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No.5 工藤家住宅
 陸屋根風に見せるため厚い軒蛇腹を回した木造二階建ての店舗付住宅で、昭和60年に建築された。したがって、昭和58年度調査の大正中頃に建設された伝統的な「こみせ」をもつ切妻造、妻入の仕出し業を営んでいた住宅は解体された。この住宅も北側に通り土間のあるタイプであったが、現在の住宅には通り土間はないかわりに、屋敷の南側には奥へ通じる通路を確保している。なお、表側の店舗は貸し店舗で、現在、ポーラ化粧品が入居している(図3-29)。
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図3-29 工藤家住宅 図面
No.6 中村酒造
 中村家の屋敷は隣接屋敷の買収による拡大があり、表側の間口は約16間、奥行は約45間ある。No.1の鳴海家と並ぶ造り酒屋であるが、創業は大正に入ってからである。大正12年(1923)に建設された店舗付住宅は北側に2間の通り土間をもつ切妻造、妻入の建築で、店舗の奥には2列に居室が続き、大規模な商家の形態を示す。また、中村家の切妻屋根とその妻壁や格子窓の意匠は、木製の看板や杉玉とともに、いかにも造り酒屋のファーサードといえよう。さらに、伝統的な「こみせ」も約30m続く。屋敷奥には文庫蔵や仕込み蔵、吟醸蔵、製品蔵などの各種土蔵が配置されているのはNo.1の鳴海家と同様である(図3-30,31,32)。
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図3-30 (株)中村酒造 図面1 (昭和58年度と平成13年度の調査による)
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図3-31 (株)中村酒造 図面2 (昭和58年度と平成13年度の調査による)
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図3-32 (株)中村酒造 図面3 (昭和58年度と平成13年度の調査による)








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