日本財団 図書館


第2節 第47回 航行安全小委員会(NAV)の審議概要
1. 日程
(1)対処方針会議  7月1日(日)(在連合王国日本国大使館会議室)
(2)NAV45  7月2日(月)10:00 〜 6日(金)17:30
2. 開催場所
 国際海事機関 本部
3. 参加国等
(1)議長: Mr. K. Polderman(オランダ)
(2)参加国: 61カ国(香港中国を含む)及び 32機関
(3)日本側参加者: 18名
 ◎:本委員会からの出席者 ○:英国からの出席者
○在連合王国日本国大使館参事官 堀池 久靖(運輸担当)
○在連合王国日本国大使館一等書記官 石原 彰 (運輸担当)
 海上保安庁警備救難部航行安全課航行指導室長 錦郡 満
 運輸省海上技術安全局船員部船舶職員課専門官 保田 忠男
◎運輸省海上技術安全局安全基準課専門官 山田 浩之
◎東京商船大学教授 今津 隼馬
 (社)日本船用品検定協会 村田 康一
○(社)日本船主協会常務理事欧州事務局長 赤塚 宏一
◎(社)日本船主協会海務部副部長 中川 欣三
 (社)日本パイロット協会技術委員会委員 宮森 勝
 (社)日本パイロット協会 江本 能尚
○(社)日本造船研究協会 篠村 義夫
 (社)日本造船研究協会 岡村 敏
 (社)日本造船研究協会 高尾 陽介
 (社)日本造船研究協会 板倉 輝幸
 (社)日本造船研究協会 片山 瑞穂
○(社)日本海難防止協会ロンドン連絡事務所長 徳永 重典
◎(社)日本海難防止協会企画国際部主任研究員 池嵜 哲朗
4. 議題
(1)議題の採択
(2)他のIMO機関の決定
(3)航路、船舶通報及び関連事項
(4)IBS(Integrated Bridge System)の運用
(5)SOLAS条約第5章に関連するガイドライン
[1] 航海に関連する記録
[2] AISの運用上の問題
[3] VDRの所有権とその回収
(6)パイロットの訓練と証書、総会決議A.485(XII)の改正
(7) 航行援助及び関連事項
[1] 全世界的無線システム
[2] 総会決議A.485(XII)の改正
[3] 船橋監視アラームの性能基準
(8)ITU関連
(9)巨大旅客船の効果的な航海計画
(10)作業計画及びNAV48に対する仮議題
(11)2002年の議長及び副議長選出
(12)その他
5. 審議内容
(1)議題の採択(議題1関連)
 冒頭、事務局長の挨拶の中で、特に避難水域についてはその必要性が強くあり、今次会合で鋭意検討すべきである旨強調された。
(2)航路、船舶通報及び関連事項(議題3関連)
[1] 米国Florida沿岸沖避航水域の最北端の改正
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、ワーキンググループ(WG)において詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 米国からの提案を検討の結果、原案通り合意された。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく小委員会において承認された。なお、本改正は、海上安全委員会(MSC)での採択の日から6ヶ月後に発効する。
 
[2] 米国Florida Keysにおける錨泊禁止区域の制定
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 米国からの提案を検討の結果、原案通り合意された。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認された。
 
[3] バルト海Gedser南方分離通航方式の深水深航路の延長
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 本件提案国であるドイツ及びデンマークから本TSSに関連して、最近でも海難が発生したところであり、本TSSの改正は極めて緊急性の高い案件であること、従って、本改正を通常の手続きによらず、早期に発効させたい旨の提案があった。これによりWGにおいて改正内容の妥当性とともに、その手続きについても併せて検討することとなった。
(ロ)WGでの審議
 ドイツ及びデンマークの提案を検討した結果、提案の内容については原案どおり合意された。一方、早期改正のための手続きについては、
・本小委員会の承認をもって、次回総会における採択を提案すること。
・暫定的に双方向のTSSとしての改正を実施し、正式には次回MSCの採択を待って、規定どおり採択の6ヶ月後に発効することとする。また、この方法について、メンバー国政府に周知し、了解を得る。
 の2案が検討された。
 WGにおいては、後者の案が大勢を占め、また提案国ドイツ及びデンマークもこれに合意した。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認された。これにより、2002年1月6日から暫定的に当該航路は変更され、その暫定措置の内容については各国に広く周知される。
 
[4] グリーンランド海域における強制船位通報の制度化
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 デンマークからのの提案を検討した結果、原案どおり合意された。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認された。なお、本通報制度はMSCでの採択の日から6ヶ月後に発効する。
 
