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2 活性化へ向けての与条件
(1)活性化に向けて旧吉田宿およびその周辺に存在する資源
○町民の活力と町内に伝承される地域文化
 ・「龍勢」をはじめとする様々な祭り
 ・独特の伝統食や食材をはじめとする豊かな食文化
 ・各種町民活動
 ・他
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▲龍勢まつり
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▲吉田町の食文化
○集落を包む自然と歴史
 ・吉田川の流れや堤の大木
 ・斜面の緑
 ・吉田館跡
 ・椋神社
 ・他
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▲椋神社
○集落内に残る歴史的建築物
 ・旧武毛銀行(空き家)
 ・歴史資料館(利用頻度の低い施設)
 ・旧杉村邸(空き家)
 ・東亜酒造肥土工場の建築群(仕込み操業再開予定)
 ・消費社会に侵されていない素朴なまちなみ
 ・他
(2)活性化に向けて旧吉田宿に足りない要素
○人の気配や活動
 ・昼間の人
 ・若者
 ・他
○人が集まれる場所
 ・活動施設
 ・イベントのできる広場
 ・駐車場
 ・飲食店
 ・他
3 活性化へのみちすじ
<まず、個性的な歴史的建築物が共振するまちなみを再認識する>
 旧吉田宿活性化のきっかけをつくるのは点在する歴史的建築物である。絶対数は少なく、統一感のあるまちなみを形成している訳ではないが、それぞれの建築物が個性を主張しながら共振し、まちなみの魅力をつくり出している。しかし、その多くは何の手だてもなく今後年月の経過とともに失われていく危険にさらされている。まずは旧吉田宿に点在する歴史的な建築物の価値を再認識し、保存を図っていくことが大切である。
 
そのためのpoint 1 制度的枠組みの導入
 歴史的建築物の価値を再認識し、旧吉田宿の財産として今後再生・利活用を図っていくためには登録文化財制度などの制度的枠組みを導入していくことが考えられる。それによって歴史的建築物に対する町民の意識も高まる他、優遇措置等によって保存・再生・利活用が行いやすくなる。
<そして、歴史的建築物をいかし多彩な交流機会を創出する>
 歴史的建築物は利活用を図ることで、旧吉田宿の活性化への価値が顕在化される。東亜酒造肥土工場の建築物群や新井医院などは現在でも日常的に使用されているし、旧武毛銀行では、近年「初めの一歩展」「二歩展」「三歩展」が開かれるなど積極的な利活用が試みられはじめている。
 旧吉田宿を活性化していくためには、町内外からの多様な人々が目的を持って訪れ、交流できるような場をつくっていくことが大切である。多様な人々が来訪し、滞在し、交流することにより、人の気配や活動を感じられるまちなみをつくり出すことが可能となる。そのためには、東亜酒造肥土工場をはじめとする歴史的建築物の現役生活を応援し、空き家となっている歴史的建築物に新たな命を吹き込むことが必要となる。
 
そのためのpoint 2 産業資源を強化するための秩父広域市町村圏との連携
 東亜酒造肥土工場等の産業資源を強化し、現役の歴史的建築物の活動を維持していくためには吉田町だけではなく、秩父広域市町村圏においてネットワーク化を図り、より魅力のある観光資源にしていくことが考えられる。
 
そのためのpoint 3 個々の歴史的建築物の特徴を活かしながら交流機会を発生させる機能の導入
 旧吉田宿の歴史的建築物は、それぞれが個性ある建築物であるため、個々の建築物の特徴を活かしながら多くの人が来訪し、活動し、交流できるような機能の導入を検討していくことが有効である。
 
そのためのpoint 4 多様な人々の来訪を促す機能やプログラムの充実
 旧吉田宿に、より多様な人々の来訪を受け入れ、交流機会を拡げていくためには、多くの人が来訪しやすくなるような支援機能(交通、情報等)の充実を図るとともに、町民と来訪者とが交流できるようなプログラムをつくっていく必要がある。
<さらに、旧吉田宿を育んだ自然環境や歴史環境を保全する>
 歴史的建築物とともに、旧吉田宿のまちなみに魅力を加えているのは周囲の自然環境や歴史環境である。吉田川の豊富な水は酒蔵を育み、大火から大切な建築物を守ってきた。また、秩父氏館跡の斜面や吉田川の堤、庭の樹木は歴史的建築物とともに時代を歩んできており、貴重な歴史資源でもある。旧吉田宿のまちなみ整備にあっては歴史的建築物とともに、その背景を作る自然環境や歴史環境も保全していくことが大切である。
 
そのためのpoint 5 環境学習プログラムの充実
 自然環境や歴史環境の保全を図っていくきっかけとしては、学校教育や公民館事業等の環境学習プログラムを充実させ、保全活動に参加できる機会を増やしていくことで、町民の環境に対する意識を高めていくことが考えられる。
<それらを、町民が主役となり実行する>
 歴史的建築物や周囲の自然環境・歴史環境の保全・利活用にあたっては町民が積極的に管理・運営に参加し、愛され、守られながら利活用がなされていくことが望ましい。そのためには町民活力を高めながらいかし、再生・利活用を町民自身が検討していくような体制をつくっていくことが必要不可欠である。
 
そのためのpoint 6 町民参加の仕組みづくり
 実際に利用者となりうる多様な人々の参加を募ることで、活発な活動が展開されることが期待できる。また、計画・設計段階だけではなく実際に歴史的建築物の改修を親子イベントとして行うなど、楽しみの持てる参加機会を増やしていくことで継続的な参加を促していくことも大切である。
4 旧吉田宿のまちなみに活動の息吹を!
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▲何十年ぶりかで灯りのついた旧武毛銀行本店
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▲はじめの一歩展での美術クラブの展示








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