7.今後の課題整理
本事業では、平成11年度調査研究事業において、バラスト水処理技術として実用性が高いと評価されたミキサーパイプによる処理法いわゆる機械的殺滅法の実用化に向けての方向性を明らかにするために、水生生物殺滅等のメカニズムの解明および改良要素に関する各種調査実験を行った。
その結果、機械的殺滅法の効果メカニズムは剪断力で、改良要素としてキャビテーションの活用等が有効であることが明らかになった。また、これら実験で得られた効果および実用性に関する結果は、ミキサーパイプ法を大きく上回るものであり、実用化に向けて確実に前進したといえる。さらに、他国で開発中のバラスト水処理技術に関する最新の情報も収集整理し、効果および実用性に関して検討したところ、機械的殺滅法は実用性の面で他の技術よりも優れている内容が多かった。また、水生生物に対する効果についても、改良を加えることで充分に対応可能であると評価された。これら研究成果は、MEPCをはじめ本年度内の国内外の会議および学会で発表・講演し、機械的殺滅法がバラスト水処理技術として適していることを周知した。
今後は、改良要素に関する実験を実施して、さらなる効果および実用性の向上をはかることが当面の技術的課題となる。この課題をクリアーすることで、実用試作機の検討が可能になり、実機ベースでの実験実施となる。また、重要な課題は、処理基準に関する国際的な議論を注視し、その内容に沿った実験データを取得することである。これら実験データによる水生生物に対する効果および実用性の評価を行い、また、周知活動を行うことで、機械的殺滅法がバラスト水処理技術として有効な一手段であることを国内外にアピールできるものと考える。