[5] アドリア海における分離通航方式及び推薦航路並びに強制船舶通報制度の制定
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 イタリアの本件提案は、アルバニア、クロアチア、スロベニア及びユーゴスラビアとの間での合意が前提となるが、クロアチア及びスロベニアから本件提案は、SOLAS条約第5章第8規則(d)及び(f)の共同提案に基づく提案ではない旨説明があり、ノートされた。
・分離通航方式及び推薦航路について
 米国、ドイツ等の国から、本件の海域はあまりに広大であること、また通航方式のいくつかは航路の一般的設定用件に必ずしも合致していないこと等の指摘があった。
・強制船に通報制度について
 アドリア海の広い海域におけるVHFのみを使用しての通報は、その要領に疑問があること、提案の通報システムによって通報船舶から大容量の情報が通報されることとなることにもまた疑問がある等の指摘があった。これらの事項を検討した結果、WGとして双方ともイタリア提案への合意には至らなかった。イタリア及びクロアチアは、更なる調整協議のうえ、新たな提案を次回のNAV48に提案することとなった。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なくイタリア提案は双方とも否決され、その旨ノートされた。
 
[6] フランスOuessantにおける分離通航方式の改正
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 フランスからの提案を検討の結果、原案通り合意された。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認された。なお、本件は2003年5月1日に発効する予定である。
 
[7] フランスUshant沖における強制船位通報制度適用海域の拡大
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 フランスからの提案を検討の結果、原案通り合意された。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認された。
 
[8] 米国Los Angeles−Long Beach進入路における分離通航方式の制定
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 米国からの提案を検討の結果、原案通り合意された。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認された。
 
[9] Strait of juan De Fucaその他における分離通航方式の改正
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 米国及びカナダからの提案を検討の結果、原案通り合意された。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認された。
 
[10] Strait of juan De Fucaその他における推薦航路の制定
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 米国からの提案を検討の結果、原案通り合意された。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認された。
 
[11] 米国Washington沿岸沖避航水域の改正
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 米国からの提案を検討の結果、原案通り合意された。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認された。
 
[12] エジプトMediterranean沿岸沖分離通航方式の制定
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 エジプトの提案のうち、新TSSの制定については、特段の意見なく合意された。しかし、同時に提案していた推薦航路については、これと既存の沿岸航路、また新TSSとが部分的に交差する関係にあることから、合意に至らなかった。そこでエジプトは新たな推薦航路を次回以降の小委員会に提案することとし、今回は推薦航路に係る提案を削除することで合意された。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 推薦航路に係る部分を削除した修正提案について、特段の意見なく合意された。なお、推薦航路に関しては、承認されなかった旨ノートされた。
 
[13] ロシアGulf of Finland東方における航路指定方式の変更
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 ロシアからは再生提案主旨の説明に加え、本年11月1日から暫定措置として改正を実施し、正規にはMSCの採択の日から6ヶ月後に改正するとの説明があった。この提案を検討した結果、原案どおり合意された。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認された。なお、本件改正TSSはMSCでの採択の日から6ヶ月後に発効する。
 
[14] カナダNewfoundland沖の探査台に係る避航水域の制定
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 探査台を中心として半径10海里の“area to be avoided”を制定するとのカナダ提案に対して、英国、米国、ドイツ、バハマ、ギリシャ、キプロス等から、それはUNCLOSの人口構造物に係る避航水域の条項に照らして妥当かどうかとの疑問が指摘されたが、それらを含めてWGにおいて検討されることとなった。
(ロ)WGでの審議
 半径10海里の“area to be avoided”は、UNCLOSの海上構造物に係る避航水域の条項に照らして適当ではないとの意見が大勢を占め、結局、探査台を中心とする半径10海里の“Precautionary area”を制定することで合意した。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 “Precautionary area”として修正した提案が、特段の意見なく承認された。
 
[15] 英国Shetland Island付近水域における避航水域の改正
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 英国からの提案を検討の結果、原案通り合意された。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認された。なお、本改正は、MSCでの採択の日から6ヶ月後に発効する。
 
[16] 通航方法等の提案に係る改善策の検討
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 航路の制定、変更等の提案に関し、必ずしも適切でない例が見受けられることから、これら提案の改善策を検討する必要があるとする、プレナリでの英国提案に基づき、その方策をWGにおいて検討されることとなった。
(ロ)WGでの審議
 検討の結果、航路に関する提案のためのガイダンスは、既に“General Provision on Ships' Routing”に包含されており、この一般則を改正する必要はないこと、提案作成に有用となる補助的なノートが事務局により作成されるべきであることで合意し、更にこのノートの案が起草され、小委員会に報告された。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認された。
 
