮は、これを放棄しなければならない。取締りは放棄の必要はない。貢献することにより、この主体の代表は諮問委員会の構成員になることができる。
 
第11章 議定書および付属書の改正
 
1. 本議定書の締結当事国は議定書の改正を提案できる。改正は外交協議が、これを採択するが、この外交協議は、締結当事国の3分の2の要求により事務局がこれを召集する。
 
2. 本議定書の締結当事国は付属書の改正を提案できる。改正は外交協議がこれを採択するが、この外交協議は、付属書の締結当事国の3分の2の要求により事務局がこれを召集する。
 
3. 議定書の改正は、外交協議に代表を送っている議定書の締結当事国の4分の3の賛成をもって採択され、受託者が、議定書の全締結当事国の容認を求めて、これを提出する。付属書の改正は、外交協議に代表を送っているその付属書の締結当事国の4分の3の賛成をもって採択され、受託者が、その付属書の全締結当事国の容認を求めて、これを提出する。
 
4. 改正の容認は、受託者に書面をもってこれを通知する。本章3項に従って採択された改正は、その改正を容認した締結当事国間で発効するが、その発効日は、本議定書または付属書のいずれか該当するほうの締結当事国の少なくとも4分の3が受容したことの通知を受託者が受取った日の翌日から数えて30日目とする。
 
5. 議定書または付属書の改正の発効後は、新規の締結当事国は、改正後の文書の締結当事国となる。
 
第12章 規格
 
 RCGが使用する経営上および操作上の規格はすべて、最も広く受け入れられ、使用されているもの、と認められる。
 
第13章 共通情報
 
 当事国は、相互に直接、または該当する事務局を経由して、達成した結果、および、場合によっては、本議定書の適用において遭遇した難事を連絡する。この情報収集および提出の手順は、締結当事国の会議でこれを決定する。
 
第14章 紛争の平和的解決
 
1. 本議定書の解釈および実施から生じる紛争はすべて、国連海洋法条約第XV部および関連付属書の定めるところにより、強制的平和解決に従うものとする。
 
2. 地域的地中海的な特別の配慮により、仲裁かまたは特別仲裁の選択があることに留意する。
 
第15章 最終章
 
1. 本議定書は、____から____までを、地域沿岸警備隊の創設および運営に関する会議に招かれた国による署名の受付期間とする。本議定書はまた、同じ期間を、少なくとも1つの構成国が議定書区域の沿岸国であり、本議定書第3章の対象とする分野において権限を行使する[関連の地域政府間機構]による署名の受付期間とする。
 
2. 本議定書は批准、受諾、承認のいずれかを条件とする。批准、受諾、承認の文書は、___政府が預かり、この政府が受託者の機能を担う。
 
3. 本議定書は、____およびそれ以降、国家および本章1項にいう政府間機構の加盟を受け付ける。
 
4. 本議定書は本章第1項にいう当事国の批准、受諾、承認のいずれか、または加盟の文書が最低5通預託された日の翌日から数えて30日目に発効する。
 
 以上の証として、正当な権限を持つ下記の者が本議定書に署名した。
 
4. 地球レベル
 
 国際社会は、共通の問題を取り上げ、解決を見出す地球規模の討論の場を必要としている。さらに、これらの解決は、地域レベル、国家レベル、地方レベルでしか実施できないことは多いが、真に効果をあげるためには地球レベルの調和が欠かせない。この取り組み方が特に重要になってくるのは、海の不正使用を禁じようとするときである。なぜならば複数の国を股にかけた犯罪行為は順応性が高く、手口をいち早く変えて、禁止戦略の弱い部分につけ入る。それはどのレベル、どの地域でも同じである。
 
 グローバル戦略が重要なことの絶好の例が、海路による麻薬と人身の密輸をターゲットにした禁止作戦と、規格外海運との戦いとに見られる。
 
 前者のケースについていえば、麻薬と人を運ぶ手段として、国際犯罪組織が、正当な海運輸送を不正に利用するケースが益々増えている。こうした組織の行動は多国籍企業とそっくりで、その特長は、すべて最新の情報技術に支えられた複雑な生産、輸送、流通のネットワークにある77。換言すれば、国際社会は、時としておびただしい技術手段、金融手段を持つきわめてダイナミックで知的な超国家的俳優と対峙しているのである。
 
 したがって、この多国籍犯罪組織に対抗できるのは、集合的な行動を通じてしかない。グローバルで多次元的なアプローチとなれば、すべてのレベルで念入りに仕上られ、不法行為の避難所あるいは一時的隠れ場になるような場所は地域としても国としても1つもないという仕方で、効果的に実施されなければならない。規格外船が操業すれば、必ずその場で取り押さえるべきであり、不法投棄があれば、必ずその時点で検知されなければならず、不法貨物が市場に出ても、取り押さえられ、密輸のネットワークは取り潰される。
 
 地球レベルの執行行動というのは、想像することさえ難しいが、法、政策、手続、情報収集と交換の標準化、訴訟の委譲と証拠のグローバルな証拠能力化等のグローバルな調和を通じて、地域的行動が容易になるに違いない。なぜならば、地球規模の合意と調和のとれた取り組みがなくては、統治のシステムは、その法制面と機構面の要素部分が、効果的な実施手段の支えを欠くことで根元から突き崩されることになるからである。








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