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4.2.2 フュミゲーション発生条件下での濃度状況の把握
 フュミゲーションの強度を見積もるために、海上・陸上での大気安定度と風向ごとの平均SO2濃度を算出した。それによると、東系風向かつ陸上で不安定である時は一般的に高濃度になる傾向がある。また、東系風向かつ陸上で不安定である時、海上が安定・中立である場合よりも不安定となった場合の方がより高濃度が出現する。
 
 以下、風向が東北東・東・東南東であり、海上の大気安定度が安定または中立、かつ、陸上の大気安定度が不安定である場合を金沢区長浜におけるフュミゲーション発生条件とする。また、これ以外の場合をフュミゲーション非発生条件とする。
 
 フュミゲーション発生条件下でのSO2濃度は、フュミゲーション非発生条件の平均値と較べると、1.0〜1.9倍になり、これらの値の単純平均は1.3倍となる。つまり、フュミゲーション発生条件下では、SO2濃度は1.3倍程度に上昇すると考えることができる。
表4.2-4 大気安定度・風向ごとのSO2濃度
(金沢区長浜、ppb)
大気安定度   風向  
海上 陸上 N NNE NE ENE E ESE SE SSE S SSW SW WSW W WHW NW NNW 静穏 総計
安定 安定 6.2 8.4 6.1 7.1 6.0 6.8 4.0 5.5 4.0 4.4 3.8 5.8 4.1 5.0 9.0 5.1 2.0 4.9
中立 5.2 4.7 8.7 7.0 9.4 7.0 6.3 5.8 3.9 3.3 3.2 3.8 2.8 4.8 4.9 4.5 12.0 4.1
不安定 3.7 5.7 9.4 8.6 9.6 8.5 8.7 6.4 6.1 3.9 3.8 3.0   5.0 3.2 4.5   6.8
安定計   5.3 5.7 8.7 8.0 9.3 8.0 7.5 6.1 4.4 3.5 3.5 4.4 3.9 4.9 6.5 4.8   5.0
中立 安定 4.8 7.8 6.9 7.2 4.0 5.5 10.5 6.4 3.6 3.8 4.4 4.1 4.5 6.4 5.8 4.9   5.1
中立 3.9 4.6 5.2 5.5 6.5 4.7 6.0 3.9 3.5 3.1 4.3 5.5 4.0 4.7 6.0 3.7   4.3
不安定 4.3 6.4 7.4 6.7 9.1 12.3 8.2 3.7 5.0 4.0 3.8 2.0           6.6
中立計   4.0 5.1 5.4 5.8 7.6 7.7 7.7 4.4 3.7 3.2 4.3 4.7 4.3 5.6 5.9 3.9   4.6
不安定 安定 5.0 5.5 6.4 6.1 5.5 5.8 5.5 5.4 5.1 5.1 5.0 6.5 4.8 6.1 5.6 4.9 6.7 5.4
中立 4.2 5.3 6.5 7.0 6.7 7.7 6.3 6.0 5.4 5.6 4.1 4.4 4.0 5.1 5.7 4.4 5.3 5.3
不安定 4.9 6.6 9.5 9.2 10.3 9.0 8.8 8.1 8.5 6.6 4.8 5.8 4.8 3.3 4.3 4.8 6.0 8.1
不安定計     4.7 4.6 5.7 7.3 7.7 8.3 7.5 6.5 6.0 5.6 5.4 4.8 6.1 4.6 5.8 5.6 4.7
総計   4.5 5.5 6.4 7.1 8.4 7.7 7.0 5.7 4.4 3.6 3.9 5.4 4.5 5.7 5.7 4.6 6.2 5.3
表4.2-5 フュミゲーション発生条件下での濃度と倍率
海上の安定度 陸上の安定度 濃度 ppb(倍率)    
    ENE E ESE
安定 不安定 8.6(1.2) 9.6(1.4) 8.5(1.3)
中立 不安定 6.7(1.0) 9.1(1.3) 12.3(1.9)
フュミゲーション非発生条件下での平均値   7.0 6.9 6.6
図4.2-3 風向、海陸の安定度とSO2濃度(ppb)
z1129_03.jpg
4.2.3 フュミゲーション発生条件の発生率
