【編集雑記】
花を追って日本を縦断していく養蜂家の姿は、漂泊の民として羨望の対象と見ていたが、実はこの養蜂家たち、明治八年にセイヨウミツバチが日本に導人され、養蜂業として本格的にハチミツを生産し始めたのだという。しかし、日本には古来から蜂蜜という高価な嗜好品が存在しており、ニホンミツバチによる養蜂によって生産されていたのだった。ニホンミツバチは、セイヨウミツバチに較べ、小柄で、蜂蜜の生産効率も極端に悪い。さらに非常に繊細な生き物で、人間が用意した箱には容易に入ってくれない。しかし、山里に住む人々は、ニホンミツバチと長年付き添ってきた。しかもその土地の風土に応じたニホンミツバチとの付き合い方を十分に周知して今日まで養蜂を続けてきたというのは、世界が一様に広がることが進化と信じている現在、なんというパラドックスなんだろうか。(眞島)