(4)まとめ
以上の検討結果を表2.3-4および図2.3-1にとりまとめた。
これらの効果は港湾区域内あるいは特定の運航状況(例えば沖待ち以外の停泊時)に限定されているため、実質的な大気汚染物質の排出量やコストに与える影響を評価するには航海全体も考慮した検討が必要である。
次項では、設定したシナリオ航海に基づいて、各削減方策の効果についてより詳細に検討を加えた。
表2.3-1 陸電使用に関する大気汚染物質の排出量およびコストの比較 (港湾区域内のみ) |
項目 |
船内発電(A) |
陸電使用(B) |
比較(B/A:%) |
Nox排出量(g/kWh) |
13.3(1) |
0.1(5) |
0.75 |
Sox排出量(g/kWh) |
9.5(2) |
0.07(6) |
0.74 |
発電コスト(円/kWh) |
3.86(3) |
10.60(7) |
275 |
(参考)CO2排出量(g/kWh) |
570(4) |
330(8) |
58 |
計算の対象は港湾区域内の荷役時および停泊時
計算に用いた数値等は以下のとおり
(1)190g-fuel/kWh、70g-NOx/kg-fuel16と仮定
(2)190g-fuel/kWh、50g-SOx/kg-fuel17と仮定
(3)190g-fuel/kWh、19,400円/kリットル18、0.956kg/リットル19と仮定
(4)190g-fuel/kWh、2999g-CO2/kg-fuel20と仮定
(5)東京電力の全発電所(原子力を含む)の排出原単位21
(6)同上
(7)3相交流電源で、電気使用料金(10.27円/kWh)と燃料費調整額(0.33円/kWh)の合計(基本料金は無視されると想定)(同上)
(8)東京電力の全発電所(原子力を含む)の排出原単位
16 S&O財団(1992);船舶排ガスの環境への影響と防止技術の調査から引用、船舶全体の平均値
17 S&O財団(1992);船舶排ガスの環境への影響と防止技術の調査から引用、C重油の値
18 日本内航海運組合総連合会ホームページから引用、1995〜1999の5ヶ年平均
19 石油連盟ホームページから引用
20 S&O財団(1992);船舶排ガスの環境への影響と防止技術の調査から引用、C重油の値
21 東京電力ホームページから引用
項目 |
C重油の使用(A) |
A重油への切替え(B) |
比較(B/A:%) |
NOx排出量(g/kcal) |
6.83(1) |
5.79(5) |
90 |
SOx排出量(g/kcal) |
4.88(2) |
0.92(6) |
19 |
発電コスト(円/kcal) |
1.89(3) |
2.81(7) |
149 |
(参考)CO2排出量(g/kcal) |
293(4) |
282(8) |
96 |
計算の対象は港湾区域内の航行時、荷役時および停泊時
計算に用いた数値等は以下のとおり
(1)船舶全体の平均値(70g/kg-fuel22:「S&O財団(1992)船舶排ガスの環境への影響と防止技術の調査」)およびC重油の発熱量(9,800kcal/リットル)23と密度(0.956kg/リットル)24から算出
(2)C重油として硫黄含有量2.5wt%と想定(50g/kg-fuel)25(kcalベースへの換算方法は同上)
(3)1995〜1999の5ヶ年平均(19,400円/kリットル)26(kcalベースへの換算方法は(1)と同じ)
(4)C重油の値(2,999g/kg-fuel)27(kcalべースヘの換算方法は(1)と同じ)
(5)A重油使用によって10%程度低下できると想定(63g/kg-fuel)28 ただし、A重油の発熱量(9,300kcal/リットル)および密度(0.855)30から発熱量ベースに補正
(6)A重油として硫黄含有量0.5%と想定(10.0g/kg-fuel)31(kcalベースへの換算方法は同上)
(7)1995〜1999の5ヶ年平均(30,600円/kリットル)32(kcalベースへの換算方法は(5)と同じ)
(8)A重油の値(3,066g/kg-fuel)33(kcalベースへの換算方法は(5)と同じ)
22 「S&O財団(1992)船舶排ガスの環境への影響と防止技術の調査」
23 総合エネルギー統計(平成12年度版)
24 石油連盟ホームページ
25 「S&O財団(1992)船舶排ガスの環境への影響と防止技術の調査」
26 日本内航海運組合総連合会ホームページ
27 「S&O財団(1992)船舶排ガスの環境への影響と防止技術の調査」
28 「S&O財団(1992)船舶排ガスの環境への影響と防止技術の調査」
29 総合エネルギー統計(平成12年度版)
30 石油連盟ホームページ
31 「S&O財団(1992)船舶排ガスの環境への影響と防止技術の調査」
32 日本内航海運組合総連合会ホームページ
33 「S&O財団(1992)船舶排ガスの環境への影響と防止技術の調査」
表2.3-3 減速航行に関する大気汚染物質の排出量およびコストの比較
項目 |
減速航行の実施前(10knt:A)と
実施後(8knt:B)での比較
(B/A:%) |
NOx排出量 |
61 |
SOx排出量 |
64 |
燃料コスト |
64 |
(参考)CO2排出量 |
64 |
計算式等は本文参照
計算の対象は港湾区域内での航行時のみ
表2.3-4 各方策による大気汚染物質の排出量およびコスト変化の比較 (港湾区域内のみ) |
表中の数字:実施前(A)と実施後(B)の比較(B/A(%))
方策 |
Nox |
Sox |
コスト |
(参考)CO2 |
陸電使用 |
0.75 |
0.74 |
275 |
58 |
燃料切替え |
90 |
19 |
149 |
96 |
減速航行(10knt→8knt) |
61 |
64 |
64 |
64 |
数値の算出方法は表2.3-1、表2.3-2および表2.3-3参照
図2.3-1 各方策による大気汚染物質の排出量およびコスト変化の比較 (港湾区域内のみ) |