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4. 船舶排ガスの削減に向けて
 船舶排ガス対策については、陸上施設や自動車に比べ遅れていると言われているが、使用している燃料が粗悪なことに加え、設置スペース等の問題があり、船舶独自での対策には多くの困難が伴う。地球温暖化防止の観点から船舶から排出されるCO2の削減対策が必要であることは明白ではあるが、全世界からの発生量の約2.2%であることを考えれば、緊急性はやや乏しく、民生部門や陸上施設等の産業部門から発生するCO2の削減対策が優先されていることが理解できる。
 船舶では、原油、石炭、鉄鋼石、穀物等の生活基盤物資を運んでいるため、輸送量自体を削減することは非常に困難である。舶用機関に重油を使用する限りにおいては、単位輸送量(トン・マイル)当たりの燃料消費を削減することが重要である。国内においては、他の輸送機関に比べ単位輸送量(トン・マイル)当たりの燃料消費量の少ない船舶を積極的活用して運輸部門全体のCO2排出量を削減するべきである。
 他方、NOx、SOxに関しては、沿岸航行時や入港時などは陸地や地域住民への影響を考慮し極力、排出を抑制することが望まれる。まずは、MARPOL73/78附属書VI(船舶からの大気汚染防止のための規則)を発効させ、さらに環境に敏感な地域については、独自の規制が必要であるが、船舶が環境対策を行ったことにより競争力が低下しないような配慮が必要である。前述の環境税などの導入により環境対策を行った者の競争力が向上し、対策をおろそかにした者の競争力が低下するような社会制度の構築が望まれる。








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