(3)その他の議題(議題12関連)
[1] 米国のFlorida Keys及びコロンビアのMelpelo Island周辺海域におけるPSSAsに関する連携通航方式
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 MEPC46における米国提案に関して検討した結果、これがMEPC47において最終的な承認を得られ、またそれがMEPC決議に反映されるべく、小委員会として同委員会に報告することに合意した。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認された。
 
[2] コロンビアのMelpelo Island周辺海域における避航水域制定
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 MEPC46におけるコロンビア提案に関して検討した結果、原案どおり合意した。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認された。
 
[3] SAs(Special Areas)及びPSSAs(Particularly Sensitive Sea Areas)の認定と保護(決議A.720(17)及びA.885(21)の改正)
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 総会決議の修正草案について、検討した結果、修正の必要のないことで合意された。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認された。本件は次回総会において承認及び採択の予定である。
 
[4] 衝突回避のための訓練
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
 特段の意見なく、WGにおいて詳細な検討がなされることとなった。
(ロ)WGでの審議
 Capt.A.N.Cockroft(IAIN)による案を基に、本小委員会がSTW小委員会に提出するためのノートを起草し、合意した。
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 WGからの報告に対し、特段の意見なく承認され、ノートされた。
 
[5] 避難水域(Places of refuge)
(イ)プレナリでの審議(WG開催前)
MSCから検討を指示された3つのガイドラインの開発について、英国、キプロス、ドイツ、オーストラリア等多数の国が支持したが、韓国は地域問題への考慮を要請するとともに、旗国の取るべき行動についても言及する必要性を示唆し、ブラジルは沿岸国主権につき十分考慮すべきであると指摘した。
 以上の一般的意見を踏まえ、次項を付託事項とする検討をドラフティンググループ(DG)に指示した。
(a)MSC75における検討事項案を準備すること。
(b)本件検討に関係する主体を明確にすること。
(c)「適切な避難水域の指定・認定に関するガイドライン」、「避難水域の危険評価に関するガイドライン」及び「避難水域を必要とする船長の行動に関するガイドライン」のフレームワークを準備すること。
(ロ) DGでの審議
(a)次を内容とするMSC75における検討事項案(NAV47/WP.5 ANNEX1 Terms of Reference for the work on Places of Refuge)を作成した。
(i)「避難水域を必要とする船長の行動に関するガイドライン(船上での行動、付近海域に所在し援助を要請される他船の行動、サルベージ従業者の行動、旗国及び沿岸国の行動を含む。)」、「危険の評価及び方法論決定に関するガイドライン(一般論及びケースバイケースの対応を含む。)」並びに「適切な避難水域の指定・認定及び提供に係る沿岸国の行動に関するガイドライン」を開発すること。
(ii)必要に応じて、地域関心事項を考慮したガイドラインに必要な基準を開発すること。
(iii)ガイドラインの骨子を策定すること。
(iv)作業に当って、決議A.852(20)[船上における緊急事態対応計画の総合的システム構築に関するガイドライン]を参照すること。
(b)関連する主体は、COMSAR、MEPC(特にOPRC-WG)とし、その他のSLF、STW、DE及びFSI並びにSPI-WG等については必要とされる場合に関連させることで合意した。
(c)ガイドラインの中核は、緊急事態の順序を追って、船長に対するもの、沿岸国に対するものとし、危険評価については参考とすることで合意し、次のガイドライン骨子を策定した。
 
第1章 総論
はじめに(避難水域提供の目的)
背 景
ガイドラインの目的
定義
第2章 避難水域を必要とする船長の行動に関するガイドライン
状況評価
危険の確認及び関連危険の評価
要求する行動の確認
関連主体との責任分担・連絡手段の確保
対応策
報告手続き
第3章 沿岸国に期待される行動に関するガイドライン
避難水域の評価(一般論・各論)
使用する避難水域の割当に係るプロセス
別添 避難水域提供に係る危険評価に関するガイドライン
事故種類の特定
危険評価(環境・社会的要因 自然条件 緊急計画の有無)
緊急対応及びフォローアップ
経済的関連性
(ハ)プレナリでの審議(WG開催後)
 DGからの報告に対し、一部エディトリアルな訂正が加えられ承認された。最後に議長から、本件作業の前進のため、各国等に対して次回MSC及びNAVにおける積極的な提案が求められた。








日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION