日本財団 図書館


1 概要
1.1 目的
 2000年3月、OPRC条約HNS議定書が採択され、従来、油の海上流出事故への準備及び対応を内容としていた同条約は、ばら積み輸送される有害・危険物(以下、HNSと呼ぶ。)も対象とすることとなった。
 ところで、HNSの海上流出事故時の緊急対策に関しては、海上輸送されているHNSの種類及び特性が多種多様であることなどから、世界的にも確立した手法が存在しないのが現状である。また、緊急対策を支援するための関係情報の整備も十分になされていない。
 本調査はこのような状況に鑑み、HNSの海上流出事故時の緊急対策を支援するための総合的なデータベースを世界に先駆け構築、それを広く一般に公開し積極的な活用を呼びかけ、もって海洋環境の保全に資するとの観点から、わが国沿岸域における外航船舶の航行環境情報及びHNS輸送量に関し、既存のデータベースを解析・整理するとともに、世界及び日本沿岸域におけるHNSに係る事故事例に関しデータベースを解析し、今後の調査研究及び国際的にも理解が得られるデータベース等の作成にあたっての基礎データとして使用可能な形にとりまとめたものである。
1.2 報告書の構成
 本報告書の構成は次のとおりである。
(1) 概要
 目的及び報告書の構成を記述した。
 
(2) HNS輸送船舶
 HNS輸送船舶(本調査では、HNSの輸送に係るケミカルタンカー、LPG運搬船(以下、LPG船という。)及びLNG運搬船(以下、LNG船という。)を総称してHNS輸送船舶という。)の種類について解説するとともに、国内外のHNS輸送船舶の船腹量について記述した。
 
(3) わが国周辺海域におけるHNS輸送船舶の航行実態について
 わが国周辺海域におけるHNS輸送船舶の航行実態について、調査方法、航海数の集計、船種/船型構成、船籍/船齢構成、使用航路、航行隻数密度分布、寄港の状況等の調査結果について記述した。
 
(4) 関係規制の概要
 HNSの海上輸送に係る関係規制について、国際規制及び国内の規制である海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律、危険物船舶運送及び貯蔵規則並びに港則法の概要を記述した。
 
(5) わが国におけるHNS海上輸送
 わが国におけるHNS海上輸送に係る国内輸送の状況、輸出入の状況及び港ごとの取扱状況について記述した。
 
(6) HNS海上事故事例
 HNS海上事故発生の概要、世界における事故事例及び日本沿岸域における事故事例について記述した。








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION