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7. 今後の検討課題
 本稿は、できるだけ具体的に沿岸域管理にかかわる個別実定法制度の内容を検討することで、沿岸域の管理が個別的な、帰納的な管理で充分かどうか、むしろある種の価値の序列付けを前提とする、計画的な事前の調整と体系的な事後的な紛争解決のシステムが必要ではないかの検証をする第一歩の作業である。このような総合的管理が必要かどうか、それが現行の個別的帰納的なアプローチに勝るものでありうるかを検討するためには、まず、現在の個別アプローチの総体を把握し、その管理の機能的な限界の認識と評価をする必要があると考えたためにこのような作業を行った。
 しかし、海に関連する実定法は非常に多く、その整理も筆者のこれまでの研究の状況との関係で、精粗まちまちのままに本年度の整理を終了した。それ故、今後の課題は、計画制度、実定法制度を含めて、研究の密度を同質にし、それを何らかの軸で統一的に整理して、各種の法制度および計画制度の関連、抵触等が認識できるようなマトリックスを作成し、現行管理制度の機能の限界について具体的な判断が可能なような整理を施すことである。整理の軸については来年度の課題とする。








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