 フュミゲーション強度と同様に、陸上の大気安定度と海上の大気安定度の出現の比較により、年間のフュミゲーションの発生率を見積った。フュミゲーション発生条件の発生率は併せて3.2%である。また、この条件の全体平均濃度に対する濃度寄与率は8.8%であった。寄与率の算出は 部分出現率×部分平均値/年平均値 とした。
表4.2-6 大気安定度・風向ごとの出現頻度
(金沢区長浜、%)
大気安定度   風向  
海上 陸上 N NNE NE ENE E ESE SE SSE S SSW SW WSW W WHW NW NNW 静穏 総計
安定 安定 0.2 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.0 0.1 0.5 1.1 0.5 0.1 0.2 0.1 0.2 0.2 0.0 3.7
中立 0.3 0.2 0.3 0.4 0.3 0.2 0.2 0.4 1.3 6.3 1.3 0.2 0.0 0.0 0.1 0.2 0.0 11.6
不安定 0.1 0.2 0.6 0.7 1.0 0.4 0.3 0.4 0.4 1.4 0.5 0.0 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 21.5
安定計   0.5 0.5 1.1 1.2 1.4 0.7 0.6 0.8 2.2 8.7 2.3 0.3 0.3 0.1 0.4 0.5 0.1 21.5
中立 安定 0.2 0.2 0.3 0.1 0.0 0.0 0.0 0.1 0.3 0.7 0.3 0.1 0.1 0.2 0.3 0.2 0.0 3.2
中立 1.9 1.8 6.5 1.8 0.6 0.1 0.1 0.4 2.1 6.7 0.9 0.1 0.0 0.1 0.4 0.8 0.0 24.2
不安定 0.0 0.2 0.5 0.4 0.5 0.1 0.1 0.0 0.3 0.5 0.2 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 2.7
中立計   2.1 2.2 7.2 2.2 1.1 0.3 0.4 0.6 0.9 1.2 0.4 0.5 0.8 1.1 2.6 5.0 0.2 30.1
不安定 安定 3.3 1.8 1.3 0.8 0.6 0.3 0.4 0.6 0.9 1.2 0.4 0.5 0.8 1.1 2.6 5.0 0.2 21.8
中立 4.0 2.9 2.6 1.1 0.6 0.3 0.2 0.2 0.7 0.5 0.1 0.1 0.3 0.4 1.5 2.9 0.1 18.5
不安定 0.7 1.4 1.4 1.4 1.3 0.3 0.2 0.2 0.2 0.3 0.2 0.1 0.1 0.0 0.1 0.2 0.0 8.0
不安定計   8.0 6.1 5.3 3.3 2.5 0.9 0.8 1.0 1.7 2.0 0.8 0.7 1.2 1.5 4.1 8.1 0.3 48.4
総計   10.7 8.8 13.6 6.7 5.1 1.9 1.5 2.3 6.5 18.6 4.4 1.3 1.6 2.0 5.2 9.5 0.4 100.0
表4.2-7 フュミゲーション発生条件の濃度寄与度
  海上 陸上 ENE E ESE  
SO2濃度(ppb) 安定 不安定 8.6 9.6 8.5 全体の平均
  中立 不安定 6.7 9.1 12.3 5.3
出現率 安定 不安定 0.7% 1.0% 0.4% 合計
  中立 不安定 0.4% 0.5% 0.1% 3.2%
寄与度 安定 不安定 1.2% 1.8% 0.7% 合計
  中立 不安定 1.8% 2.4% 1.0% 8.8%
4.2.4 フュミゲーションの影響度
 これまでの検討により、フュミゲーション発生条件下では1.3倍程度に濃度が上昇し、発生条件時の濃度の、全体濃度に対する濃度寄与度は8.8%であることが分かった。これにより大まかに言って、フュミゲーションによる濃度増加は濃度全体のうち2.0%程度であると考えられる。








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