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4.2 観測値によるケーススタディ
4.2.1 対象地域の選定
 大気環境濃度、風向・風速以外に、比較的近接した地点で陸上と海上の大気安定度が求められる地域として横浜港周辺を選定し、横浜ブロックの代表点である横浜市金沢区長浜周辺のSO2濃度を解析に用いた。東京湾周辺の多くの地点でSO2濃度は海側からの風向により上昇する傾向があり、船舶からの影響が大きいと考えられるためである。
 
 海上の大気安定度は、横浜ブロックとして算出したものを用いた。陸上の大気安定度は、環境省大気保全局による窒素酸化物総量規制マニュアル所載のPasquill安定度階級分類表(原子力安全委員会気象指針、1982)の方法により、放射収支量・日射量・風速を用いて算出した。利用したデータの地点は以下の通りである。
表4.2-1 フュミゲーション解析に用いたデータ
SO2濃度 風向・風速 海上の大気安定度 陸上の大気安定度
横浜市長浜 横浜市金沢区長浜 横浜ブロック 以下参照
表4.2-2 陸上の大気安定度の算出に用いたデータ
日射量 放射収支量 風速
横浜市中区本牧 横浜市金沢区長浜 横浜市長浜
表4.2-3 横浜ブロックで海上の大気安定度を求めるのに用いたデータ
気温 海水温 風速
海ほたる 根岸沖 金沢区長浜
 金沢区長浜において主に現れる風向は、南南西ならびに北東、北、北北西であり、海風である東系の風の出現頻度は比較的少ないが、海風出現時のSO2濃度が他の風向に比較して高くなっている。これらの点に関しては、東京湾周辺の他の地点も同様である。
図4.2-1 風向き別SO2平均濃度
(金沢区、ppb)
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図4.2-2 風向別出現頻度と濃度への寄与度
z1128_05.jpg








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