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2. 波浪エネルギー
 地球の受け取る太陽エネルギーの一部は、地球の温度差により風力エネルギーに変わる。この風が海面上を通過する際にそのエネルギーの一部は表面形成波として変換される。これら2つの変換過程において、それぞれがエネルギー束の濃縮につながることになる。海面1 m2当たりの年間平均太陽エネルギーは、その地域の天候及び緯度に左右されるが、通常、100Wから250Wに達するとされている。1 m2当たりの風力エネルギーの平均フローは、ほぼ0.5kWの大きさになる。海洋表面のすぐ下の波浪エネルギーは、海面上20mに相当する風力エネルギーに比較し約5倍に達し、また太陽エネルギーの20倍から30倍にもなる。世界的な波浪エネルギー資源は1TW〜10TW (1Tは1012)と見積もられており、これは現在の世界的な電力需要に匹敵する量と言われている1)。もちろん総ての波浪エネルギーを有効エネルギーに変換できる訳ではないが、IEA(国際エネルギー機関)によれば、波浪エネルギーは究極的に世界の現行電力需要の10%以上を提供することになると予測されている。
 一方、我が国の海岸線距離は大小の島々を含め、総延長で約35,000kmと世界有数である。その海岸線に打ち寄せる波浪エネルギーの賦存量は, 海岸線1m幅当たり平均6〜7kWであり, 総量で3,100〜3,600万kWに達するとされている2)。これは我が国の年間総発電量の約1/3に相当するエネルギー量である。
 波浪エネルギー利用技術の研究開発が本格的になったのは、1973年の第一次石油危機以降のことであり、数多くの装置の提案とともに、日本、英国、ノルウェーにより基礎理論の確立が成された。その多くは波浪エネルギーから電気エネルギーを取り出す波浪発電装置として提案されている。また、このうち現在も実験が行われている装置を含め、国内外で20例以上の実用化研究のためのプロトタイプ装置による多くの実海域実験が実施された。表1には現在までの我が国及び諸外国の波浪発電装置の開発の歴史を示す。
表1 波浪発電装置開発の歴史
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