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◎変貌していく風景◎
 厦門は絶え間なく、変化し続けている。特に、一九七九年の改革開放政策以降、目覚ましく開発が進んできている。八○年代から九〇年代初頭にかけては、郊外へと都市がスプロールしていった時期であった。郊外に新たに行政区がつくられ、工業区が整備され、住宅区が供給された。都市の規模は格段に大きくなっていった。
 こうした開発も一段落した九〇年代中頃から開発の手は旧市街に向けられていった。ちょうど、ぼくが厦門大学に留学していた時期でもある。厦門日報という地方新聞を取りはじめて、驚いたことがあった。連日、市街地再開発の市政府による告示が掲載されていたのだ。土地が国有であることにより、いとも簡単にクリアランスが進み、計画は即座に実現されていく。そして、高層ビルが雨後の筍のごとく林立する。
 高層ビルは商業的なものが多い。が、近年では低層部に商業的なものが入り、中、高層部に住宅が計画されているものも見られる。このような計画を見ると一安心する。というのは、厦門の都市空間の魅力は都市に住む人たちが積極的に外部空間を利用することにあると思うからである。(写[15])
写真[15]近年の開発…
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この建物は低層部分に店舗が入り、高層部分が住宅となっている。
 現在では、開発に対して慎重になってきている。外国人居留地であった鼓浪嶼の建築群の保存が決定され、旧市街地の建物の保存問題も浮上してきている。厦門の特色のある地区を面的に保存しようという動きも見られる。
 今、厦門の都市空間は過渡期を迎えている。開発が日本とは異なる方向に進んでいるのは紛れもない事実である。今後、厦門人のライフスタイルが新たな空間にいかに対応していくのか。きっと、空間を巧みに使いこなし、豊かな生活文化を築いていくに違いない。
 次号では、厦門の宗教施設である祠廟を取り上げようと思う。
 本連載は日本科学協会の笹川科学研究助成による研究成果の一部を含む。ここに記して謝意を表したい。
〈都市史〉








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