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4.3 危険物船舶運送及び貯蔵規則(危規則)
4.3.1 規則の沿革
 「船舶安全法」第28条に「危険物其ノ他ノ特殊貨物ノ運送及貯蔵ニ関スル事項並ニ危険及気象ノ通報其ノ他船舶航行上ノ危険防止ニ関シ必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」とあり、この条文を根拠として1934年(昭和9年)に現行規則の母体である「危険物船舶運送及貯蔵規則」が制定され、1957年(昭和32年)10月まで施行された。
 その後、1957年(昭和32年)IMDG Codeに関する1948年条約会議における経緯を踏まえて、まったく新しい角度から1948年条約規定をベースに、当時すでに詳細な危険物輸送に関する規則を制定していた「米国連邦輸送規則(CFR)」を参考とし、さらにわが国の国情を勘案するいわば折衷的な基準として、戦後急速に発展した化学製品の海上輸送の安全を担保するため、大幅改正が行われた。
 その後、IMDG Codeを全面的に導入すべく、数年来検討がなされていたが、1979年(昭和54年)4月に規則が改正され、IMDG Codeをおおむね全面的に準拠して危険物の個品運送基準が定められるに至った。
 当該基準は運輸大臣の告示として公布された運輸省令第549号「船舶による危険物の運送基準等を定める告示」であるが、その後逐次改正され、IMDG Codeの改正が順次取り入れられている。
 放射性物質に関する運送基準は、IAEA(国際原子力機関)で決定された輸送規則に準拠して1977年(昭和52年)に規則が改正されている。
 また、従来危険物のばら積み輸送は個品輸送の例外的な運送形態として規定されていたが、ばら積船の構造、設備等に関する国際的な基準が確立したことにより、液体(溶融状を含む。)危険物を船舶のタンクにばら積みして輸送する場合の基準についても、危規則に個品運送の規定から独立して設けられている。
4.3.2 危険物
 危規則における、危険物の分類及びばら積み液体危険物の基準は次のとおりである。
(1) 火薬類
 火薬、爆薬、弾薬、加工品その他の爆発性を有する物質で、法第23条第1項各号に掲げるもの(火薬類で船舶により運送してはならないもの)及び告示で定めるもの
 
(2) 高圧ガス
 摂氏50度で圧力0.30メガパスカルを超える蒸気圧を持つ物質または摂氏20度で圧力0.1013メガパスカルにおいて完全に気体となる物質で、告示で定めるもの
 
(3) 腐しよく性物質
 腐しよく性を有する物質で、告示で定めるもの
 
(4) 毒物類
[1] 毒物
 人体に対して毒作用を及ぼす物質で、法第83条に定めるもの(毒物類で船舶により運送してはならないもの)及び告示で定めるもの
 
[2] 病毒を移しやすい物質
 生きた病原体及び生きた病原体を含有し、または生きた病原体が付着していると認められる物質
 
(5) 放射性物質等
 放射性物質(イオン化する放射線を自然に放射する物質をいう。)及び放射性物質によって汚染されたものであって、毎グラム74ベクレル以上の放射能濃度を有するもの
 
(6) 引火性液体類
[1] 低引火点引火性液体
 引火点(密閉容器試験による引火点をいう。以下同じ。)が摂氏零下18度未満の液体で、告示で定めるもの
 
[2] 引火点引火性液体
 引火点が摂氏零下18度以上23度未満の液体で、告示で定めるもの
 
[3] 高引火点引火性液体
 引火点が摂氏23度以上61度以下の液体(引火点が摂氏35度を超える液体であって、燃焼継続性がないと認められるものを当該液体の引火点未満の温度で運送する場合を除く。)または引火点が摂氏61度を超える液体であって当該液体の引火点以上の温度で運送されるもので告示で定めるもの
 
(7) 可燃性物質類
[1] 可燃性物質
 火気等により容易に点火され、かつ、燃焼しやすい物質で、告示で定めるもの
 
[2] 自然発火性物質
 自然発熱または自然発火しやすい物質で、告示で定めるもの
 
[3] 水反応可燃性物質
 水と作用して引火性ガスを発生する物質で、告示で定めるもの
 
(8) 酸化性物質類
[1] 酸化性物質
 他の物質を酸化させる性質を有する物質(有機過酸化物を除く。)で、告示で定めるもの
 
[2] 有機過酸化物
 容易に活性酸素を放出し他の物質を酸化させる性質を有する有機物質で、告示で定めるもの
 
(9) 有害性物質
 前記に掲げる物質以外の物質であって人に危害を与え、または他の物件を損傷するおそれのあるもので、告示で定めるもの
 
(10) ばら積み液体危険物
 ばら積みして輸送される液体の物質であって、次に掲げるもの
[1] 液化ガス物質
 摂氏37.8度で0.28メガパスカル(絶対圧力)を超えるガス圧力を持つ液体及びこれに類似する性状を有する液体であって、告示で定めるもの
 
[2] 液体化学薬品
 摂氏37.8度で0.28メガパスカル(絶対圧力)以下のガス圧力を持つ次に掲げる性質を有する液状の物質(油(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律第3条第2号の油)を除く)であって、告示で定めるもの
 腐しよく性
 人体に対する毒性
 引火性
 自然発火性
 危険な反応性
 
[3] 引火性液体物質
 引火点が摂氏61度以下の液体(液化ガス物質及び液体化学薬品を除く)であって、告示で定めるもの
 
[4] 有害性液体物質
 前記までに掲げる物質以外の液状の物質であって危険物であるもの
4.4 港則法
 港則法で規制される危険物の種類は、「危険物船舶運送及び貯蔵規則」に定められている危険物及びばら積み液体危険物のうち、これらの性状、危険の程度等を考慮して「港則法施行規則の危険物の種類を定める告示」で定められている。








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